2003年5月6日(火) | 戻る/ホーム/記者会見目次 |
菅 直人代表/定例記者会見要旨
○株価上昇と言いたいが、決算評価は3月末の株価でなされる ○政府・与党は経済に対して手の打ちようがなく、無関心になってしまっている ○今日からわが党の緊急事態法制の審議開始、しっかりした態勢で臨んでいきたい ○有事法制の議論に方向が出るまで、合流問題の同時並行はなかなかとりにくい ○松浪議員の辞職勧告決議案がたなざらしだが、簡単に忘れるわけにはいかない |
株価上昇と言いたいが、決算評価は3月末の株価でなされる
【代表】連休明けということで、皆さんも英気を養われたのではないでしょうか。今日は久方ぶりに株価が8000円を回復したということであります。大変嬉しいニュースと言いたいところですが、実際には3月末の株価によって、銀行を含む決算評価がなされるわけです。3月末は7972円であったわけですから、これが6月に決算発表されるときに、普通の常識で言えば、大手銀行軒並み赤字転落ということになって、場合によっては自己資本が足りなくなるということも考えられます。
そういった点で、いまイラクの戦争などでいろいろな経済の問題がやや隠れておりますけれども、3月末の株価によってなされる評価がどういう形で出てくるのか、わが党の中に今日ですか、粉飾告発ホットラインというのをインターネット上に受ける態勢をつくりました。
つまりはいま、一生懸命つじつま合わせの数字を各銀行がつくっているのではないか、と過去の例からいってそういうことが大変多いわけですが、そういうことを、きちっと事実関係を把握するために、内部告発的なそういうものを受け止める態勢をつくったということも、あわせて申し上げておきます。
政府・与党は経済に対して手の打ちようがなく、無関心になってしまっている
【代表】報道によりますと、与党自民党のデフレなんとか委員長の相沢さんなんかが、補正予算について触れているようです。どういうわけかこれも、当初今年度の予算審議の頃から、補正予算の議論が与党の一部であったわけですが、現在それも何となく隠れてしまっています。
私たち民主党として、予算については組替えを要求してきたわけですから、そういう意味では改めて、当初11兆8千億の内容の組替えの補正というものは、場合によってはこれからでもやっても部分的には効果があるものがあると思っています。
ただそういう議論がまったくなされない、あるいは一部議論がなされているにしても、少なくともそういった問題が出てこない、このことも含めてまったく経済に対して手の打ちようがないために、いわば無関心になってしまっているのではないか。政局だけで、経済に対して無関心になっている。このことを改めて申し上げておきたいと思っています。
今日からわが党の緊急事態法制の審議開始、しっかりした態勢で臨んでいきたい
【代表】今日からいよいよ、30日に提案したわが党の緊急事態法制の委員会における趣旨説明がおこなわれて、いよいよ審議に入ることになりました。わが党としては、約束どおり法案を出しましたので、この法案に対しての与党からの質疑を受け、また場合によっては与党からのいろいろな質疑を受けながら、どういう形でこの法案の成立を目指していくのか、こういう段階に入ってくると思っています。しっかりした態勢で臨んでいきたいと思っております。
有事法制の議論に方向が出るまで、自由党との議論の同時並行はなかなかとりにくい
【代表】自由党との合流問題について、いろいろ今日も役員会、さらには常任幹事会でも経過報告と多少の状況に関する意見がありました。
基本的に統一地方選挙が終わって、その後に一つの方向を出すというのが両党の約束になっておりますが、一方で有事法制がちょうど衆議院における、場合によっては今週から来週にかけて山場になる時期にあたっております。
そういったことを含めて、自由党の皆さんとの間での話し合いをどのように進めていくのか、わが党の立場からすれば、有事法制についてきちんとわが党自身として対応できることが一つ大変重要な要素があるし、同時に自由党との合流問題についてどういう形で前に進めていくのかという問題は並行してあるようですが、時期的に絡むことは、必ずしもわが党にとっては本来なら避けたいなと思っていたところです。
