2002年5月21日 |
自ら国をつくる強み
参議院議員 江田五月
第二次世界大戦中に日本は東ティモールを占領して住民に大きな被害を与えたことがあり、身近にいる現地からの帰還兵が、戦後数十年たってもこの地域が独立を果たしていないことをひどく気にかけていた。その影響で私も東ティモール問題に80年代半ばからかかわるようになった。国連非植民地化特別委員会に出席して東ティモールに関する意見を述べたり、超党派の「東ティモール問題を考える議員懇談会」を作って勉強会や関係者との懇親を重ねた。「武力侵攻による(インドネシアの)支配を既成事実化してはならない」との思いがあったからだ。
しかし独立か自治かを問う住民投票(99年実施)を受け入れたインドネシアのハビビ元大統領の登場までは、事態が前進せず、数年前は、こんな日(独立)を迎えようとは想像もできなかった。
もちろん、今後の国の制度作りやインフラ整備は簡単ではない。グスマン大統領と与党フレテリンとのあつれきも心配されている。
しかし、この国は、長年の独立運動に始まり、独立を決めた住民投票、憲法制定議会議員の選挙(01年)、先月の大統領選挙と、国民が自分たちの未来を自分たちで決めるという手続きをひとつひとつ経験してきたという最大の強みがある。困難に直面しても、身に着けた民主主義の理念に立ち返って問題や対立点を解決してくれると期待している。(岩崎日出雄記者 毎日新聞朝刊 掲載)
2002年5月21日 |