2004年6月22日 戻るホーム憲法目次

創憲に向けて、憲法提言 「中間報告」
「法の支配」を確立し、国民の手に憲法を取り戻すために


憲法提言のための中間報告をまとめて

民主党は、1999 年から党内に憲法調査会を設置し、時代の変化に対応しうる、言わば生きた憲法を確立しければいけないという姿勢でこれに臨んできた。そしていま、その場凌ぎの対応を繰り返す政府によって憲法の「空洞化」が進み、いわゆる条文上の文言を守ることに汲々として憲法の「形骸化」を放置する状況に直面し、私たちは、21 世紀の新しい時代に応える創造的な憲法論議が必要だとの思いを強くしている。

そもそも日本では、中央集権システムの下で、官僚による恣意的な行政指導が横行し、「法の支配」が形骸化するという傾向を強く有していた。そのうえ、今日、例えば、「初めにアメリカありき」の外交により、ルールなき自衛隊の海外派遣が繰り返されて、あたかも日米関係が憲法を超えるかのような政治の実態が生まれている。

明確なルールの下で運営されない政府を持つ国を、アジアの近隣諸国は信用しないだろうし、国民もまた、そうした政府を信頼することもないであろう。私たちは、こうした現実に何よりも深い危惧を抱くととともに、強い警告を発したいと考えている。

民主党が掲げる「創憲」は、このような危うい政治の現実に対して、立憲政治を立て直し、「法の支配」が確立された社会を創り出すことにその大きなねらいがある。そして、過去を振り返るのではなく、未来に向かって新しい憲法のあり方を考え、積極的に構想していくという意味での「創憲」がいま最も求められているものである。

本「憲法提言中間報告」は、この考えを基に作成されたものである。

民主党憲法調査会 会長:仙谷由人


  < 目 次 >

 【1】文明史的転換に対応する創憲を(第一小委員会:総論) −クローバル化・情報化の中の新しい憲法のかたちをめざして−
1.いま何故、憲法論議が必要なのか?
2.未来を展望し、前に向かって進む
3.新たなタイプの憲法の創造に向かって
4.憲法を国民の手に取り戻すために
 【2】国民主権に基づく確かな統治をめざして(第二小委員会:統治機構) 1. 国民主権と権力分立
2.分権国家・日本
3.首相主導の議院内閣制度の確立
4.二院制のあり方と政党の位置づけの明確化
5.国民投票制度の検討
6.憲法調査機能の拡充と違憲立法審査制の確立
7.会計検査、公会計、財政に関する諸規定の整備・導入
8.準司法的機能を有する独立性の高い第三者機関の設置
9.硬性憲法と憲法改正手続き
 【3】国際人権法と人権保障の確立をめざして(第三小委員会:人権保障) 1.国際人権法と人権保障
2.人権の実現と保障のために
 T.新しい人権
 U.人権保障と第三者機関
 V.法の下の平等
 W.情報化社会と表現の自由の制約
 X.職業選択の自由の保障
 Y.外国人の人権
 Z.財産権の保障と制約
 [.子どもの権利
 \.信教の自由と政教分離ルールのあり方
 【4】分権国家の創造をめざして(第四小委員会:地方分権) 1.中央集権国家から分権国家へ転換する
2.自治体の立法権限を強化する
3.住民自治に根ざす多様な自治体のあり方を認める
4.財政自治権・課税自主権・新たな財政調整制度を確立する
 【5】憲法の下の安全保障の確立をめざして(第五小委員会:国際・安保) −憲法9条論議の焦点と基本方向−
1.日本国憲法又は9条の原則的立場
2.国際協調主義に立った安全保障の枠組みの確立を

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