1989/01 五月会だより No.44 ホーム主張目次たより目次前へ次へ



次の時代に引き継ごう家族の温もり――

四世代の大家族、岡山市在住の江本富五郎さん一家七人に囲まれた江田五月。明治、大正、昭和…時代は移り、社会が大きく変化しようとも、変わらないのは愛情で結ばれた家族の絆。未来へはばたこうとする子供の躍動、それを優しく見守るお年寄りの眼差し、そして一家を支える父親の力強い手と母親の明るい笑顔。一人一人を大切にしたい。家族から隣人、地域、さらには世界へ向けて輪が拡がり、新しい時代への希望が生まれる。江田五月のそんな思いに、私たちも共感を覚えます。


 
江田五月国会議員生活 十周年記念  シンポジウム・パーティー大盛況
岡山社会民主連合結成

 “国民待望の新党を問う”をメインテーマとして、岡山県社民連結成・江田五月国会議員生活十周年記念のシンポジウムとパーティーは、十一月二十六日午後一時から、岡山国際ホテルで盛大に開かれた。シンポジウムの参加者は八百人、予定の約二倍。パーティーは千余人。

 シンポジウムで、パネラーの楢崎弥之助氏は「リクルート疑惑究明に政治生命を賭ける」と断言。来賓の伊藤大孝自民党県連幹事長は「自民党のやっていることが全て良いと云うわけではない。しかし今の野党には政権担当能力がない。江田さん、頑張って欲しい。」と激励、大喝釆の一幕もあった。

 パネラーの國弘政雄国際商科大学教授、大内秀明東北大学教授、コーディネーターの江田五月代表は「政権交替のない所に真の民主主義は育たない。自民党の金権体質は、それを許している野党にも責任がある。野党連合−新党結成を」…と、それぞれ強調した。

 参加者は、その主張に共鳴する反面、いつまでも前進しない野党の結束に苛立ち「野党よ、しっりしろ」と、心の中で叫んでいるように見えた。シンポジウムでの主な発言は…。

新党結成は天の声

大亀書記長
 新党結成は天の声。故江田三郎さんは、社会党の改革と自民党にとって代わる革新政権の実現に政治生命を賭けた。江田三郎さんが亡くなって十一年目。ようやく江田さんの政治路線が政治の表舞台に登場してきた。

 今日は、こうした天の声を背景にしてシンポジウムを企画した――と趣旨説明。

楢崎顧問 国会では肩身の狭い思いで、冷たい視線を感じている。売名行為だ。スタンドプレーだと言われている。だが、このままでは日本の政治がダメになると思い、勇気をだして行動している。

江田代表 松原前リクルート社長室長が楢崎さんに「なにかと政治活動にはお金が必要でしょうから」と言って、五百万円を差し出し、国政調査権に手ごころを加えてもらおうとした。ここに問題がある。

一党支配は危険だ

國弘教授 「絶対権力は絶対的に腐敗する。」一党独裁が未来永劫に続くはずがない。韓国で全斗煥前大統領のファミリーの汚職が摘発されたのは、健全な野党が生まれたからだ。

 日本は笑顔のファシズムになる危険がある。一つの色に染められていく恐れを感じる。政権交替の無いところに真の民主主義は育たない。一党支配は非常に危険だ。

江田代表 三木元首相の葬儀に参列して奥さんに励まされた。クリーンな三木さんが逝って、田中元首相が生きている。妙な感じがする。

リクルート疑惑は産・官・学の構造汚職

大内教授 ロッキード事件は、一部の政治家と一商社の結び付きだけであったが、リクルートは政界、金融、情報、大学、官界までとまさに構造的、しかもソフト化した汚職となっている。

 真面目に生きている人間にとっては、なんとかしなくてはいけない状態だ。江田さんみたいな人が社会党にいないと、いつまでたっても社会党はダメだ。早く一緒になりなさい…これが庶民の声だ。

 既成の政党はそのまま残して、連合政権の道を選択する形もあるが、さらに一歩すすめて新しい党を作ることも考えるべきだ。

野党連合は必ず実現する

河原太郎江田五月会々長は主催者代表としてパーティーで、次の通り挨拶した。

「政治は国民の利益のために行使される。政治家個人の利益のために行われるものではない。政治家は、国民の尊敬を受けるに足る行動に終始しなければならない。今、本当に尊敬できる政治家がどのくらいいるのか、誠に憂慮に耐えない。私たちは、時に、江田五月君の政党が小さいために、ときどき悲観的になることもある。だが、必ずや近い将来、江田君を中心に野党が連合する日が来ると確信している。」

