1987 社民連十年史/明日の連合にむかって |
社、公、民と党首会談(1987) 野党の連合結集を展望
書記長 阿部 昭吾
新年早々、中曽根首相は選挙公約に違反して売上税という大型間接税を一気に強行しようとしています。この数のおごりに対し、社会・公明・民社・社民連の四野党は「売上税等粉砕闘争協議会」という戦後政治において前例のない一大結集を組んで立ち上がることになりました。
この中で、歴史的な売上税粉砕闘争を成功させ、その結果の上に「野党の連合結集」を展望するという、我々の基本に立って党首会談を実現させました。全国の同志各位から数多くの電話や質問が行われていますが、一連の党首会談について概略報告し、今後の指針としていただきたい。
社会党←→社会民主連合
一九八七年二月四日 午後十二時三十分 衆議院常任委員長室において
出席者
社会党側・土井たか子委員長、山口鶴男書記長、大出俊国対委員長
社民連・江田五月代表、楢崎弥之助顧問兼国対委員長、阿部書記長
連携から大きな連合をめざして
江田 社会党が新宣言、そして土井新体制になられて、我々とも身近になってきた。私たちは、これを高く評価し、今後大いに両党の提携関係を強めていきたいと考えております。
ただ、一つはっきり申させて頂きたいのですが、そのことは、その延長線の上に社民連が社会党に復党することが予定されているということを意味しません。私たちも小さいながら別個の基盤を持った政党であって、しかも単に両党だけでない、もっと大きな連合と結集をめざしている、ということでありますので、ぜひこの点をご理解を願いたいと思います(土井委員長うなずく)。
それから今度、土井委員長が岡山においでになって、私の母をお訪ね下さるということで、大変ありがたく恐縮していますが、私の母は当時、社会党を除名されているということも、ちょっと心にとめておいていただければ幸いです(阿部が「そうだなあ、田さんも楢崎さんも私も全部除名処分だよなあ」と言う。土井委員長、山口書記長、大出国対委員長がうなずく)。
今後、国会にて売上税について「売上税等粉砕闘争協議会」に野党四党が一丸となって大きく結集しました。これは野党第一党社会党の御努力の結集でありまして、高く評価しております。国民大多数のために、この売上税粉砕闘争を成功させ、そしてさらに発展させて、野党の連合結集に進んでいくことをぜひ実現したいと思います。
土井 今日、この会談ができまして、非常に喜んでおります。売上税反対の野党結集について四党の協力は非常に大きな力です。また都知事選では田さんに大変御無理なお願いをしました。今度江田さんのお母さまにお目に掛からせていただきますが、一歩一歩進んでいきたいと思います。また今度の地方選挙では北海道、神奈川、福岡知事選など選挙協力を、ぜひとも実現していただきたいと思っております。
売上税粉砕とともに、一%枠突破問題、SDI、そして国家機密法について協力して闘っていきたいと思います。
江田 一%枠突破問題、SDI、国家機密法についても、両党の認識は一致しており、当然一致して闘わなければなりません。選挙協力については北海道、神奈川は社民連として方針を固めております。福岡については楢崎先生のところです。
楢崎 福岡は自主投票です。しかし、売上税をやる政党の推す候補者は断じて推さないという態度も確認しております。
山口 選挙問題については、具体的な各論ですネ。書記長同士で話し合っていくということにしてもらいたい。
江田 こちらの方は阿部書記長がお話をさせていただきたいと思います。
土井 今後、政権協議も含めて両党間のお話合いをやっていきたいと思います。
民社党←→社会民主連合
二月四日 午後一時三十分 衆議院常任委員長室において
出席者
民社党側・塚本三郎委員長、永末英一副委員長、大内啓伍書記長、小沢貞孝国対委員長。
社民連・江田五月代表、田英夫常任顧問、楢崎弥之助顧問兼国対委員長、阿部書記長
安保問題等の一致も重要
江田 今度の売上税等粉砕闘争で野党の腕組みが強固にできたことは非常に重要なことだと思います。ぜひこれを発展させていきたいと思います。民社党とは身内のようなものですが、党首会談というようなことも今後とも随時ぜひお願いしたいと思います。