そういったところで、いま幹事長を中心にいろいろ話し合いをしていただいておりますので、場合によっては有事法制の議論を一定程度方向が見えてくるというところまで、いろいろ議論を進めるとしても、同時的な形というのはなかなかとりにくいというふうに思っておりまして、その点の理解を自由党にも得たいなと、こんなふうに思っているところです。
松浪議員の辞職勧告決議案がたなざらしだが、そう簡単に忘れるわけにはいかない
【代表】松浪健四郎議員の辞職勧告がたなざらしになっております。たなざらしにしているうちにみんな忘れるんじゃないかと思っているようですが、そう簡単に忘れるわけにはいかないわけでありまして、この問題についてきちんとした対応をしていただきたいと思っております。
<質疑応答>
個人情報保護法案は、野党案に近づけるため、参議院で更に頑張ってほしい
【記者】個人情報保護法案が本日衆議院を通過しましたが、結果的に与党側に押し切られたとも言えると思うのですが、参議院で巻き返しをはかるつもりなのでしょうか。また野党案を出しておきながら、衆議院では諦めるのが早かったのではないでしょうか。
【代表】今日の最後の石毛議員が反対討論に立たれて、その中でも主張をきちんと述べられていましたが、もともと政府提案というものがあったものを廃案に追い込んだ。そして廃案に追い込む中で、少し変えられた形の更なるものが今回出てきて、それに対して野党が対案を出してきた。
そういう経過の中で言えば、まだまだ十分な議論であったかといえば、例の防衛庁の問題など我々としてはもっと議論をすべきだという面もあったようですが、少なくともそういう全体の経緯で言えば、相当程度に、この間廃案になったものも含めれば、頑張ってきたある結果がこういう形になったと私は認識しております。
そういう意味ではもちろん野党案が否決になったわけですから、現在衆議院を通過したものについては大変問題があるという認識ですので、参議院で更に野党の提案をするしないは、私は直接は聞いておりませんが、少なくとも衆議院で出した野党案により近づけるため、あるいは更に問題点があるとすれば、問題点をよりクリアするため、参議院として頑張ってもらいたいと思っております。
十分だったか、なかったかという評価はいろいろあると思いますが、前国会からの中でいえば相当程度に頑張った課題のひとつだと思っております。
合流について議論があるのは当然、300小選挙区の協力の作業は進める
【記者】先ほど言われた自由党との合流問題で、有事の議論を優先させたいとおっしゃいましたが、理解を自由党に求めるのはすでに始めていらっしゃるのでしょうか。また今日の常任幹事会などで、統一会派について反対意見などがあったと聞いていますが、一方で合流に賛成する議員からも批判があったりなど、今後どのように党の意見を集約していくのかお聞かせ下さい。
【代表】有事法制を優先という表現は、私はたぶん言葉として使っていないと思います。我々として、時期がだぶって議論をするのは、できるだけ避けたいと思っていたんですけれども、国会日程というのはなかなかわが党だけの考えだけでは日程が決まりませんので、結果的に非常に重なる時期になったので、できれば有事法制について、わが党のこれからまた審議を通して、あるいは審議に並行しての議論が必要になりますので、そういうものを進めることが大変重要な時期に達している。
そういった意味では、自由党の皆さんには自由党の皆さんとしてのいろいろな見方があると思いますが、わが党の立場を理解いただきたいなと思っているところです。そのことはいろいろな形で伝えていただいていると理解しています。
それから合流についていろいろな意見があるのは当然のことでありまして、いろいろな意見があるからこそ議論をしているので、始めから全員が一つの意見であれば、これほど議論する必要はないわけです。
ただ先ほど冒頭に申し上げれば良かったのですが、これは私の口からは何回となく申し上げていますが、正式に今日の常任幹事会で、300の小選挙区については民主党と自由党との間でバッティングする選挙区は一つもつくらないということを大原則として、作業を進めるということで常任幹事会の確認をいただきました。
その進め方としては当然ながら、バッティングしているところで、どちらかに選挙区を変わっていただくとかいろいろなやり方がありますが、一つの例として私が申し上げたのは、例えば新人同士がバッティングしてどちらも引かないという場合に、両方が納得づくでなければいけませんが、例えばあるときに世論調査などの手法を使って、それによって決めていく。
