2002/12 代表選活動日誌 (11/21〜12/10) |
11月21日(木)
11時半から国のかたち研究会。10数人が集まり、菅直人さんから訪台報告を聞き、党内状況につき意見交換。民主党が、国民の信頼を決定的に失い、年内にも面目一新しなければならないというのは、代表選での立場の違いを超えて、全党に共通した認識になりつつあると思います。敵・味方でなく、全党的議論で危機を乗り越えたいものです。
11月22日(金)
13時半から15時半過ぎまで、両院議員総会。統一補欠選挙総括と経済再生プランがテーマでしたが、100人余の議員しか集まらず、最後に議案了承を求めた時には、完全に定足数を割っていました。これで議論終結としてはなりません。
私の発言:「統一補選の特徴は、民主党の惨敗と記録的な低投票率です。この2つには、共通の原因があり、関連しています。民主党が無党派の市民層から拒否され、彼らが棄権したのです。これについて民主党が負っている責任を、赤裸々に描き出すことが、選挙総括の内容であるべきです。また、無党派の市民層は、選択を放棄したのではありません。直近では尼崎市長選の例があります。そこで民主党がとった態度も、点検する必要があります。」
11月27日(水)
民主党、自由党、社民党の統一会派を、菅さんに近い者が検討していると、報道されました。調べても、まったく根拠がありません。党内の疑心暗鬼を煽る策謀ではないでしょうが。
11月29日(金)
鳩山代表の動向が注目されていますが、19時前に記者会見で、この国会の会期中に出処進退を明確にすることと野党結集に引き続き努力することを表明されました。この一両日の報道は、鳩山代表ご自身の動きだったようで、現状打開の道を模索されたのでしょう。その上での発言ですから、辞任を決断された上での発言と受け止められます。その思いをしっかり受け止め、党の再建のために全党の英知を結集しなければなりません。野党結集はその先に開ける道で、まず民主党自身がしっかりすることを、他の党の皆さんも切望しておられるはずです。これからの鳩山代表の動きを注目しています。
11月30日(土)
鳩山代表の発言をめぐって、民主党内が揺れています。16時から、羽田特別代表と菅直人さん、野田佳彦さんの会談が開かれ、代表の出処進退と野党結集は分けて考えることなどで意見一致しました。羽田さんは横路孝弘さんとも会談。鳩山代表は明日、自由党の小沢一郎党首と会われるそうですが、党内合意のないまま、党の命運を決する行動をとることは、到底認められません。民主党は鳩山代表の私有財産ではなく、代表に独裁権力は与えられていません。民主党はこの危機を、禍を福に転ずる最もよいチャンスと生かし、全党で政党の基本をしっかりと再確認すべきです。
12月1日(日)
15時半から、鳩山代表の自由党との合流方針について、情報収集と意見交換。16時半から、国のかたち研究会の世話人が三々五々集まり、対応を協議しました。
鳩山代表は、私心を捨て身命を賭して取り組むと言われますが、実際は逆で、ご自分の劣勢を挽回するために、野党結集という錦の御旗を利用した印象が拭えません。これでは、私心に駆られ延命策を弄したことになります。政治家のうわべと本心が違う例を、またひとつ重ねたとすれば、残念ながら罪は重いと言わざるを得ません。
野党結集は、重要な政治のテーマです。その取り組みのためには、何よりもまず、民主党に対する国民と他の野党からの信頼を、取り戻さなければなりません。そのため最初にすることは、党の信頼回復のための新しい執行体制を作ることです。
12月3日(火)
17時から、両院議員総会。鳩山代表が正式に辞意を表明されました。理由として、代表選後の求心力の喪失と統一補欠選挙の敗北を上げられ、野党結集への取り組み強化を求められました。ここ数日の混迷で、民主党存亡の危機を強く感じていたので、正直言って、ホッとしました。鳩山代表の決断に、心から敬意を表します。一日も早く、党の再建に取り組む新執行体制を選ばなければなりません。新体制は、小泉パフォーマンスを論破して希望の持てる未来の道筋を示し、野党の結束を強化して政権交代への展望を開かなければなりません。党の全議員が私心を捨て英知を結集すれば、必ずすばらしい体制を確立できると思います。
12月4日(水)
土肥さんの会で、菅直人さんが「民主党を立て直すため、私心を捨てて考え行動します」と挨拶。さらに記者に、「今は党の結束が一番大切」と語り、10日の両院議員総会での代表選に出馬断念かと受け取られました。夜、記者数人に押しかけられ、私が真意の解説。
今の民主党は、党内の内向き抗争で、国民の信頼を失っています。岡田克也さんが立候補しそうですが、もしここで菅・岡田で党内を2分した多数派工作をすると、私たちの意図がどうであれ、党に対する国民の信頼はより酷く傷つくでしょう。ここは、岡田さんの決断がどういうものなのか、虚心坦懐に話し合ってみたいということです。岡田さんの決断次第では、岡田代表もあるし、菅代表、岡田幹事長という役割分担もあるかもしれません。頑なに主戦論を取るのでなく、国民の目線で柔軟に対処したいというのが、菅さんの真意だと思います。
12月5日(木)
