2001/11/19 いんたびゅー

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社会復帰こそ最終解決


長く療養所に隔離されたハンセン病患者への国家賠償を命じた五月の熊本地裁判決から半年。小泉首相の控訴断念決断、補償金支給法成立など大きな政策転換が見られたが、未解決の課題も少なくない。衆参の超党派百八十五人でつくる「ハンセン病問題の最終解決を進める国会議員懇談会」会長の江田五月氏(参院岡山選出)に聞いた。

−岡山地裁など原告団と国の和解基本合意も行われ、解決に向けた枠組みができた。判決以降の流れをどう見ているか。

「ハンセン病は感染力が弱く完治する病気であるにもかかわらず、九十年にわたり隔離政策を取ってきたことの過ちが周知された意義は大きい。議員懇談会は今年四月の設立以来、ハンセン病療養所入所者の側面支援を行ってきたが、元患者の処遇など課題は山積している」

−恒久対策については、元患者と国とが対策協議会の場で話し合いを進めている。

「われわれが求めているのは大きく言って、国の謝罪と名誉回復措置、国の過ちによって社会的偏見を生んだことに対する真相究明、社会復帰支援と復帰できない人のための在園保障だ。この中で最も難航しているのか真相究明。前任者の間違いを認めようとしない行政の体質を変えなければ、前進しない」

−判決では国会議員が適切な措置を取らなかった立法不作為が問われた。国会の責任をどう検証するか。

「国会に特別委員会を設置するのがベストだと思うが、現実的には議員の時間が取れず難しい。今後行われる国の真相究明の作業の中で過去の審議資料を調べてもらうしかない」

−岡山県邑久町の長島愛生園、邑久光明園など全国の国立療養所を訪問して実感することは。

「元患者らの平均年齢が七十四歳と高齢化している上、世の中の偏見が完全になくなっていない中で、苦労している人は多い。命あるうちに社会復帰したいと希望する入所者全員の願いがかない、家族や地域に温かく迎えられるまて、問題が最終的に解決したとは言えない」

山陽新聞 2001年11月19日朝刊掲載


2001/11/19

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