そういうことも含めて最終的に与党の自民・公明・保守が一人に絞って前回来ている以上は、わが党と自由党との間でもそのことを実現するために全力を挙げたいと確認をされたところです。
逆にいえばそういうことをやっていけば、何度も申し上げていますが合流そのものが目的ではありません。政権交代が目的で、政権交代をする上で最も効果的な協力の仕方が、どうすることが効果的であるかということで、それぞれ知恵を絞っているわけですから、その中で議論していけば、おのずからある段階で方向性が見えてくると私はそのように思っています。
重要法案で野党が同一歩調をとれるかということと、合流の促進・支障を絡める必要はない
【記者】現在合流問題について4つの選択肢ということが挙がっていますが、今後有事などの重要法案の賛否については、なるべく野党は足並みを揃えてやるべきでしょうか。またその点については今後すべきだとお考えでしょうか。
【代表】国会対策という一般的な点で言えば、野党がこの間もいろいろな問題で協力し、多くの場合は共同歩調でやってきました。ただ有事の場合は、社民・共産との共同歩調というのは、もともと不可能な状況にありますし、また自由党も独自の案を出されておりますので、他のこれまで共同歩調をとってきたものとは、相当状況が違うということはお互いに認識しているところだと思っております。
もちろん政府案に対する対応として、ある部分で同一歩調を部分的にとれる場面もあるかもしれませんけれども、それはどちらかと言えば国対の中での話ということで、それが出来なければ合流問題に支障をきたすとか、出来ることでそれに促進材料になるとか、私自身はあまりそのことを絡めては考える必要はない、この問題は私は一般論的にはできるだけいろいろなことで共同歩調をとれたほうがいいですが、必ずしもこの問題はいま合流で話されている問題にそう直接的な影響を与えるものではない、という認識になっております。
有事法制の修正協議は、わが党の対案に対する与党・自民党の主張を聞いてから
【記者】有事法制の対応についてですが、小泉総理も修正協議に柔軟な考え方を打ち出しています。民主党としては修正協議に臨む方針はどのようにお考えでしょうか。
あるいは政府与党側に対して、どのような修正を求めていきたいのかお聞かせ下さい。
【代表】わが党案が正式に提案されて、今日初めて正式な場で説明されたわけですから、そのわが党の案が100%賛成だと言っていただければ当然それに沿って進むわけです。
そうではない形で与党の皆さんが言われるのであれば、まずその与党の皆さん、とくに自民党の皆さんがどういうふうに、こういう点は受け入れていいけど、こういう点は難しいとか言われるでしょうから、まずそれを聞いてからだろうと思っています。
一般的に、国会活動を共にするのが統一会派だが、細かく詰めているわけではない
【記者】自由党との合流問題で、文化の違いを乗り越えて合流するというような言い方をたまにするのですが、代表が少なくとも認識されている、民主党と自由党とのカルチャーの違いというのはどんなところでしょうか。
【代表】そういう評価は皆さんでやって下さい。私は当事者ですから、当事者はあまり評論するというのは、必ずしもいいことではないでしょうから・・・。
【記者】合流問題で確認ですが、統一会派となるともちろん党議拘束もかかりますし、ある程度政策面での一致が必要だと思いますが、その点政策面を一致させて統一会派というお考えでしょうか。
【代表】私に聞かれても、私が答えるべきかどうか分かりませんが、幹事長が4つの選択肢を挙げた中に統一会派というのは一つ入っているわけで、一般的には当然、統一会派を組む以上は、手続きを含めて国会での対応を一つにするというのが、一般的には当然の原則だと思っています。
ただ統一会派にもいろいろな種類がありまして、いまももしかしたら参議院の統一会派も、ある部分では会派は統一だけれども、賛否はそれぞれ自由に、なんていうのも参議院ではあったりはして、かつて二院クラブなんていう政党はそういう姿勢をとっておりました。
ですから、一般的には私は国会の活動を共同にするのが統一会派だと思いますが、例外的にはそうでない会派もあり得るということで、そこまでまだ細かく詰めているわけではありません。
編集/民主党役員室
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