2003年10月05日 民主党政権政策/マニフェスト 戻る目次前へ次へ

III マニフェスト−民主党は約束します。

民主党政権は、菅直人総理が強い意志をもって掲げる約束、そして、「民主党政権政策」の実現を国民のみなさんに約束します。

この約束は、民主党政権第一期の期間が終了するときに、その達成度が明確に示され、国民のみなさんが公約の達成状況を評価、査定できるものです。

マニフェストは第一期政権4年間の最低公約であり、「つよい日本」、「経済の再生」の突破口です。中には、与党だけで決めてはいけないものもあります。民主党政権は責任ある提案を行い、国会の議論を活性化させ、与野党の活発な議論の中から合意を導き出したいと考えています。

民主党は、有権者から負託された政権において、全議員が一致して、約束を誠実に実行します。


一 失業のない、つよい経済を再生します。

小泉内閣の経済無策による深刻なデフレ不況によって、国民の仕事や資産が日々奪われている状況を、これ以上放置することはできません。「つよい経済」の再生は、国民一人ひとりが安心して暮らすための最低条件であり、他のあらゆる施策を実現するための前提条件です。

民主党は、最優先の課題として、「つよい経済」の再生に取り組み、景気の回復と雇用の安定に全力をあげます。

1 景気を回復させ、「仕事」と「雇用」を生み出します。

強い経済を再生させて景気回復・雇用拡大を実現するためには、民間需要を掘り起こし、内需を拡大することが必要です。現在および将来に対する不安の解消と、眠っている需要に対応した新しい仕事・産業の掘り起こしによって、経済再生への着実な一歩を踏み出します。

(1) 失業率を4%台前半以下に引き下げます。
現在5%台半ばの失業率を、任期中に4%台前半以下に引き下げることをめざし、中小企業対策や分権による地域経済対策、「緑のダム」をはじめ公共事業の転換、福祉・環境部門の産業育成、良質な住環境の整備、NPO育成等、公的部門を含めた積極的雇用創出などによって、新たな就業機会を拡大し、雇用を増やします。また、民間の創意工夫を生かした職業再教育の充実を図ります。

(2) 高齢者の暮らし、子育てなどの不安解消で、需要と消費を掘り起こします。
年金・介護や子育て・教育、医療など現在と将来の不安解消を図ることで、消費を喚起します。特に、高齢者が暮らしやすい社会を創るための産業や、子育てのしやすい社会を創造するための産業を育成することで、「安心」を醸成しつつ、あらたな「仕事」をつくります。

(3) ローン利子控除制度創設など、生活重視の経済に転換します。
緊急対策として、住宅や自動車に関するローン利子控除制度を平成16年度に創設することをはじめ、高速道路無料化による物流コスト軽減、余暇時間を有効活用できるための基盤整備、環境保全型産業の育成などを通じて、眠っている需要を目覚めさせ、生活重視の経済、「経済のソフト化」をすすめます。

(4) 事業規制原則撤廃をすすめ、企業努力と起業意欲を増進させます。
民間の活力と創造力を引き出し、新た需要を掘り起こすために、民間事業活動に関する規制の撤廃、公正競争の環境確保などをすすめます。そのため、事業規制原則撤廃の基本方針などを定めた法律案を平成17年中に国会提出し、その成立をめざします。

(5) 競争力強化・技術力強化に向けて、知的財産権立国づくりをすすめます。
国際的競争力の強化、科学技術振興をはかる戦略に立って、知的財産権強化に取り組みます。「知的財産基本法」をさらに具体化し、知的財産紛争処理能力の強化、知的財産権に関する専門家の育成、地域をはじめとする産学の連携強化、研究開発予算の配分見直し、研究者の意欲向上につながる環境の改善、TLO(技術移転機関)の充実、模倣品問題や特許権侵害対策の強化をすすめます。

2 「お金を貸せる銀行」をつくります。

政権獲得後速やかに民主党「金融再生ファイナルプラン」の実施に着手し、2年以内をめどに信用創造と金融仲介機能を回復させます。

(1) 中小企業金融(自営業者を含め、個人の信用に基づき受けている融資)を、大企業向けの貸付と明確に区別して取り扱います。担保に偏らずキャッシュフローに重点をおいた中小企業向け金融検査マニュアルを、大企業向けとは別につくり、貸し渋り、貸しはがしを解消させます。また、政府系金融機関融資における個人保証を5年間で撤廃します。

(2) 金融機関の地域への寄与度や中小企業に対する融資条件などについて情報公開させる「地域金融円滑化法案」を、平成16年度中に国会提出します。

(3) 大企業に対する貸付については、厳格な金融検査を通じて不良債権の実態を明らかにします。バブル経済に対する大企業・銀行経営者及び行政の責任を明らかにしつつ、必要があれば公的資金を大胆に投入して、銀行の貸し出し余力を回復させます。

3 税金のつかい道を徹底的に見直し、財源を確保します。
 
デフレ不況の下では、税収増加も歳出全体の大幅な縮小も著しく困難です。民主党は、政権獲得後経済の安定成長が実現できるまで、現在の財政規模を原則として維持します。

財政の健全化をすすめるためにも、経済再生が最優先の課題です。しかし、現状において効果を度外視した財政の放漫運営を行うことは、将来世代に過大な負担を押し付けるだけでなく、将来不安の拡大や長期金利の急騰を招くなど財政に対する不信を増大させ、結果として経済再生を妨げることになります。

税金に巣食う「お化け」を徹底的に退治し、当面、予算の使いみちを大胆に転換することで、財政規律を維持しながら、経済再生をすすめます。

平成16年度には、国直轄公共事業の1割削減で3000億円、補助金の一部一括化に伴う事務経費削減等で2000億円、特殊法人等向け支出の1割4000億円など、約1兆4000億円程度を捻出し、政権公約実現の財源とします。

平成17年度は、国の直轄公共事業の2割削減で6000億円、補助金の一括交付化の範囲拡大に伴う一括化対象補助金の5%削減で7000億円、特殊法人等むけの支出の2割削減で8000億円などにより、約2兆5000億円程度を捻出し、政権公約実現の財源とします。

4 「経済再生5ヵ年プラン」と「財政再建プラン」を策定します。

政権獲得後、ただちに緊急対策を講じると同時に、経済再生に向けたより総合的な対策のための準備をすすめます。まず各省庁が国民に隠している経済・金融・財政の最も肝心な部分の情報を新政権として把握し、情報公開します。その上で、こうした経済・金融・財政の膿と無駄の一掃と、民間需要を中心とした強い経済を創ることを内容とする「経済再生5カ年プラン」を、平成16年度中に作成します。

経済再生を軌道に乗せつつ、後世代に過大なツケを残さず、持続可能な財政を創るために、平成17年夏(平成18年度予算編成開始)までに、10年〜15年をめどとして実質的な借金増をストップさせることをめざした「財政再建プラン」を策定します。


2003年10月05日 民主党政権政策/マニフェスト 戻る目次前へ次へ