湯川憲比古 江田事務所から 4月 | 戻る/ホーム/湯川目次/前へ|次へ |
江田議員は参議院の行政監視委員会の理事(野党筆頭理事)でもあります。この行政監視委員会は、国会改革の一環としてアメリカ議会のGAO(立法府の行政監察院)の日本版をつくろうという民主党などの提案に対して、まず設置された常任委員会で、オンブズマン的機能を持つことが設置目的に明記された、参議院にしかない重要な委員会です。
現在、行政監視委員会では長期的テーマとして「財政投融資対象機関の点検」を取り上げ、短期的テーマとして警察不祥事や自衛隊不祥事、総務庁の行政監察結果などを取り上げています。
4月3日の行政監視委員会で、江田議員は小渕総理緊急入院について内閣官房副長官に、千葉県警船橋東署の「留置場レイプ事件」と白川勝彦元国家公安委員長私設秘書等の「交通違反もみ消し事件」について国家公安委員長と警察庁長官に質問しました。
この質問の中で、江田議員は「交通違反に関する、コンピューター記録の抹消とコンピューター入力前のもみ消しについての全国の警察の総点検作業」と「人事異動にまつわる警察幹部への祝い金、せんべつ、いわゆる裏金の実態調査、総点検」を行政監視委員会として警察庁にさせるよう要求しました。
国家公安委員会と警察庁にはすでにこれまでの質問の中で、2月25日の「持ち回り決裁」の際の決裁文書、2月28日の国家公安委員会臨時会議の議事録、全国の警察のかけマージャンの実態調査、全国の警察の要保存記録簿等の総点検などを要求しています。
警察改革について民主党はオンブズパーソン制度の導入を提案していますが、それが実現するまでは参議院行政監視委員会がその役目を果たさなければならないのかもしれません。もちろん、3月27日の「財政投融資対象機関の点検」の参考人として意見を述べてくれた猪瀬直樹さんや松原聡さんが強く言われたように、誰もまだ手をつけられない巨大な税金のムダ使いへの斬り込みも重要な役目です。
4月4日午後5時30分から第4回「小渕総理・株疑惑解明プロジェクトチーム」が開かれました。出席者は江田五月(参・座長)、海江田万里(衆・事務局長)、小川敏夫(参・事務局長代理)、桜井充(参・事務局次長)、生方幸夫(衆)、北村哲男(衆)、菅直人(衆)、他に代理・スタッフ6名です。
この日はまず当初の予定通り、郵政省電気通信局電気通信事業部事業政策課長の貝谷孝二氏からポケベル会社がNTTドコモへ合併されていく過程について、郵政省の立場からの説明を質疑応答も含め約1時間聞きました。
そのあと、このプロジェクトチームの今後の方針について話し合いました。ターゲットである小渕総理が倒れ、内閣が総辞職してしまったわけですから、いわば被疑者が存在しなくなった捜査本部みたいなもの。しかし話し合いの結果、すぐに解散せずにもう少し様子を見て判断することになりました。
小渕総理がいなくなってもドコモ株疑惑がなくなったわけではないこと、このチームはなかなかいいチームであること、これまでの活動を総括した報告書を作る必要があること、などが理由です。菅直人事務所の松田君などはもう早速、森新総理の疑惑を調べはじめています。
4月2日午前1時頃に小渕総理が倒れて、3日と13時間後の4月5日午後2時頃に衆・参本会議で森喜朗氏が内閣総理大臣に指名され、森内閣の誕生が決まりました。テレビを通して全国民が(あるいは世界の人が)この筋書きのない(?)ドラマを見たわけですが、一つだけずっと前から筋書きが決まっていたものがありました。
それは4月3日夜の保守党の結成です。たとえ小渕総理がどうなっても、有珠山が爆発しようとも、これは予定通り実行されたのではないかと思われます。今回の政変のポイントは、自由党の連立離脱とそれに対する自由党内のクーデター計画でした。
4月2日の夜10時過ぎ(小渕総理の倒れた日です)、赤坂プリンスホテルでの自民党の5人組(野中幹事長代理、青木官房長官、森幹事長、亀井政調会長、村上参議院議員会長)の協議に自由党の二階運輸大臣と中西選対委員長が参加したという報道がありました。二階氏と中西氏は小沢党首の側近中の側近。私はこれら7人を「小沢暗殺団」と呼びたいと思います。
