1993/09 No.69 ホーム主張目次たより目次前へ次へ

The Satsukikai Dayori  五月会だより

ついに政権交代が実現! さあ、どうなる?

 非自民8党派による細川連立内閣が誕生し、ついに政権交代が実現した。

 空前の高支持率。国民がこの政権に寄せる期待は極めて大きい。それだけに、今後少しでも舵取りを誤れば、せっかくの連立内閣が崩壊し、国民の政治に対する不信がより高まる危険性もある。

 さらに、政界再編のゆくえも気になるところだ。8つもの党派による連立政権は世界でも類を見ない。近い将来、本格的な政界再編が進むことは必至だ。その大きなうねりの中で、江田五月は、どのような方向に進むのか、そして連立政権のワクの中で、「江田大臣らしさ」をどう出して行くのか…。

 「気になるあれこれ」について率直に意見を交換してもらおうと、8月14日、岡山社民連において緊急座談会を企画した。

 出席者は以下のとおり。
(順不同・敬称略) ▼森本徹磨・連合岡山会長▼重井博・重井病院院長▼市場恵子▼江田五月 ※司会は橘民義・岡山県議

政治が、ドラマチックになってきた
 国民は不安抱きつつ、新政権に期待


司会 まず最初に政権交代の意義についてお話ししていただきましょう。

森本 私たち『連合』は、自民党一党支配を何とか崩したいということで、何度も選挙を闘ってきたわけですが、どうしてもダメだった。それがようやく実現したということで、まずは大変うれしいというのが、正直な感想です。政権交代で政治に緊張感が生まれる。自民党にも自浄作用が働く。結果、政治がきれいになることを期待してます。

 一部に「第2自民党」という批判もありますが、そもそも保守・革新の色分け自体見直さなきゃならん時代です。あえて言うなら、生産者や企業利益を優先する政治を保守、生活者・消費者の声を大切にする政治を革新と位置づけて、新政権には後者の道を選択してほしい、ということです。

江田 私は、多少青くさいかもしれないけれど、まず何よりも民主主義の再生ということを言いたいんです。これまでは国民の皆さんの中に、「政府は与えられたもの」という意識があったと思うんです。しかし民主主義というのは、本来、自分の一票で政府を作るということでしょう。今回の政権交代で、日本に本当の意味での民主政治がスタートしたと言ってもいいんじゃないでしょうか。

重井 江田三郎さんが政権交代をめざして 『江田ビジョン』を発表されたのが、確か1962年でしたか…。30年たってようやく、という感じですね。まずはおめでとうございます。

 選挙前の世論調査では、非自民連立政権を望んでいる人はむしろ少数でしたね。それが、いざ連立政権ができると史上空前の支持率です。国民は不安を抱きつつも、それ以上に期待感を持って新政権に注目しているのです。この期待に応え、同時に不安を払拭する努力も必要というわけですから、生やさしいことではないと思いますが、ぜひがんばっていただきたいものです。

市場 国民の中では少数意見かも知れないけど、私は、正直言って新政権に批判的なんです(笑)。自衛隊にしても原発にしても、自民党政権の基本政策を引き継ぐということですから。

 ただ、(戦争責任などで)細川さんの発言が意外とキチンとしているでしょう。疑いつつも、微かな期待あり、というところかな。

 それと、女性の立場から言うと、女性閣僚を3人登用したことは評価できます。閣僚の平均年齢が若いというのもいいことじゃないかな。どんどん若い政治家が出て、私たちの実感に近い、普通の言葉で語るようになれば、政治も少しは変わってくると思います。

江田 女性ということで言えば、乾晴美さんが科学技術政務次官になってくださって、私としては大変心強く思っています。

市場 何にせよ、前より政治が面白くなってきましたね。うちの大学2年の娘なんか、今まで全然政治に無関心だったのが、首班指名のテレビ中継を熱心に見てたり(笑)。

江田 政治にドラマ性が出てきた、ということでしょう。結構オモシロイ、ということで皆んなが政治に注目している。これは重要なことだと思いますよ。

制度が変われば「選挙文化」も変化
 腐敗防止という「原点」忘れずに!


