三 「自立力」をもった
活力に輝く地域を創造します。
地域が自立性をもつことで、住民一人ひとりの活力から「つよい地域」が生まれます。民主党は、自治と地域の経済力を培い、道州制も展望した「分権革命」を推進します。
1 「分権革命」-地域の問題は自分たちで決める社会を築きます。
(1) 国の補助金18兆円を廃止し、地方が責任と自覚をもって使えるお金に変えます。
つかい道が不必要に制限されている総額約20兆円におよぶ国の補助金のうち、約18兆円分を廃止し、地方自治体ごとの責任と自覚によって使途を決められる「一括交付金」にします。
廃止する約18兆円の補助金のうち、約5.5兆円分を所得税から地方住民税に税源移譲し、約12兆円を一括交付金とする案を軸に、全国の改革派知事・市町村長とも協力して、税財源移譲をすすめます。
政権獲得後、予算措置でできる部分から個別補助金の廃止=一括交付金化を開始します。さらに、平成17年夏までに関係法律の改正をすすめ、平成18年度には、補助金の廃止を約18兆円にまで拡大します。
なお、国から地方への財源移譲に当たっては、住民による行政に対する評価や監視態勢の整備を行うとともに、国が率先して実施する入札改革などの談合防止策や、行財政改革による行政経費の節減を、地方自治体にも求めていきます。
(2) 中央省庁の権限限定と自治確立、住民の行政参加権限を明確にします。
任期中に、中央省庁の権限を限定して、地方自治体との間の権限配分を明確にすることなどを内容とする地方自治確立に関する法律案、また、施策の決定に住民が参加し意思を反映するために最も重要な「情報公開」「住民の直接参加」を強化するための「住民自治推進基本法案(仮称)」や「住民投票法案」を国会提出し、その成立をめざします。
2 中小企業予算7倍増、政府系融資の個人保証撤廃を実現します。
地場産業と商店街に元気を取り戻すため、中小企業むけの助成や商店街の活性化のための予算(平成15年度予算で約900億円)を7倍増にする年次計画をつくり、まず平成16年度予算では倍増させます。エンジェル税制の改善などにより、事業立ち上げ時に資金が円滑に集まる仕組みを構築し、起業の促進も図ります。
また、金融再生ファイナルプランに加えて、個人保証を余儀なくされている中小企業金融の誤った常識を転換させるため、政府系金融機関(国民公庫、中小公庫、商工中金)が行う貸付は、5年間で原則として個人保証をなくします。
3 1兆円の農業関連予算を改革し、無駄のない直接支援・直接支払制度をつくります。
食料の安定と食の安全確保のため食料自給率の向上を図るとともに、緑豊かな国土の保全など、農業の多面的な機能を再評価し、国民的合意にもとづく「環境と食の業」としての農業の確立をめざして、食料の安定生産・安定供給を担う農業経営体を対象に、平成18年度スタートをめざして直接支援・直接支払制度を導入します。
不透明な部分が極めて多い農林土木公共事業の削減、複雑な生産奨励などの個別補助金の洗い直しを行い、その関連予算約1兆円の中から新しい制度の財源を捻出します。
4 郵政改革で国民サービスの向上と、地域・中小企業への資金供給をすすめます。
本年4月に郵政公社が発足しましたが、郵便事業の実質的独占、郵貯資金等の特殊法人による無駄遣いなどの弊害は除去されていません。「民営化」の掛け声や見せかけの改革ではなく、現実に国民生活の向上・地域経済の活性化に資する郵政改革をすすめます。
民主党は、現在の郵便ポスト10万カ所設置などの高すぎる郵便事業への参入要件や、経営に対する過剰な行政の関与を排除し、2年以内に、ユニバーサルサービス(全国どこでも一律料金で配達)を前提として、民間企業の参入を大胆にすすめます。
また生活者の観点から、例えば郵便局でパスポートが取れるようするなど、郵便局ネットワークを行政のワンストップサービスの拠点として活用します。
最終的な経営形態を考えるには、その前に膨大な郵貯・簡保資金をどうするかを決めることが先決です。まず、金融情勢を見定めつつ、郵便貯金の預入限度額及び簡易保険の加入限度額の段階的な引き下げをはじめます。
さらに、郵貯・簡保資金を地域、中小企業に役立たせるシステムを市場機能を活用して構築することを検討します。
5 6割のNPOに税制でも支援します。
特定非営利活動法人(NPO)を、地域のサービス等の供給の担い手、雇用の受け皿として育成・支援します。
任期中に、全国1万2000余のNPOのうち、僅か15法人(2003年8月現在)しか認定されてない税制優遇の認定要件を、その6割が認定を受けられるように大幅に緩和します。また、少額寄付をしやすくするため、個人がNPO法人に行う寄付の所得税控除を1万円以下の寄付でも認めます。
6 「緑あふれる地域」を次世代に引き継ぎます。
(1) 10年間で1000万haの森林を再生―「緑のダム」を育みます。
森林に本来の保水力を取り戻すことによる水害防止効果や、森林による二酸化炭素を固定し地球温暖化を防ぐ効果に着目し、環境破壊型公共事業から、環境・緑を守る持続可能な公共事業(=緑のダム事業)へと転換し、10万人の雇用増につなげます。
間伐などの森林整備を公共事業化することにより、10年間で1000万haの森林を再生することをめざし、政権獲得後ただちに年次計画を策定して、初年度に約1000億円、4年後には2500億円の予算を国直轄の公共事業の振替で捻出します。また、この計画に付随して、美しい河川をとりもどし、人々の憩いの場、多くの生物が生息する場とするために河川の自然再生事業を積極的にすすめます。
(2)
新エネルギー予算を倍増、低公害車普及・拡大をすすめます。
風力、太陽、バイオマス、波力・海洋エネルギー等の再生可能エネルギーや、燃料電池等を中心とした未来型エネルギーの開発普及のため、新エネルギー関連の予算を計画的に増額し、現行の年間1500億円から政権任期中に3000億円へと倍増させます。
また、電気自動車、燃料電池自動車をはじめとした環境にやさしい乗物に対する助成を強化します。すでに普及しつつある電気自動車に対する集中的助成、今後本格的実用化が見込まれる燃料電池車への支援を中心にして、低公害車の普及・拡大をすすめます。必要な予算は、エネルギー関係予算全体の中での振替および環境対策予算などを充てます。