おそらく3月4日の約2時間の小渕・小沢会談で、小沢党首は小渕総理に対し保守新党の結成を迫り、3月末までに結論を出さなければ連立から離脱すると脅したのでしょう。それを聞いた野中氏と青木氏は自由党の連立離脱は必至とみて、その影響を最小限にするために、自由党の最大限の分裂を計画した。ターゲットは二階運輸大臣だったでしょう。
このクーデターは見事に成功しました。さすがの小沢党首も防戦一方だった。しかし最後のところでドンデン返しが起こった。本来なら小沢党首が持病の心臓発作を起こしてもおかしくない状況だったのに、なんと意外にも小渕総理が脳こうそくを起こしてしまったのです。
こうしてできた保守党は全く政党の態をなしていません。本部事務所はないし、独自の綱領も理念・政策もありません(つくる気もないようです)。選挙後に自民党に合流することを考えているので、おそらく比例選挙はやらないでしょう。保守党は公明党の選挙協力に頼っているので、「自公保」は「自公」より公明党色が強いのです。
なんとしても民主党が小選挙区に300人候補者を立て、自由党も100人立てて、史上最悪の「自公保」政権、森内閣を粉砕しなければならないと思います。
今回の総選挙の最大の焦点は言うまでもなく、森自公保政権が過半数の240議席以上を確保して政権を維持するか、あるいは過半数にならずに政権交代が起きるのか、です。もちろん民主党の目標は300小選挙区すべてに候補者を擁立して、単独政権をめざすことですが、一方で自公保に過半数をとらせないことも重要な目標です。
4月20日に発売された週刊文春の「衆院選全選挙区当落完全予測」(政治広報センター宮川隆義氏)は最新の分析で、しかも自公保283議席の圧勝を予測しているので、これを参考資料として検討してみたいと思います。
文春資料では小選挙区で公明党10、改革2(公明党と連携している元新進党)、保守党4、自由党2の当選を予想しています。自由党も自民党のパートナーとなる可能性があるので、まずこの18議席を限りなく0に近づける必要がある。そのためには少なくとも公明党19、改革4、保守党17、自由党59の候補者のいる選挙区のすべてに民主党の候補者を立てなければなりません(彼らに不戦勝させない)。
現段階で公明党19選挙区の中で民主党の候補者が決まっていない選挙区は7(東京17、大阪3、大阪6、大阪16、兵庫2、兵庫8、沖縄1)、改革4選挙区では0、保守党17選挙区では4(兵庫4、和歌山1、和歌山3、熊本2)、自由党59選挙区では10(岩手1、2、4、秋田2、茨城7、新潟3、石川2、三重1、徳島3、熊本5)です。
この21選挙区のうち民主党本部で現在候補者の擁立を検討中あるいは調整中の選挙区は8選挙区(岩手1、茨城7、石川2、三重1、和歌山1、熊本2、5、沖縄1)のようです。このほかにも民主党本部で候補者擁立を検討している選挙区は20以上あり、これらがすべて擁立できたとして260選挙区になるわけですが、これでは迫力不足です。もう一工夫しなければならないと思います。
森新内閣が誕生して自民党サイドから一斉に6月総選挙論が出てきました。今日あたりの論調は、天皇が5月20日から6月1日まで訪欧するので、解散は6月2日以降、投票日は6月18日か25日だそうです(解散・総選挙の公示・首相の任命を天皇にしてもらうため)。
小渕前総理の突然の病気退陣への同情と、表紙だけですが「人心一新」ムードで有利な情勢と判断したようです。いずれにしても解散権はあちらにあるわけですから、野党としては解散日程が確定するまでは、お金を使わないで全力投球するしかありません。
前にも書いたように民主党としては小選挙区の候補者を300名そろえることが最重要事項です。明日からは江田HPに残りの70余選挙区の状況もレポートしようと思います。菅直人の再生と具体的で迫力ある政権政策も実現させなければなりません。
森新内閣は小渕内閣より非常に悪い「史上最悪の政権」です。このことを迅速に明確にする必要があります。その第一は国民に嘘をついて5人組が密室で勝手に決めた政権だということです。民主主義とは正反対のやり方です。第二は公明党の影響力が決定的に強まった政権だということです。これも民主主義とは反対の方向を向いています。