司会 次に、新政権の最大の課題、政治改革についてお話をうかがいます。

 細川首相は「年内に成立しなければ政治責任を取る」と言われましたね。江田さんとしては、「できる」とお考えですか?

江田 私も閣僚の一人ですから、できなければ一緒に首が飛ぶことになる(笑)。

市場 私は、やはり小選挙区はコワイなぁ。小選挙区というのは、女性が土俵に上がっていきにくい制度じゃないかという気もしますし。それに二大政党による政権交代というのは、結果的に「強者の論理」が勝つシステムで、社会的弱者の声が抹殺されてしまうんじゃないかという懸念を持ちますね。

司会 小選挙区だと、女性が当選しにくいということですか?

市場 比例区ならまだしも、小選挙区だと、そもそもノミネートの段階で女性が候補者になりにくいんじゃないのかな。

江田 そういう可能性もないとは言えないけど、むしろ逆も考えられる。事実、小選挙区を実行している国でも女性の政界進出は進んでますし。これまでの『選挙文化』から考えると、小選挙区なら男を選ぶということになるかも知らんけど、その選挙文化そのものが大きく変わる可能性があるわけだから…。

森本 僕は逆に、中選挙区のままでいいのか、と問いたいんですよ。確かに小選挙区には危険な側面もある。、しかし、今のままではどうしようもないんだから、大胆に決断しよう、ということです。

重井 政治改革は4点セットが基本、ということですが、一般の国民の側から見ると、どうも分かリにくくて、意外に選挙制度改革への関心は高くないようですね。政財官癒着の腐敗防止を骨抜きにするなという声が強いことを忘れないでほしいです。

江田 選挙制度というのは、選ぶ側(国民)というより選ばれる側(議員)の問題という感じが強くて、国民の皆さんの関心がいま一つなのは事実ですね。でも、大切なことなんですが。

森本 私は、やはり選挙制度も含めた4点セットを崩してほしくない。小選挙区を導入することで、与党、7党1会派がまとまる状況を作る、そして将来的には2大政党的な政治状況になっていってほしいと…。

再編で2大政党『的』3極構造に?
 政党横断的な再編が進む可能性も…


司会 今、森本さんからご発言があったので、話を政界再編の方に進めたいと思います。

江田 森本さんが言われたことについて、僕なりに付け加えると、2大政党的の『的』が大事なんじゃないかと思うんですよ。冷戦が終結して、その投影だった日本の政治の保守・革新の枠組も壊れた。逆に言うと、政治の座標軸も決して1本じゃないんですよね。環境とか人権とか、あるいは『日本イデオロギー』的なものに対する考え方とか、いろんな座標軸がある。大まかに言えば、生産・効率優先のグループと生活・心のゆとり優先のグループの2大政党「的」な状況なんだけれども、たとえば人権という座標軸ではAとBの政党が腕を組む、環境だとBとCが…というように、その時々の政治課題によって、3つくらいのグループが入れ替わりながら政権を担当していくのが望ましいかも知れません。

森本 私も2大政党がすべてとは決して思いませんよ。ただ、これまでも政党がバラバラで、我々連合としては随分苦労もし、「何しょんなら」という思いが強かったもんですから(笑)、せっかくできた連立政権が、うまく一つにまとまってくれたらいいな、という願いをこめて言ったわけです (笑)。

司会 ところで、これまで新党というと、どこかの党が分裂して、というパターンでしたが、これからの新党は、『分裂型』ではなく『結合型』になる、という気がしますが…。

江田 そう。しかし、政党AとBがまるごと一緒になる、という形になるかどうかは疑問です。むしろ政党横断的に、従来の政党の枠を大きく越えた再編成が進むんじゃないでしょうか。

重井 これまで江田さんをはじめ政界再編をめざすグループがおっしゃっていたのは、新党を結成し政権交代を図る、ということでしたね。ところが現実には、新党・政界再編より、政権交代の方が先になってしまいましたが…。

