1992/07 五月会だより No.63 ホーム主張目次たより目次前へ次へ


参議院選挙7月26日投票
社民連、初めて比例代表区に単独で挑戦
「連合新党」の結成をめざす

いよいよ参議院選挙です。今回、社民連ははじめて単独で比例代表区に挑戦します。結党以来十五年、ある意味では社民連の真価が問われる選挙です。この選挙には絶対勝たなければなりません。

江田グループの力を総結集して

 御存知のように、比例代表選挙は政党名を記入する方式です。「江田五月」と書いてもらっでも、無効票になってしまいます。「社民連」あるいは「社会民主連合」と書いていただかなければなりません。

 社民連の候補者名簿(九人)は別表のとおりです。過去の例から見て、一人当選するためには約百万票が必要です。社民連は三人以上の当選(約三百万票以上)を目指しています。

 名簿の第一位は青木茂・元サラリーマン新党代表。そのほか「地域と社会研究所」所長の西川美紀さん、嫌煙権運動の渡辺文学さんが名を連ねるなど、名簿は「市民パワーの総結集」を基本にした、社民連ならではのものとなっています。

 とはいえ、見通しは決して明るくありません。恐らく先の「PKO」国会での出来事は、自民・社会両党に有利な材料になると思われます。また、江田五月の支持者の中には「自分は江田を支持しているが、社民連は無関係」という人もかなりおられます。こうした人々に、今回の比例代表選挙に勝つことが、すなわち江田五月の目指す「連合新党」結成のためには絶対必要、ということを理解していただく運動を展開しなればなりません。

 まさに、江田グループの真価が問われる選挙だといえます。

選挙運動にご協力下さい

 岡山県での得票目標は十万票です。かなり厳しい数字ですが、これを実現するため、次のような運動を計画しています。

・宣伝力ー 岡山事務所は中国五県と四国四県を担当します。選挙期間中は、中・四国九県へ宣伝カーを繰りだして街頭演説を行うわけですが、残念ながら一歩岡山を出ると、極端に支持者や知人の層が薄くなるのが実情です。

 中・四国地方の他県にお知り合いがおられる方は、ぜひご紹介下さい。また、運転やビラ配りのお手伝いをして下さる方、大歓迎です。

・ポスター 「社民連」の大型ポスターがあります(上の写真参照)。まだ入手していないぞ、貼ってあげるよ、という方は、ぜひご連絡下さい。

・各地域での五月会の開催 選挙本番中、各地域での五月会の集まりを計画しています。ぜひご参加下さい。PKO法案をめぐる一連の経過や社民連のとった行動について、皆様のご意見をお聞きしたり、また社民連の側からのご説明、選挙に関するお願いなどをさせていただきたいと思います。

・電話・手紙 比例代表選挙では、日本中すべてが選挙区です。できるだけたくさんのお知り合いの方、遠く離れたご友人、ご親戚の方に、「江田五月の率いる社民連」をぜひ紹介して下さい。(電話による投票依頼は、全く制限がありません。遠距離で電話代が大変、という場合は、岡山社民連の電話を自由にご利用下さい。手紙については、自筆で知人に送るものについては認められた正当な選挙運動です)

・大集会 選挙の終盤には、岡山、津山、倉敷の三か所で大きな集会を計画しています。一人でも多くの方をお誘い下さい。

・ビラ・チラシ 名刺型の小さなものです。一人でも多くの人に、確実にお願いするために、名刺型チラシを有効に活用して下さい。必要な方は事務所までご連絡下さい。

 社民連は、資金や人に恵まれた大政党ではありません。江田五月の選挙の場合もそうですが、良識ある市民の皆さん一人ひとりのカンパやボランティアが選挙を支えます。どんなに短時間でも結構です。ぜひ事務所におこしになって、自分にできる範囲でお手伝いをして下さるよう、心よりお願いいたします。