長野士郎県知事
「江田先生は、政治不信の渦巻く中で、もっとも信頼できる公正・情潔な政治家。日本の新しい時代を担う星である。」

伊藤太孝自民党県連幹事長
「野党連合が強化されるのは良いことだ。一つの政党だけで走ると良い政治はできない。」

田中功孔社会党県書記長 
「世の中が変わり始めた。新しい時代の、日本を代表する政治家になって欲しい。」 

林保夫民社党県連委員長 
「野党結集はなかなか難しいが、やらねばならないことである。江田代表には、ぜひ健闘してもらいたい。」

森本徹磨連合岡山準備会事務局長
「連合としては、今の政党にだけ政治をまかしておいていいのか…という気持ちが強い。連合と社民連の目的は一緒。共に頑張ろう。」

 その他に、早原淳人岡山地区同盟副議長、和気克成農協中央会参事が挨拶。

 江田五月からは決意表明。
「率直に言って、最初のうちは反応は冷たかった。しかし、最近は風向きが変わってきた。新しい政治の方向が理解されてきたのだと思う。期待していただいて結構です。必ず、新しい政治の夜明けを実現させてみせます。」

政治の夜明けは岡山から

 続いて、県社民連の大亀書記長が、「明治維新は長州から、政治の夜明けは岡山から」このスローガンで頑張ろう――と挨拶。参議院選挙の候補予定者、高原勝哉氏と、来年一月の倉敷市議会議員選挙の予定候補者・金谷光夫氏の紹介が行われた。

歌はプロ級? 江田五月

 続いて、吉沢国治氏(税理士五月会々長)の音頭で乾杯。司会は落語家の雷門喜助さんにバトンタッチ。東京製鉄軽音楽部の皆さんのナツメロメドレー。アゼリア会有志の皆さんによる沖永良部島の民謡。歌手の山本寛之さんの歌。二曲目は江田五月と一緒に「野風増」をデュエット。マイクがこわれるほどの江田五月の音量に参加者もびっくり。スウィングビーツの洒落た音楽。

 閉会の挨拶は橘民義県議会議員。そして締めは、恒例の河原昭文弁護士による“エール”。 四時間にもわたるシンポジウムとパーティーであったが、参加者それぞれの思いを胸に散会した。


 今年は己巳の年。何かと大事の多かった戌辰の次の年だから、今年は落ち着いた世の中になるのか。いや、昨年が六十年に一度という辰の大あばれの年のあとだから、新しい事の始まりの年になって仲々落ち着いてばかりはいられない年になるのか。

 我が江田グループにとって言えば、野党の再編、新党結成ということで、昨年中に、政界が大揺れかと思いきや、リクルート旋風は、自民党のみならず、野党の上にも吹きあれ、自民党は、この旋風を野党分断の具に美事な程に使いきり、野党再編ムードも一時休止。国民の過半数がノーと言う消費税のみが先行という結果に終ってしまった。

 我がグループだけがリクルート菌に犯されていないと一人孤高を保ってみても虚しいだけでなく、重苦しくさえある新年と言えなくもない。

 しかし、やはり時代は動いている。国民の新党への期待は、確かなものがある。昨年十一月二十六日のシンポジウム「新党を問う」への予想を上回る多数の参加と熱気にもその事は表れていた。一強五弱という緊張感のない政治状況が続けばこのツケは、大変な形で(例えば新しい型のファシズム)我々国民にはねかえってくるのではという、肌身で感じる危機感を、あの場は感じさせてくれた。

 江田五月は今年は年男、彼を中心にグループ一同フンドシを締め直し、国民待望の新党結成へ向けて、改めての第一歩を踏みだすしかない。やろうじゃないかと語りつつ迎える己巳の正月である。

 本年も昨年にまさるご支援を宣しくお願い致します。(T)


編集後記

 サラり−マンに聞いたある世論調査の結果。「今一番誰に向かって“バカヤロー”と言いたいですか」という質問に対して、第一位が「政治家」で、以下「会社の上司」と続くそうである。

 残念なことに、一般市民の間に政治不信が定着している。しかも昭和六十三年ほど政治不信が増幅された年はない。リクルート疑惑がその元凶である。政治家は国民の利益のために働くのであって、政治家個人がその特権を利用して利益をあげることは絶対に許されない。私は、政権交替が行われていないところにその最大の原因はあると思う。

 新しい年を新しい気持ちで迎えたいが、日本の政治が変わらない限り、喜んで新年を迎える気持ちになれないのは私だけだろうか。〈ノブ〉


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