江田 そうなんですよ。でも結果的には、その方がよかったかも知れません。社会党をはじめ野党も政権を取ることで、現実的な政治感覚を身につけ、政党の垣根を低くしていく、その上で新党結成、という形の方がスムースじゃないか、と。

森本 ともかく、第1段階はクリアしたわけですから、江田さんには次のステップ、政界再編・新党結成に全力を上げてもらわなければ。時間はあまりない。

 次の衆院選は、まず間違いなく小選挙区並立制でしょう。連立与党がバラバラでは絶対勝てっこないんで、最低でも統一会派か統一名簿、できれば新党を早急に作る必要があります。

重井 どういう形で政界再編が進むのかわかりませんが、いずれにしても国民に目を向けた政治、憲法を大事にする政治、この原点を決して忘れないでいただきたいと思います。

隠さず伝え、原発不安の解消めざす
 江田さんの「肌あい」伝わる行政を


司会 最後に、細川政権、江田科学技術庁長官に望むことをお聞かせください。

森本 何しろ7党1会派の連立政権ですから、政府の案をまとめるのも大変だろうと思います。しかし、一国民の側から見ると、大変だろうけど、分かりやすくていいということも言えるんですよ。政策立案の過程がガラス張りになるわけですから。

 とにかく細川政権は、自民党政権ができなかったことを大胆に実行する。そして、野党になった自民党も頑張る。そういった中で国会が変わることが大事だと思います。思い切ってやったらいいじゃないですか、ダメでもともとなんですから(笑)。国民の側を向いて一生懸命やれば、国民は支持してくれますよ。

重井 たちまちコメ、自衛隊、原発が新政権の試金石と言われていますが、その一つの原発問題を担当されるわけですから、江田さんも随分ご苦労されることと思います。国民の中には、原発の安全性に対して相当な不安があります。技術的にも理論的にも、徹底的にオープンに進めていただきたい。

 それと、日本は世界有数の技術国と言われていますが、科学技術についての理念というものが、きちんと確立されていないのでは、というのも気になるところです。もっと基礎科学に重点を置きながら、世界にも役立つ技術開発、という視点で臨んでいただきたいと思います。

江田 (原発の安全性については)隠すから不安になるということも、これまで随分あったんじゃないかという気がします。国民の皆さんに情報をきちんと伝え、納得していただけるよう説明する努力を重ねたいと思ってます。

 僕自身、物理は高校以来ご不沙汰で、今一生懸命勉強してるとこなんですが、これが結構面白い(笑)。ただ、この面白さに溺れてはいかんな、と自戒してます。専門知識を身に付けると、逆にそれに振り回され大切なものが見えなくなってしまう危険がある。「国民の皮膚感覚」というか、普通の感覚を忘れないようにしたいですね。

市場 嫌味ばっかり言ってるようで恐縮なんですが(笑)、どうも政治家、それも大臣なんかになっちゃうと、いくら本人が「国民の皮膚感覚」を持ち続けようとしても、官僚とか周囲の環境が邪魔をして、普通の国民の声が聞こえなくなってしまうような気がするんですが…。大臣になっても、こうして私が率直に意見を言える人だから、江田さんは大丈夫かな(笑)。

 連立政権の制約とか官僚主導の問題とか色々あって、なかなか思うようにできないこともあるかも知れませんけど、江田さんらしい、江田さんの肌あいが伝わるような活躍を期待してます。


[科学技術庁とは…]

 科学技術庁は1956年(昭和31年)に総理府の外局として設置された。

 科学技術に関する基本的な政策の企画、立案、推進、並びに関係行政機関の科学技術に関する施策の総合調整を行うとともに、原子力・宇宙・海洋開発をはじめとする大規模プロジェクトの推進、地球科学技術、防災科学技術、物質材料系科学技術、ライフサイエンス、航空技術など、さまざまな先端科学技術分野の研究開発を推進する。