比例代表区候補者の顔ぶれ

1 青木 茂 (あおき・しげる)一九二二年生まれ、前参議院議員、全国サラリーマン同盟代表、東京都世田谷区在住
2 西風 勲 (にしかぜ・いさお)一九二六年生まれ、元衆議院議員、大阪社民連代表、大阪市大正区在住
3 西川 美紀 (にしかわ・みき)一九五一年生まれ、「地域と社会研究所」 所長、大阪市西区在住
4 渡辺 文学 (わたなべ・ふみさと)一九三七年生まれ、「たばこ問題情報センター」代表、東京都世田谷区在住
5 稲津千佳子 (いなづ・ちかこ)一九四四年生まれ、市民運動団体役員、東京都世田谷区在住
6 海野 隆 (うみの・たかし)一九四三年生まれ、前那珂町議、茨城県那珂町在住
7 奥田 邦夫 (おくだ・くにお)一九二九年生まれ、元高等学校教師、奈良県奈良市在住
8 三村さよ子 (みむら・さよこ)一九四九年生まれ、獣医師、神奈川県横浜市在住
9 江田 洋一 (えだ・よういち)一九六〇年生まれ、江田五月秘書、東京都墨田区在住

自衛隊を海外に出さない−。戦後45年守ってきた日本の基本方針を、数の力で踏みにじったPKO法案の採択。平和憲法の危機。

私たちは国際社会の一員として、金だけでなく汗も流すことに賛成です。国連のPKO活動に参加することにも大賛成です。その際、自衛隊の持つ能力を活用することもあるでしょう。しかし、自衛隊を「そのまま」のかたちで海外に出すことだけは、絶対容認できません。

私たちはなぜPKO法案に反対なのか
江田五月の、衆議院本会議での「宮沢内閣信任決議案」に対する反対討論

 私は、進歩民主連合を代表し、議題となっている宮澤内閣信任決議案に反対の意見を申し述べます。早いもので、私が国会に出て既に十五年目です。ところが、小会派だからとはいえ、本会議の演壇に立つのは、参議院時代の一度を除き、これが最初です。言論がいかに貴重であるかを痛感しています。

 国会は言論の府です。ところが、一昨日から始まった一連の本会議で私たちが最初にしたことは何だったでしょう。言論ではありませんでしたね。逆に、みずからの言論を縛る発言時間制限動議の採決です。手足をもがれた私たちに、牛歩以外どのような意見の表明手段があるでしょう。

 牛歩は決して褒められた手段ではありません。よくわかっています。しかし、発言時間制限という手段が牛歩を生んでいるのです。これでいいのか。私は、国会改革の重要な課題だと思います。冒頭、言論の府がみずから自殺行為を行っていることに強い懸念を表明します。

 宮澤内閣には信任できない閣僚が数多く、それぞれ不信任理由を個別に開陳し、信を問わなければなりません。なのに、本決議案は、それらを一まとめにして封殺することになります。どこかおかしくはありませんか。

 宮澤内閣は、昨年十一月、自民党内の政変によって誕生しました。選挙の洗礼を経た内閣ではありません。しかも、国民の支持率はこのところずっと低迷し、どの程度国民に支持の基盤を持っているかわからないのです。その内閣に、この決議は、本院における自公民という圧倒的多数の支持の基盤を与えた形をつくってしまうのです。これは支持基盤の粉飾ではありませんか。

 その点はさておき、宮澤内閣は到底信任できる内閣ではありません。数々の政治スキャンダル。政治改革はどこへ行くのか。いろいろありますが、この際、私は、論点をPKO法案に絞ります。

 PKO法案には数多くの問題がありますが、私が最も問題だと思うのは、やはり武器を持った自衛隊の部隊をそのままの形で海外に出動させる法案だということです。三党再修正によってもこの点は変わっていません。

 PKFは単に凍結されているだけであり、しかも、PKF以外の部分でも、その中心は自衛隊の部隊派遣により担われるのです。自衛隊は協力隊に併任されるから実質上別組織だという意見がありますが、これは誤解です。確かに十三条二項は併任の規定ですが、併任で行う任務は四条二項三号の事後評価の事務等に限定されており、これは例外であって、あとはすべて自衛隊の部隊としての業務なのです。一昨年廃案になった国連平和協力法案の併任と今回の法案の併任とは意味が違うのです。

 私は、何も自衛隊を毛嫌いしているのではありません。独立国に自衛権があるのは当然ですから、防衛基本法あるいは安全保障基本法という憲法に準ずる法規をつくって、専守防衛、シビリアンコントロールなどの規定をきっちり行い、解釈改憲ではなく、自衛隊の憲法上の位置づけを法制上はっきりさせることを提案しています。

 しかし、憲法九条がある以上、いかに憲法上位置づけられた自衛隊であっても、海外に出動することは認められないのです。そして今、この九条の持つ意味はますます私は重要になっていると思います。