塚本 野党結集について民社党は、売上税はもちろんのこと安全保障など重要な政策について一致することが大切だと思うんです。国会で安全保障特別委員会を常任委員会に格上げすべきです。
わが国の軍備や兵器がどうなっているのか、国権の最高機関なる国家が、全くつかんでいないのが現状です。民主国家においては、国会が軍備や兵器装備の実態は、はっきりと把握している。これは当然のことでしょう。シビリアンコントロールということはそれでしょう。重要政策で一致することが大切なんです。
楢崎 常任委員会格上けは私どもも賛成しているんです。シビリアンコントロールは国会でやる。全くおっしゃる通りです。
塚本 野党結集、自民党にかわるべき政権勢力をつくる。これは当然のことです。そうでなければ日本の政治はよくならない。そのためには、政党には政党の歴史があり、いろいろ問題がある。政策の問題もある。それぞれの立場を尊重しながら相互の信顧をつくりあげていく。そういう努力のなかからやっていかなければならないと思う。
江田 私たち社民連は、私をはじめ選挙のなかで民社党に大きな御援助をいただいてきました。当面の統一地方選挙につきましてもぜひ選挙協力をお願い致します。
永末 私の京都でも地方選で一体でやっている。具体的にぜひ成果があるように詰めていきたい。中道結集のなかで選挙協力の経過は相当の実績がありますし、特に我々と社民連との選挙協力を積極的に進めさせてもらいたい。
公明党←→社会民主連合
二月五日 午後四時十分 衆議院常任委員長室において
出席者
公明党側・矢野絢也委員長、大久保直彦書記長、市川雄一国対委員長
社民連・江田五月代表、楢崎弥之助顧問兼国対委員長、阿部書記長、菅直人副書記長
全民労連と協力して党勢拡大を
江田 矢野新委員長御就任おめでとうございます。大久保書記長、市川国対委員長、新体制御発足おめでとうございます。特に私は、矢野先生には亡父江田三郎が民社党の佐々木委員長とともに、格別な御懇情を願って参りまして、本当に有難いことだと特別な思いを持っておるものです。
矢野 江田さんが亡くなって十年ですね。いろいろございました。二股会派も半年たちましたが、なかなか大変でしょぅ。そこで今度の売上税、これは野党は最後までやらねばならん。ここで野党が腰砕けなどしたら、もう日本では野党など要らん、ということになる。
自民党の数のおごり、問題は次の選挙です。私の方の公明党も今少し気張って増やしたいと思う。しかし野党全体で現状から五十から六十増やすとなると、そんな簡単じゃない。全民労連も発足しますし、無所属候補を相当立て、これを野党が協力して当選させる。そういうことを考えんとあかん。
このことは私の方で検討していますが、現状は私の私見という段階です。社民連に初めてお話をすることなんです。無所属等これは本籍はそれぞれあってもよい。全くの無所属でもよい。とにかくそういうところから力を集めないと一党政治、数のおごりは打ち破れないと思います。
野党結集について、私たち公明党は全力をあげてきました。社民連も社会党、民社党の中に入ってマタ裂きになるようなこともあったが、売上税粉砕のような一つの問題では今回のように団結結集ができる。国民の圧倒的大多数がみんな悪税と考えているから団結は容易にできる。
しかし日本の国全体をどういうふうにもっていくか。あらゆる角度からですネ。国をどうするかということなんですネ。一つ一つ積み重ねていくということも大切なんですネ。特にさっきの選挙協力の新しいやり方などは大切だと思うわけです。
なかなか地方選挙になりますと、そういう長く積みあげられた関係があって一筋縄でいかないんですよネ。私の方も売上税のことをきびしく指示しているんです。菅先生、市民運動の方の動きはどうなっていきますか。
菅 売上税に対して市民運動の側は、はじめは中曽根自民党政府の減税先行という宣伝がありまして、今イチという空気でしたが、四党結集による「売上税等粉砕闘争協議会」の旗上げや、中小企業団体の反対の盛り上がりなどと共に、次第次第に熱を帯びてきたという状況ですネ。
阿部 選挙につきまして私のところなどでは特別な協力関係をもっていただいておりますが、目の前の統一地方選についても具体的なお願いを致したいと思っております。
矢野 具体的に担当で話をすることにしましょう。