 また、科学技術振興のための基盤整備、分野横断的な科学技術振興なども、科学技術庁の主要な仕事である。

 職員数は2,121人(今年度未定員)。動力炉・核燃料開発事業団、日本原子力研究所、宇宙開発事業団、理化学研究所、海洋科学技術センターなどの特殊法人が7,512人。予算は一般会計4,376億円、電源開発促進対策特別会計1,402億円、その他を会わせて5,816億円(今年度)。

 歴代科学技術庁長官には、正力松太郎氏、中曽根康弘氏、三木武夫氏、宇野宗祐氏、河野洋平氏などがおり、江田議員は55代目。


検証 政権交代「効果」

 「権不十年」を唱える細川護煕氏が連立政権の首相になったことは、象徴的だ。権力は必ず腐敗する。首長の多選批判をよく耳にするが、長くてもせいぜい5期20年。ところが自民党は、実質的には戦後46年間政権を維持し続けてきた。異常という他ない。

 46年間閉め切られていた部屋の窓を開け、空気を入れ換え、大掃除をするだけでも、政権交代の意義がある。

 政権交代で政治に緊張感が生まれたことも重要だ。国民の支持を失えば政権を失うのだ。仮に自民党が与党に返り咲いても、これまでのような金権政治を行うことは自殺行為となる。

 また、新政権の組閣を見てもわかるように、当選回数・年功序列で大臣を選ぶことも難しくなる。魅力的な人、能力のある人材を登用しないと、政権は保てない。

 自民党政権下では、官僚は自民党の方だけを向いていればよかった。自民党の方も、そうした官僚機構を利用し選挙を行っていた。

 同時に官僚機構は、自民党代議士の『養成機関』でもあった。各省庁の次官クラスから、自民党国会議員に転身する人は数え切れぬほどいた。

 こうした政・官の癒着にメスを入れる効果が、政権交代にはある。

 財界は、与党であればこそ自民党に政治献金していた。「自由主義を守る」というお題目も過去のものだ。当然、「もう政治献金なんて必要ないじゃないか」という声か起こる。それでも「自民・非自民両方に献金を」などと言って顰蹙(ひんしゅく)を買う経済人もいる。すでに政界の方は、「企業献金廃止」の方向で動きだしているのだ。

 こうして、政・財の癒着にもクサビが打ち込まれる。

 日本を知る外国の人たちは、実はこれまで、日本を民主国家とは考えていなかったフシがある。当然だ。政権交代のない国、革命やク一デターでしか政権が変わらない国を民主国家とは呼べない。

 今回、平穏裡に政権交代が行われたことで、日本という国への信頼が深まったことも見のがせない。

 新政権が何を行うかはもちろん重要だ。しかし、政権交代したこと、新政権が誕生したことそれ自体、計り知れない「効果」を生む。

 75%(毎日新聞)、83%(サンケイ新聞)、76%(山陽新聞)。あいつぎ各紙に報じられた細川内閣支持の数字には、びっくりの連続である。誕生したばかり、具体的政策の提起はこれからというときである。

 たしかに組閣の陣容は新鮮である。自民党一党支配からの解放感は何とも言えない。新内閣は、政治腐敗とは無線であろう。それにしても…である。やはり、漠とした国民の期待感のあらわれと見たい。「寄り合い所帯」「ガラスの城」の脆さをどう克服し、頑丈な「寄木細工」に組み立てるか、8党派の努力を暖かく見守りたい。

 振り返ってみれば、解散から新政権誕生までの数十日は、「よもや」「まさか」の出来事の連続であった。変化の訪れとは、こういうものだろう。

 まず、江田五月選挙。多くの支持者の皆さんの献身、奮闘のおかげで、岡山1区、前人未踏の得票をいただき、4たびトップ当選。

 選挙後、非自民連立政権出現までの「はらはら」も楽しい思い出になる。そして、江田五月は入閣できるのか? という重大関心事。的を射止めて科学技術庁長官。「ホッ」

 「徹底した安全管理の下におけるエネルギー安定確保の責任」。それが非自民8党派の合意事項。原子力エネルギーへの国民的合意は、まだない。江田五月の真価が問われている。(M)


