2003年12月5日(金) | >>菅直人代表の記者会見録 | 戻る/ホーム/記者会見目次 |
岡田克也幹事長 定例記者会見要旨
■外交官襲撃・殺害事件への哀悼
【幹事長】まず、2名の外交官がお亡くなりになり、昨日の棺が日本に帰ってきたときのご家族の状況を見ても、まさしく言葉もないような大変残念な、悲しい光景だったと思いますが、それは多くの日本国民が同じような気持ちでお迎えになったのではないかと思っています。
明日には合同葬が行われますので、是非参加をして、少しでも私たちの気持ち、民主党としての2名のお亡くなりになった外交官に対する哀悼の意を表したいと考えています。
■民主党「イラク問題に関する現時点での考え方」(要旨/本文)
【幹事長】それから、イラクの問題につきましては、先ほど配布させていただいた形で、民主党の「イラク問題に関する現時点での考え方」を今日、代表と私と政調会長、それから前原ネクスト安全保障大臣の4名で協議をして取りまとめました。
今、『次の内閣』がなかなか開催できない状況ですので、これを党の考え方ということで、関係するいろいろな党の組織、地方組織などにも流して周知・徹底したいと考えています。
中身はここに書かれたとおりで、あえて読み上げることはしませんが、我々もイラク国民の立場に立ったイラクの復興のための支援が重要であるということは繰り返し申し上げていますが、現状での自衛隊の派遣には断固反対するということです。
将来的に新たな国連決議、今も国連決議はありますが、ヨーロッパのフランスやドイツも「実質的に」賛同するという形、そして中東諸国も含めて、きちんとした形での国連決議がなされる。
つまり、今の国連決議は、アメリカとの関係で合意はしたものの、じゃあ本当に自らも参加してまでやろうということでの国連決議ではありませんので、そういった主な国あるいは中東の国々が必要だと本当に考えての国連決議ができる。あるいはイラク国民の手による政府ができる。
そういう状況において、もちろん憲法の枠の中で、日本がPKOの要件を緩和して参加していくということは将来あり得ると考えていますが、現時点ではここに書いたような理由、つまり戦闘地域と非戦闘地域の区別ができない状況の中で、憲法9条の禁ずる海外での武力行使につながることになりかねない。
そして、もちろん戦争の大義がないなかでの戦争であり、その戦争を行った米英軍が今、イラクを占領しているという状況での自衛隊の派遣とうことになりますから、そういったことには参加すべきではない、自衛隊の派遣には反対であるということを改めて確認したものです。
■自衛隊派遣阻止のための国民運動
【幹事長】これから、そういった考え方がまとまりましたので、私と国民運動委員会の名前で、各地方組織にもこれからの活動の取り組みについて指示を出そうと考えています。
街頭演説、街頭における宣伝活動も来週の月曜日にまず行う予定にしていますし、各都道府県連においても同様の取り組みをしていただきたいと考えています。
それから、次の14日の日曜日には、連合とともに日比谷でデモと集会を考えていまして、我が党と連合を中心にそういった活動を行っていきたいと考えています。それぞれの都道府県連に対しても、同様の活動を求めていきたいと考えています。
近々閣議決定という報道もありますが、いずれにしても党として全力を挙げて国民に呼びかけ、国民運動を展開するなかで、自衛隊の派遣を阻止するということを、是非とも成し遂げなければならないと考えています。
アンケート調査を見ても、国民の圧倒的多数が今自衛隊を送るべきではないと言っているなかで、基本計画を閣議決定し、あるいは自衛隊を送るということになれば、これはまさしく暴挙だと言わなければならないと思っています。
<質疑応答>
■JICA、NGO等との連携促進
【記者】今日いただいた考え方の中で、「国際協力機構(JICA)、非政府機関(NGO)等と連携を促進するための取り組みを強化する」とありますが、具体的にはどのようなことをお考えになっているのでしょうか。
【幹事長】これから関係のNGOとも協議をしていくなかで、具体的に何ができるか検討していきたいと思います。
■陸上活動なき自衛隊
【記者】2点伺います。将来的に国連で枠組みができたらという話でしたが、その可能性がどの程度かということをどんな形でどのような方の話を聞いているのでしょうか。例えばフランスやドイツの人に話を聞いているか、コフィ・アナン以下国連の人たちにどんな話を聞いた、あるいは聞かなかったのか、これが1点です。
