9月30日(木)　法務（敗訴者）、都議選、帰岡、伊勢�ｱさん祝賀会

今日は9時半から1時間、法務部門会議に出席。司法制度改革推進本部の担当者から、民事訴訟費用法改正案の説明を聞き、質疑をしました。懸案となっている、民事訴訟の弁護士費用を敗訴者負担とするかどうかです。司法制度改革審議会が、敗訴者負担制度の採用を決めたものの、訴訟提起の障害とならないよう、機械的な一律導入には歯止めをかけたため、どういう導入の仕方があるか、推進本部で議論を続け、今回の法案となったものです。

現状では、民事訴訟を起こそうと思っても、弁護士費用は自分持ちとなるため、その負担を懸念して訴訟を断念するのであって、この司法アクセスの障害を取り除くというのが、この制度導入の目的です。しかし、本当にそういうアクセス障害があるのかどうか、逆に、敗訴すれば相手の弁護士費用を押し付けられることになると、消費者訴訟や行政訴訟のような類型の訴訟は起こしにくくなるのではないかという疑問が、主として弁護士さんたちから強く出されました。

これは、訴訟の現場にいる弁護士さんたちの実感に基づく疑問ですから、説得力があります。しかし政府は、審議会意見書に入っているので、何としても格好をつけたいと、あれこれ知恵を絞って、今回の改正案を持ち出してきました。両当事者ともに訴訟代理人として弁護士がついている場合であって、かつ、訴えの係属後で口頭弁論終結前に、両者の合意による申し立てがある場合に限り、法定された限度で、弁護士費用を訴訟費用として扱い、訴訟費用負担の裁判に従って、確定決定により負担を定めるというものです。

要するに、合意による敗訴者負担という制度を導入するというのです。しかも、訴訟外での申し立ての合意は、訴え係属前や訴訟代理人がいない場合は無効というのです。そうすると逆に、それらの場合でも、申し立ての合意の前提となる、負担に関する合意自体は有効ではないかとの疑問が生じます。もしそうなら、弁護士のアドバイスの届かないところで、理不尽な合意が横行することも懸念されます。Etc、etc。

郵政民営化と同じで、いろいろ言うけど、何のため、誰のためなのか、さっぱり分かりません。思わず、竜頭蛇尾ならぬ竜頭蛇足だと、陰口を叩いてしまいました。制度導入を真剣に考えていた人たちが、よくこんなもので納得したものだと、彼らの真剣さを疑います。推進本部の面子だけではないかと、勘繰りたくなります。

10時半からの予定がなくなり、デスクワーク。11時半に、来夏の都議選に立候補を考えている若者が来て、1時間強、意見交換。若者の直球は、すがすがしくて魅力的なのですが、立ちはだかる苦労を考えると、痛々しくも思います。さらに来客。

14時半過ぎの新幹線で帰岡。18時半から2時間強、備前焼作家の伊勢�ｱ淳さんの人間国宝認定記念祝賀会に出席。「島の千歳」という唄と小鼓の曲を聴き、楽しい時間を過ごしました。芸術の秋です。しかし現実には、岡山県でも台風21号は荒れ狂い、多くの被害を出しています。お見舞い申し上げます。