ドキュメント
国務大臣 科学技術庁長官誕生

 8月9日午前・9時40分、竹村正義官房長官が閣僚名簿を読み始めた。「…国務大臣科学技術庁長官、江田五月」。その瞬間、岡山社民連事務所前につめかけた約70人の支持者から、大きな歓声と拍手が湧き起こる。

 「みなさんありがとう。科学技術庁長官の仕事はもちろん大切だが、江田五月には、連立内閣の接着剤、そして政界再編・新党結成の旗振り役という大任がある。これから約一年で、政界はかつて無いほど激しく動く。江田五月にとってはこれからが本当の正念場。みなさんのご支援をお願いしたい」と語る大亀・社民連書記長の目が、心なしかうるんで見える…。

 続いてマイクを持った河原昭文・五月会会長が、「お互いに喜びあいたい。16年間、時には絶望しかけながらも訴え続けてきたことが、やっと実現した」と、頬を紅潮させ一語一語噛みしめるように話す。

 そして江田光子夫人。
 「江田三郎と結婚してから50余年。ずっと政治に関わり続けてきたが、今日ほど感激したことはない。皆さんのご支援のたまものです。本当にありがとうございます」とのべ、深々と頭を下げる。「ただ、母としては、五月にこの重責を立派に果たしてほしいと思うと同時に、激務で身体を壊さぬように、と願わずにはおれません」。

 最後に河原太郎・前五月会会長の音頭で乾杯。カメラのフラッシュが焚かれ、報道陣が動き回る中、ささやかな、そしてさわやかな「祝賀会」は、いつ果てるともなく続いた…。


科学技術庁長官といふ重責を背負ふ吾子、江田五月

江田光子

吾子の享けし重責あはれ想ふだに
         激務するらむ心して生きよ

 亡夫江田三郎の言ひ残した言葉の中に「一党支配が長々と続くと、ごみが溜り泥が濁りうじが涌く。政権交代はあるべきだ」と。
 私は、昭和10年、結婚以来、もちろん戦争時を除いて、ずっと政界を見てきた。裏表を知っているつもりだが、亡夫のこの言葉を衷心諾(うべな)ふことができる。

 「政治家なんてどうせそんな者さ、悪いことをするくらゐでなきゃあ、仕事はできないさ」といふ様な陰口もよく耳にしたものである。しかし、何と言はうか、この我が岡山県には、かつて、犬養木堂・西村丹治郎、そして近くは、和田博雄・黒田寿男といふ立派な方々が出ておいでになる。「井戸・塀」などといふ言葉もある。保守と言っても、星島二郎先生などもよく存じ上げている。

 身辺もきれいに、自ら顧みて(愧)じるところのない生き方であるべきと思ふ。娯楽もあるべき―。かちかちの真面目人間といふわけではない。政治家といふのは、多くの人に嘱望されて選ばれてゐるのだから、人物的にも、頭脳的にも、信頼に値するべき人でなければならぬ。

 それにしても、この度の政界の形状は、素晴らしいものだと私は思ふ。かつて亡夫江田三郎が希(ねが)ひに願って、命を懸けて望んだものであったと思ふ。

 この世に生を享けた二人の吾が子は、親の苦労を見て育ち、長ずるに及んで「何が何でも政治家にはなるまいぞ」と、申し合せをしていたと言ふ。「甘い汁」など吸ふことのなかった父親の、政治家としての像は、息子共に、悲壮な姿と映ったことは当然であったらふ。長男、五月が、弁護士としての道を選び、裁判官としての道に就き、外地へも派遣されて勉学に励んだのもその為に与へられた道であった。

 偶然といふか、たまたま父の死が、自分の誕生日と合致、「天の啓示」と享け止めて呉れた吾子。亡夫は、父は、どれだけ歓喜した事であったらふ。而(しこう)して今のこの政状。私は、夫に生きていて欲しかった、と思ふのみ。