 今ここで歴史を振り返る余裕はありませんが、冷戦が終結して、新しい国際秩序をつくろうという地球連帯時代が幕をあけました。新しい世界史が始まったのです。

 それまでの世界は主権国家が覇を競う舞台でした。しかし、冷戦期を経て今、主権国家はその権限の一部を国際社会に譲り渡し、平和、環境、人権、国際経済など広範囲に協調システムをつくって、新しい世界をつくる時代が来ました。そこで、憲法九条は、世界の各国に、軍事主権を海外では行使しないこととして、普遍的な安全保障体制をつくろうではないか、そう世界の各国に呼びかけている貴重な意味を持っているのです。

 冷戦後の世界を考えるに当たり、冷戦時代の制度や思考を前提にして過去に引きずられるのか、それとも二十一世紀の国際社会を創造しようと未来志向で考えるのか、今模索の時代なのです。この模索の時代に、日本国憲法は未来を指し示す貴重な灯台の明かりだと思うのです。

 これは、私たちが未曾有の戦争の犠牲を払って手に入れた、世界の歴史にとって何物にもかえがたい資産なのです。このような憲法を持っている我が国のなすべきことは、冷戦以前の覇権国家を目指し、海外にも出ていける「一人前の軍隊」をつくることではありません。二十一世紀のための「新しい平和国家」を目指し、自衛隊とは別の「国際協力」に徹した組織をつくることです。

 ところが宮澤内閣は、この憲法九条を弊履のごとく捨て去ろうとしています。この重要な時代に、灯台の明かりを消すことは、世界の未来に対する大きな過ちです。

 このような宮澤内閣をなぜ一体信任できるでしょうか。

 宮澤内閣は、PKO法案によってもう一つ大きな過ちを犯そうとしています。それは、新しい時代にせっかく国民合意の国際協力があと一歩で実現できるところまで来たのに、これをぶち壊しにして、新しい国論分裂をつくり出そうとしているところです。

 一昨年秋、自公民三党は、自衛隊とは別個の組織によるPKO協力で合意しました。今、社会党や私たち進民連、連合参議院の中で、別組織論がコンセンサスになろうとしています。ここにいる私たちは、ほとんど皆、ここ数日のようなとげとげしく対立する関係ではないはずです。

 私たちも、我が国が国際社会の中で積極的に国際貢献していくことに当然賛成です。国連のPKO活動に協力していくことも大賛成です。その際、資金だけでなく、人的貢献もして、ともに汗を流すべきだと思います。その際には、自衛隊の持つ能力が活用されることもあると思います。

 そこで、私たちは、別組織を中心にした修正案を提出しました。自衛隊とは別組織で常設の国際平和協力隊をつくる、自衛官に参加してもらう場合には、身分は保有するが職務には従事しない(いわゆる休職出向です)、PKFは削除する、実施計画ごとの国会の事前承認などがその内容です。

 わが国の外交論争は冷戦の反映でした。冷戦が終わった今こそ、国論二分を克服できる絶好の機会なのです。お互いに心を開き、もう一歩ずつの努力をすれば、新しい時代の国民合意が生まれるのです。それなのに、せっかく芽生えた歴史の新しい芽を摘み取り、もう一度冷戦時代の不毛な国論二分と同じ状況をなぜつくろうとするのか。歴史の歩みを押しとどめようとする宮澤内閣を、なぜ信任できるでしょうか。

 一歩後退二歩前進、一日も早く「連合新党」を結成して政権交代を実現し、灯台の明かりをきらめかせ、新しい芽を大きく育て、世界の恵みを限りなく受ける我が国が、世界のためになくてはならない国になるよう努力することを誓って、私の反対討論を終わります。


残念ながら私たちの「議員辞職願」は受理とも不受理ともつかぬあいまいな結果に終ってしまいました。しかし、この参議院選挙に勝利し、近いうちに予想される衆議院の解散・総選挙に勝つことで、危険なPKO法案を、本当に国際平和に役立つものに作りかえてゆきたいと思います。どうぞ、ご支援をよろしくお願いいたします。

私たちも「牛歩」や「辞職願」が決してよい手段だとは思いません。辞職願いの目的は、実質的改憲であるPKO法案について、解散総選挙で国民の信を問うことにありました。


1992/07 五月会だより No.63 ホーム主張目次たより目次前へ次へ