それから、アフガニスタンでは、もちろん海上では自衛隊が給油活動をしていますが、広範な連合軍の形成されていて秩序の任務に当たっています。しかしここでも地上には自衛隊は1人も行っていない。そうすると、テロ戦争の中で地上のプレゼンスは何もない。これは経済大国第2位である日本としてどう考えるべきなのか。この2点です。
【幹事長】まず2番目の点は、日本も憲法を持っている国ですから、憲法に反したことはできないということは世界の国が当然理解していると考えています。
戦闘地域と非戦闘地域に分けて、非戦闘地域でなければ憲法9条に抵触するおそれがあることは政府自身も認めているわけで、そのことを無視して自衛隊を派遣するということは、それは憲法を自ら踏みにじるものであって、そんなことは許されるはずがないと考えています。
それから第1点ですけれども、これはこれから各国大使館と連携しながら具体的に、我が党は政府ではありませんので非常に限界はありますが、それぞれのフランスやドイツといった国の大使館と今連絡を取りつつあるところですが、そういうところに代表や私がお伺いをして、協力をして国連決議を作っていくということについて、可能な限りの努力をしていきたいと考えています。
国連決議のできる可能性があるかないかということは、これからの状況次第だと思いますが、私は現状のまま、アメリカも含めて、今あるスケジュールの中で順調に進んでいくとはとても思えませんので、やがてそういった時期が必ず来ると思います。
■新たな国連決議と自衛隊派遣の見通し
【記者】国連決議ができて自衛隊派遣の可能性が出てきた場合に、戦闘地域、非戦闘地域の問題がある以上、なかなか民主党の言う理屈で派遣できない状況が続くのではないかという気がするんですが、その点の見通しはどうなんでしょうか?
【幹事長】それは状況次第です。今は明らかにイラク全体が戦闘状況にあると我々は考えているわけです。
これは、アメリカ自身もかつてのフセイン政権時代のナンバー2が全体の指揮を執っているということも暗示しているわけで、間接的にはそういったことも言っているわけですから、まさしく戦闘状況、つまり戦争は続いているということですね。確かに降伏したということもないわけですから。
しかし、そういう状況はこれから何らかの形で終了して、散発的なテロ的な行為になれば状況が違ってくるかもしれません。それから地域的な問題も当然あると思います。やり方もあると思います。そういう中で自衛隊の協力の道というのを探っていくことは可能だと思います。
しかしそれはいろいろな条件が満たされただけのことですから、今あまり先の話を具体的に論ずるのは意味がないと思います。頭の中の整理として論理的な整理をしたということです。
■イラク問題に対する民主党の姿勢への批判
【記者】国連決議ということは枠組みの話だと思うのですが、一方で実際そういうお膳立てができない限り民主党は何もしようとしないのかというような批判も出てますが、その点についてはどのようにお答えになりますか。
【幹事長】じゃあ、逆に占領軍があり、戦闘しているところに日本が協力するというのは、憲法上もあるいは国としてのあるべき姿から言っても、それが必要だというのは違うのではないかと私は思います。大義なき戦争を起こして、その戦争がまだ続いているときに、なぜ日本がそれに協力すべきなんでしょうか。
■政府・与党年金協議
【記者】政府・与党で年金の協議が続いていますが、国庫負担の2分の1への引上げについて、財源問題を先送りするというような報道もありますが、それについてまずどうお考えなのか。また、総理が野党との広汎な協力・協議をして年金問題についてやりたいと言っていますが、民主党はどういう場でどのような協議をしたいと考えているのか伺いたいと思います。
【幹事長】前者のほうは、選挙の最中から「これはまとまらない」と私は断言していました。公明党は所得税増税ということを言っていましたが、自民党はそれに賛成するはずがない、あるいは経済の状況がそれを許すはずがないということを私は断言していましたが、その予想どおりになったということです。
公明党がマニフェストに掲げて、そして「この選挙は年金選挙だ」と言いながら、そのマニフェストに反する結果になったことについて私は大きな責任が公明党にはあると思います。選挙が終わったのはまだつい最近です。そして早々とその最も大事と自ら主張したマニフェストの内容を貫徹できなかったということは、大きな政治的責任があると考えております。