 あゝ、私は生きていて良かった、あなた済みません。無能な私、勉強します。
といふ以外にはない。嫁の手伝いも出来かねる私。兎も角(ともかく)この上とも諸氏のご厚誼・ご支援を、伏して願うものでございます。

仮名遣いは原文のまま。 


沢山の人たちからおめでとうの声が

江田長官に期待する  邑久町・南 孝

 私が大学生のころ、東京の世田谷で片山哲氏の演説を聞いてすっかり共鳴し、社会党を応援すること50年。それから社民連に「乗り替え」し、今日に至る。感無量。

 江田長官の的確な判断力と見識の深さに敬服するとともに、今後の飛躍に大きな期待と希望を持って、今後とも応援していきたいと思っています。


連立内閣の牽引車に  上道五月会 事務局長・増田 昭信

 腐敗した金権自民党の一党支配が終わり、夢にまで見た政権交代が実現しました。

 我らが江田五月議員の、大量得票によるトップ当選、そして細川連立内閣に初の入閣。上道五月会員の喜びは、まさに尽きるところを知りません。本当にありがとうございます。

 政局は政界再編をはらみ、ますます激動していくことでしょう。政治改革、行政改革、地方分権などなど幾多の問題が山積しています。政権与党の推進役、調整役として、江田議員にその誠実な行動力を存分に発揮していただきたいと期待しています。

 上道五月会は地域の核となり、支援の輪を一層大きく広げていきたいと思っています。


事を急がず自然体で  津山市・額田 克海

 よろこびと共に、期待するところ大であります。一長官ということではなく、入閣したということに意義があると思います。これから、各党の意見の相違が出てきますが、それをまとめることができるのは、あなたしかいません。

 そのためには、いつまでも社会党に未練を持たず、十分に叱ってやることが大事だと思います。それが、社会党への思いやりであり、父上のご意志を継ぐことになると思います。

 長官としては、事を急がずに、自然体で対処してください。無理をすると、つけがまわります。それでいて、常に前進できる人柄と能力の持主です。それを自覚していただいて、さらなる飛躍を期待します。


県民として誇り持つ  岡山市・篠山 基郎

 国際情勢の移りかわりの中、日本も念願の政権交代をなし遂げ、また、江田先生の科学技術庁長官御就任、心よりお祝い申し上げます。一県民として大変嬉しく誇りに思っています。

 お役柄、日本はもとより世界の人々の将来にいたるまで、重大な任務と責任があると思いますが、先生の豊かな経験と英知をいかし、難局に取り組んでいただきたいと思います。


座右の銘、忘れずに  岡山市・川瀬 幸子

 大臣ご就任、おめでとうございます。大臣に望むのは、座右の銘にしておられる「敬天愛人」「點一燈照一隅」を心として、真剣に政治改革に取り組んでほしいということです。

 最後に一言。小人数の政党では眼界があります。「江田派」を増やしてください。今、江田さんの指導力が問われています。


1票の願いを大切に  旭操五月会 代表幹事・秋平 好古

 12万1400票。この数は一体何を示しているのだろうか。
 政権交代を声を枯らして叫んでいた彼(江田五月)も、この数には驚いたに違いない。私の予測を2割以上も越えた12万余票。

 「江田」にこの票を投じた人々は、何をどのように考えたのだろう? この1票に託された声を政治に大きく反映させる、大きな仕事が待っている。


8月14日・土曜日。江田五月が、大臣になって初めて岡山に帰ってきた…。

10:30 県政記者クラブで会見にのぞむ

 この日江田議員は、朝6時56分東京発の新幹線に乗り10時11分、岡山駅に到着。岡山県庁4階の記者会見場に駆けつけた。
 「政界再編の行方は?」という質問に対し、
 「今、国会の皆さんの価値観は多様で複雑だ。それを2つに分けて2大政党で代表するのは、少し難しいだろう。3極構造くらいが望ましいのではないか」
 そして車に乗り、一路建部町福渡へ。