森新首相自身の資質も問題です。過去の失言の数々〈(1)大阪たんつぼ(2)アメリカギャング(3)「手心」擁護(4)エイズ差別(5)沖縄偏見〉は「大柄で人柄の悪い森」を示しています。長男(私設秘書)の麻薬不法所持疑惑(まだ時効になっていない)とこの件についての森氏自身の週刊誌もみ消し疑惑の話もあります。
江田議員は死刑廃止論者です。アムネスティ議員連盟の創設者の一人ですし、死刑廃止議員連盟のメンバーでもありました。
江田議員の死刑廃止論は他の人と同じように(1)国家といえども正当防衛以外の理由で殺人を行うべきではない(死刑と戦争は国家による殺人)(2)誤判の可能性(死刑の誤判は取り返しがつかない)(3)憲法36条の残虐な刑罰の禁止(4)刑務官に死刑執行という殺人を強いる非人間性(5)死刑廃止への国際社会の流れなどですが、何よりも人の命は天から与えられたものであり、その人の命を終わらせるのも天のすることで、人間のすることではないという思想があるようです。
日本の世論は死刑廃止はまだ少数派で、特に最近は地下鉄サリン事件のような無差別大量殺人や保険金殺人などの影響でむしろ厳罰を望む傾向があります。
しかし一見水と油の死刑廃止論者と死刑存続論者が合意できることが二つあると思います。それは終身刑あるいは仮出獄のない無期懲役の創設と「犯罪被害者基本法」の制定です。「犯罪被害者基本法」については、江田議員は民主党司法ネクスト大臣として法案の衆議院提出までこぎつけましたが、終身刑あるいは仮出獄のない無期懲役の創設も実現する時が来ているようです。
いささか旧聞に属しますが、4月9日の陸上自衛隊記念行事での石原東京都知事の「三国人」発言についてコメントしておきたいと思います。
はじめにこの発言を聞いた時は、昭和ひとけた世代の軽率な発言・偏見だと思ったのですが、インターネットの毎日新聞のファイルから、9日の発言、10日の青ヶ島村での発言、12日の都庁での”釈明”記者会見、14日の都庁での定例記者会見、20日の都議会民主党への文書、のテキストの全文を取り出して読んでみると、ただの軽率な発言・偏見ではなくて、かなり根の深い問題発言だと思います。
特に10日の青ヶ島村の発言が問題です。石原知事はこう言っている。「何かいけないことを言いましたか。戦後の混乱の中で、せっかく作った青空市場で、いわゆる三国人がその中には韓国系、朝鮮系、中国系、アメリカ軍もいて、不法なことをあえてする。我々に実害を与える外国人のことを当時の新聞は三国人と報じていた。おれはそのつもりで使った。東京だって不法入国した顔色がそれぞれ違った身元のはっきりしない人たちがいっぱいいる。その人たちが必ず騒じょう事件を起こすと私は思うし、だからその事実を考えましょうと言っただけだ」
「日本人にとって厄介な、迷惑千万な外国人のことをかつて第三国人と表現した」「どうして差別用語なの。日本人が彼らにひどい目にあって、それを皆で守る自警団まで作った。歴史を知らない馬鹿どもがいっている。歌舞伎町だって池袋だって危うい。東京の犯罪はどんどん凶悪化している。だれがやっているかといえば全部三国人、つまり不法入国して居座っている外国人じゃないか」
つまり石原知事は終戦直後の「第三国人」と現在の「不法入国した外国人」を同一視し、どちらも「日本人にとって厄介な、迷惑千万な外国人」だと言っているのです。これは「現代のヒトラー」「日本のハイダー」的発言だと言わざるを得ない。石原知事の問題発言は他にもあって、特に「9月3日の陸海空3軍の大演習」の意図について明日書き込みたいと思います。
4月9日の陸上自衛隊記念行事で、石原東京都知事はあいさつのしめくくりで次のように述べています。
「先程、師団長の言葉にありましたが、この9月3日に陸海空の3軍を使ってこの東京を防衛する、災害を防止する、災害を救急する大演習をやって頂きます。今日の東京をみますと、不法入国した多くの三国人、外国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返している。もはや東京の犯罪の形は過去と違ってきた。こういう状況で、すごく大きな災害が起きた時には大きな大きな騒じょう事件すらですね想定される、そういう現状であります。こういうことに対処するためには我々警察の力をもっても限りがある。だからこそ、そういう時に皆さんに出動願って、災害の救急だけではなしに、やはり治安の維持も一つ皆さんの大きな目的として遂行して頂きたいということを期待しております」