小泉総理がいろいろとおっしゃっているようですが、基本的に大きな話をするのであれば、それは結構だと思いますが、その前にそれじゃあ総理あるいは政府は、与党はどういう考え方をしているのかということをしっかりまとめていただきたいと思います。
我々の基本的な考え方はすでに述べてあります。それが政府としての考え方がないままそういった協力を呼びかけられるということは、そういう大きな話ではなくて目の前の具体的な年末の改革の話を、自ら責任を負わないように争点をズラしていると受け止めています。そういう政治的な発言に過ぎないと考えています。
■外務・安保部門原案への代表・幹事長の指摘
【記者】先ほど代表、政調会長、前原さんとお会いになったということでしたが、そこで代表、幹事長から先日の外務・安全保障部門会議で出た原案に対してどのようなご指摘をされたんでしょうか。
【幹事長】党の中のことですからそのことについてコメントをすることはありません。大きな違いはありません。少し考え方の整理をしただけですから。
■PKOの要件緩和
【記者】先ほど「憲法の範囲内でPKOの要件を緩和して」とおっしゃいましたが、恐らく5原則の話ですとか、武器使用基準の緩和のことじゃないのかなと思うんですが、どういうことを想定されておっしゃったんでしょうか。
【幹事長】武器使用基準の話もあるかもしれません。それから、PKO5原則のうち相手国の同意というのは、政府ができればその政府が同意すればいいわけですが、当事者間の停戦合意は相手が消えてしまうとできないわけですね。そういったところについてどう考えるのか。これは東ティモールのときもよく似た問題があったのですが、そういったことを念頭に申し上げました。
■イラク問題とエネルギー安全保障
【記者】ペーパーの日米同盟のところで、エネルギー安全保障との関係に考慮すべきであるということを述べておられます。この点をもう少しどういう意味なのかお伺いできますか。
【幹事長】ブッシュ政権との関係についてということで触れるべきなのかどうかというのは、必ずしも明確ではありませんけれども、私の考え方を言わせていただくと、確かにイラクというのは重要な産油国ですが、ただ、あまりそういう短期な視点で考えるのではなくて、もしイラクが国としてまとまりを欠く状況になり、テロリストが支配するということになれば、イラク一国の問題ではなくて中東全体に不安定な状況を招くだろう。そういうことになるということは、これはかなり大きな問題だと思っています。ただ、その元を招いたのが大義なきイラク戦争であったということも、これまた事実です。
■江本参議院議員の離党
【記者】江本参議院議員が離党届を提出したということなんですが、これの確認とですね、今後常任幹事会などでの対応についてお聞かせください。
【幹事長】今日、江本さんが離党届を持ってこられました。日付が少し前になっていたのですが、11月26日だったかな、江本さんとしては参議院の議員会長のところに持っていかれて、それで届出が完了したと思っておられたようなんですが、執行部として受け取ったわけではありませんので、改めて今日持ってきていただきました。したがって、離党届は受理されました。日付がどうとか細かい話は申し上げません。
江本さんとは多少お話もいたしましたが、今後のことは大阪府連として太田現知事を推薦するという決定をして本部に上げてきていますので、常任幹事会でこれから議論することになります。
どうなるかというのは議論は両論ありますので、今私からあまり申し上げるべきではないと思いますが、府連が決定したということは1つの重要な事実だと思います。
ただ、党の中には同僚議員だった江本氏に対して、「想いを寄せる」というとちょっと恋愛みたいになりますが、江本さんに対して評価する声もありますし、太田知事の知事としての業績というのは基本的に府連が判断されればいいと思いますが、例えば北海道知事選に自民党の候補の応援に行ったとか、選挙の応援その他で民主党の推薦候補としてはいかがなものかという行動もかつてあったんじゃないかという声もありますので、そういったこと全体でどう判断するかという問題だと思います。まだ常任幹事会を開いていませんので、結論が出ているわけではありません。
編集/民主党役員室
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