12:00 故・江田三郎に政権交代を報告

 故・江田三郎の墓前に政権交代と大臣就任の報告。三郎夫人の光子さんと五日夫人の京子さんも続いて手を合わせる。
 「昨年の墓前祭以来の本格的墓参りだなぁ」と江田議員。周囲から「あの時は、まさかこんなすばらしい報告を1年後にできるとは思ってなかったでしょう」の声が。

 報道陣の「江田三郎さんは、何と言われていましたか」との問いに、「『墓参りになんぞ来なくても、他にやることがいっぱいあるだろう』と叱られました」と照れ笑い。

 その後、建部町の皆さんと懇談。木村博正・建部町長、田淵貞二・町議会議長も駆けつけてくださった。江田議員は、「建部町は私の父祖の地。この町の皆さんに恥ずかしくないよう、一生懸命勉強して重責を果たします」と決意を述へた。

14:30 地元のテレビ2局で番組の録画

 岡山にトンボ帰りで、民放のテレビ収録をこなす。出迎えた局の女性職員から花束を渡されニッコリ。

16:00 社民連事務所で本誌掲載の対談

 五月会だより、今号に掲載されている座談会にのぞむ。時間はわずか1時間。「どうも説明しきれないな…。ちゃんとまとめておいてください」と言い残し、岡山市は宝伝へ。

 宝伝の「松乃荘」では、かねてより出席を約束し楽しみにしていた「旭中32期同期会(江田五月も同窓)」が。この時ばかりは子供時代に戻り、つかの間の開放感を味わう。しかし、アルコールはお湿り程度。まだまだ日程が残っている…。

19:30 社民連・五月会緊急集会に出席

 岡山市大供の全逓会館で岡山社民連・江田五月会緊急幹部会。かつて江田三郎氏とともに農民運動に携わっていた岡山市君津の荻野弘道さんが、大臣就任祝いにと赤飯を持参して下さった。出席者全員、赤飯のおにぎりと烏龍茶で、ささやかな「祝賀会」。

 しかし、会議の内容は「今後、社民連はどの方向に進むのか」といった重大なもの。「ここで聞いた皆さんの意見を参考にしながら、一番いい結論を出します」と江田議員。

21:30 ようやく帰宅… あすも頑張るぞ

 自宅に戻っても、まだ休息はおあずけ。大亀書記長、橘県議らと、今後の活動について意見を交わし、深夜、ようやく就寝。


シンポジウム・パーティーは10月16日(土)です。7月に予定していたシンポジウム・パーティーのチケット(旧券)は新しいものとお取り替えします。すでに旧券をご購入の方には、事務所より新券をお届けいたします。

シンポジウムとパーティー
●とき/10月16日
 シンポジウム=16:00〜18:00
 パーティー=18:30〜20:00
●ところ/岡山プラザホテル 
●参加費/1万円・2万円
         ※
★シンポジウムバネリスト
海江田万里(衆議院議員・日本新党) 福岡政行(白鴎大学教授)
江田五月(衆議院議員・社民連)  
★シンポジウムテーマ
「ここから新しい政治が始まる」


五月会バス旅行は11月2日(火)〜3日(祝)です。申込み締めきりは10月10日。お早めにお申込みください。

五月会バス旅行
●とき/11月2日〜3日
●行き先/伊勢・志摩方面
●参加費/28,500円
●申込み締めきり/10月10日(申込み金=1万円)
          ※
(コース内容)
1日目は、「伊勢神宮内宮・外宮」の参拝。宿泊は新築間もない「志摩ビーチホテル」で海鮮料理をお楽しみください。2日目は「伊勢戦国村」などを巡ります。


編集後記
 政権交代したから、というわけではありませんが、今回から紙面をリニューアルしました。
 文字が以前より少しだけ大きくなり、読みやすくなったのではと 「自画自賛」していますが、これについても、新政権同様、厳しく暖かいご意見・ご批判をお待ちしています。


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