長い引用になりましたが、石原知事は9月3日に「災害の救急」だけではなく、「治安の維持」も目的とした「陸海空3軍の大演習」をやると言っている。災害派遣は知事の要請でできるが、治安出動は内閣総理大臣の権限で、知事は総理大臣に対して要請できるだけです。
「どうか、この来る9月3日、おそらく敗戦後日本で初めての大きな作業を使っての、市民のための、都民のための、国民のための大きな演習が繰り広げられますが、そこでやはり、国家の軍隊、国家にとっての軍隊の意義というものを、価値というものを皆さんは何としても中核の第一師団として、国民に都民にしっかりと示して頂きたいということをここで改めてお願いし、期待して、本日の祝辞と皆さんに対するお礼と期待の言葉にさせていただきます。頑張って下さい」
緊急事態法に対する超積極的な協力姿勢もあわせて考えると、朝鮮半島や台湾海峡での戦争状態も想定しているのかもしれない。とすれば「三国人」という言葉はあえて意図的に使ったとも考えられる。
いずれにしても都知事の任務は災害時の騒じょう事件のための自衛隊の演習ではなく、東京都公安委員会や警視庁に歌舞伎町や池袋が夜歩けない街にならないように頑張ってもらうことでしょう。外形標準課税やディーゼル車規制は賛成ですが、不当な外国人差別や危険な軍隊ごっこ(災害訓練は否定しない)はやめてもらいたいと思います。
4月24・25日の衆・参予算委員会の質疑が終わって、「小渕総理・株疑惑解明プロジェクトチーム」の次のターゲットが見えてきたようです。その第一は、国民に嘘をついて内閣総理大臣臨時代理になり、5人組の一員として勝手に小渕内閣の総辞職と森後継総理(総裁)を決めた「平成の天一坊」青木官房長官です。
第二は森総理大臣その人です。この人はどうもリクルート事件の主犯だったのではないか。森本人名義で未公開株を融資付きで購入し、約1億円の売却益を得たのではないか。当時彼は文部大臣でリクルートのターゲットそのものだった。予算委員会の答弁で森総理自らリクルートの江副氏とは大変親しい間柄だったと言っている。江副氏も自らの裁判の中で森氏についてだけは証言を拒否しているらしい。
リクルート事件は当然もう時効ですから、森総理がリクルート事件の主犯であることを証明できても刑事事件にすることはできませんが、森氏が総理大臣に全く不適格であることは証明できると思います。その他にも森氏の総理大臣不適格を示す事例はたくさんありますが(これも丹念に明らかにする必要がある)、やはり文教族のドンである森氏にとってはリクルート事件が本線だと思います。
ところで青木官房長官はなぜあのように頑張るのか。彼自身は私利私欲、権力欲の人のようには見えない。とすればなぜか。竹下氏のため、ということはあるかもしれない。竹下氏にとっては、愛弟子小渕氏が倒れ、自らが選挙に不出馬となった今、最後の砦は青木氏しかない。私はそれだけではないと思います。
青木氏は今、本人が好むと好まざるとにかかわらず、「たが」になっています。小渕派(竹下派)の「たが」であり、森内閣の「たが」です。この「たが」がはずれると、小渕派(竹下派)も森内閣も瓦解してしまう。そのことを青木氏は自覚しているのではないか。さらに言うと、田中角栄が築き、竹下登が継承し、30年間自民党政治の中核となって君臨してきた集団(今は小渕派という名前になっている)こそが、自民党政治の「たが」なのではないか。その「たが」がはずれれば、自民党政治が瓦解してしまう。そのことも自覚して、青木氏はあんなに頑張っているのではないか。
とすれば民主党としては「平成の天一坊」青木官房長官の嘘と違法行為(内閣法第9条違反、第9条「内閣総理大臣に事故のあるとき、又は内閣総理大臣が欠けたときは、その予め指定する国務大臣が、臨時に、内閣総理大臣の職務を行う」、官房長官が自分で勝手に自分を指定して臨時代理になるのは違法行為)を明らかにして、青木官房長官を辞任に追い込むべきだと思います。
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