1987/11 社民連十年史/明日の連合にむかって

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「全日本民間労働組合連合会」発足

 五百五十四万八千人、五十五単産、一オブザーバー六有効組織が結集した全日本民間労働組合連合会(略称「連合」)が一九八七年十一月二十日発足しました。

 ここに労働四団体の時代は幕を閉じ、官民を含めた次のステップ「全的統一にむけて新たなスタートが切られました。

 十一月二十日午後二時から都内の会場で開かれた結成大会に、江田五月代表も出席「政党も『連合』の皆さんのご努力に応えて『連合新党』を作るぐらいの面目の一新を果たさねばなりません」と連帯の挨拶をしました。

 初代会長に選出された竪山利文前全民労協議長は、挨拶の中で「政党支持は加盟組織の自主的決定にゆだねるが、自民党政権といつでも政権交代できるような野党体制をいかにつくるか、合意形成につとめたい」と述べ、今後、政権担当可能な野党作りのために尽、力することを明言しました。

 また同会長は「雇用を守り、日本の経済力の発展にふさわしい、国民生活の質を実現することが『連合』の目標であり、現在国民生活が直面する不公平税制や土地間道、労働時間の短縮などに全力を尽、くして取り組む」と述べました。

 「連合」の発足は、労働界の全的統一と、野党再編にむけて大きな潮流をつくりました。

 「連合」発足にともない、同盟、中立労連は十九日に解散、新産別も来年の大会での解散を決めています。官公労組合の多い総評も三年後の 「全的統一にむけて解体する方針。

 東京・新宿の厚生年金会館で行われた「連合」結成大会には江田五月代表はか、社会・公明・民社の委員長が来賓として挨拶。それぞれに四野党の協力態勢を約束しました。

 また大会では「自由にして民主的な労働運動の伝統を継承し、この理念の上に立って労働者の結集をはかり、労働運動の発展を期す」とする綱領、および基本目標をかかげた「進路と役割」「運動の領域と活動のありかた」を再確認。

 基本目標のなかでは「力と政策を強化し、総合生活の改善」「政権を担える新しい政治勢力結成への協力」などをあげています。

 また、国際自由労連(ICFTU)への一括加盟を反対なしで可決し、加盟を申請しました。

 その後、政策研究、立案のためのシンクタンク「連合総研」設立と、役員を正式決定し、「力と政策」にふさわしい、組織労働者の六割を結集したナショナルセンターが発足しました。

 江田代表の挨拶・要旨は以下のとおりです。

  江田代表挨拶(要旨)

 全日本民間労働組合連合会・「連合」の結成大会、ほんとうにおめでとうございます。

 ついにやりましたね。感無量です。ここまでこぎつけられた皆さんのご努力ご苦労に、心から敬意を表します。

 オープニング・セレモニーで披露された新しい「連合歌」そして「愛唱歌」。「十人十色の幸(しあわせ)さがし」という歌詞。まことにそうだと思います。

 みなさん、私達はそれぞれに今までの歌を歌いながら、ここに集まってきました。そして今、新しい歌を歌おうではありませんか。

 本日「連合」が誕生したわけですが、そのJPTUCの「P」、「全民労連」の「民」の字がとれる日、すなわち、官民の「全的統一の日を、次に迎えなければならないと思います。

 そして一方、政党のなかでも、この「連合」の皆さんの大きな努力を、真剣に受け止めなければなりません。

 野党も、面目を一新しなければならないと思います。ひとつ、連合新党をつくるという意気込みで、新しい、自民党に取って変わる政党の枠組みを作って行きたいと、決意を新たにしています。

 お祝いとともに、いくつか期待を述べさせていただきます。

 一つは、「連合」の出発の今、日本も世界も山ほど難問を抱えています。古い枠組みにとらわれない、未来を見つめた新しい日本のあり方、新しい世界のあり方を、「連合」がどんどん提案していっていただきたいと思います。未来に対するメッセージをいつも送り続けていただきたいと思います。

 二つ目は、労働運動とはなにかということが、やはり、今問われています。組織された労働者だけでなく、未組織の労働者、そして広く国民、市民に対するメッセージを送り続けていただきたいと思います。

 そうしてもう一つ、ただいま国際自由労連のバンダーベーケン書記長からもお話がありました。まだまだ世界に、専制や隷従が存在しています。私たちの国がこれほど物質的に豊かになっているのも、実は多くの第三世界の貧困によって、あがなわれているという面もあるのです。

 どうか「連合」は、世界の人たちに向かっても、メッセージを送っていただけるよう期待します。

 私たち社民連は、今後皆さんと一緒に全力をあげることをお誓いします。


  声 明

    「連合」発足を歓迎する

 本日、多くの勤労者、国民に待望されてきた全民連〔連合〕が結成された。

 日本の労働運動が、長い歴史と多くの苦難を乗り超えて、大結集への巨歩を進めたことは、労働運動はもとより、政治的、社会的にも、歴史的進歩であり、私たちはこの新しい出発を大いに祝福するとともに、関係者のご努力に心から敬意を表する。

 〔連合〕は、「力と政策」「欧米なみの生活」の実現、「家庭の幸せ」などを掲げて新しい時代の労働運動づくりをめざすことになった。これは「市民政治の実現」「生活の質を変えよう」と主張してきた私たちと考えを一にするものであり、大いに歓迎したい。また〔連合〕の意義を政治の場でもしっかり受け止め、野党再編に全力でとり組みたい。

 今後、官公労を含めた全的統一が成功裏に進むことを期待し、〔連合〕の発展を心から願う。

 一九八七年十一月二十日

社会民主連合


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