10時から12時過ぎまで、法務委員会で会社更生法案の参考人質疑。このころから、代表選をめぐる協議や取材も激しくなり、委員会を時々中座しました。NHKの昼のニュースで、私の活動日誌の書き込みが報道され、「菅さん出馬断念」と波紋を呼びました。菅さんの意欲には、何の変化もありません。ただ、民主党の結束のためには、現状の延長線上で激突選挙をするのでなく、全党の議員が真に新たな心境になり、党を新しいフェイズに移行させることが必要です。そのことを菅さんが問うているのです。それが分からず、「菅は弱気だ。岡田の流れだ。」などと浮き足立つのでは、この党に未来はありません。
16時から、国のかたち研究会の緊急の集まり。20人程度が集まり、代表選に臨む態度につき協議。全員が発言し、国民の期待にこたえることが何より大切だと、菅さんを励ましました。菅さんは、出馬の構えで岡田克也さんとの話し合いに臨むことを表明。
17時半から両院議員総会で、代表選挙は10日と決定。18時から、平野貞夫さんの出版記念会へ。19時から1時間半、中華料理で記者懇談会。そこに菅さんから、岡田さんとの会談が終わったとの電話連絡が入りました。直ちに合流し、菅さんは路上で、記者の皆さんに、「自分が代表に選ばれれば、岡田さんに幹事長をお願いし、役割分担で党の結束を実現したいと、協力を求めました。しかし合意に至らず、明日再び会談することを約束しました。」と報告。
ところが岡田さんが再会談を断り、22時20分から出馬表明の会見をされました。ドライな対応にびっくりしましたが、私のほうもほってはおけず、23時から記者の皆さんに事情の説明をしました。心を開いた話し合いが出来ず、残念ですが、菅さんも出馬することになると思います。そうでないと民主党は、「市民が主役」の政党からどんどん離れてしまいます。
12月6日(金)
今日は、9時半から議員総会。角田会長が、堂々と新代表を選び、一致結束しようと挨拶。私は、菅さんからファックスで来た立候補の決意のチェックなど、内職状態でした。
11時半から、国のかたち研究会の緊急の集まりで、菅さんが立候補の挨拶。選対を立ち上げ、私が本部長になりました。
14時から、菅さんの記者会見に同席。立候補の決意表明です。岡崎トミ子さんの司会で、10分程度、菅さん決意を述べ、30分程度質疑応答。スムーズに進みました。
その後、私が、菅さんに代わり、党所属の全参議院議員に、挨拶の書面を届けました。衆議院も他の議員が手分けして回りました。菅さん本人も、お会いできる人に挨拶回り。有権者183人の党内選挙ですから、ひとことが命運を分けます。神経を擦り減らす選挙です。
12月8日(日)
今日は、10時過ぎの上越新幹線で越後湯沢へ。さらにJR在来線で糸魚川まで。13時過ぎに到着し、直ちに市民会館の大ホールへ。
13時からの筒井信隆さんの時局大講演会に、黒岩宇洋さんと一緒に出席しました。菅直人さんの民主党代表選出馬に伴い、日曜日午前中のテレビ政治番組に、3本とも出演となったため、私が急遽、菅さんの代役を務めることになったのです。1000人もの大聴衆を前に約40分間、菅さんが話しそうなテーマも織り交ぜながら、なぜ小泉内閣ではだめなのか、菅さんが果たす役割は何かにつき、お話しました。
菅さんは、テレビ出演の後、約束を守るため無理に駆けつけ、15時20分に会場に到着。聴衆の皆さんには15時までとの約束で集まっていただいていたのに、ほぼすべての人が菅さんの到着を待って下さり、菅さんがさらに20分ほど講演。筒井さんが皆さんに、3時間も会場にいて下さったお礼を述べ、会場の心がひとつに盛り上がった締めくくりとなりました。
その後、16時から懇親会。こちらも始まりが大幅に遅れたのに、大盛況で、菅さんも30分ほど参加できました。今日の雰囲気を見ると、やはり民主党は、菅さんを代表に選ばなければ、国民の期待にこたえる党になれないと確信しました。
ところで私のほうですが、地元で国政報告会を開いており、私自身がドタキャンとなってしまいました。そこで急遽、神戸の土肥隆一さんに代わりをお願いしました。こんなやり繰りは、簡単には出来ません。持つべきものは真の同志です。
17時前に糸魚川を発ち東京へ。上京された土肥さんらと数人で、代表選挙情勢を分析しましたが、苦戦しています。しかし岡田さん支持勢力の中には、離党を言明している人まで入っており、複雑な思いです。
12月9日(月)
今日も代表選の協議や取材がびっしり。菅グループとしては、集票活動の加熱が党の結束に与える悪影響を懸念します。昨日のテレビ討論では、岡田さんも好印象を持たれたようで、党にとって良かったと思います。この2人が適切な役割分担をすることが、一番大切です。高度な判断能力を持った国会議員だけの選挙ですし、すでに訴えのポイントは行き渡っているはずですから、明日の両院議員総会まで、静かに結果を待ちたいと思います。
12月10日(火) 菅代表実現
18時から、代表選挙の両院議員総会。まず岡田克也さんが、次いで菅直人さんが、それぞれ10分間の決意表明。どちらもすばらしい演説でした。18時半から投票。45分から開票。作業に当たる党職員も、立会人の小川敏夫さんも中川正春さんも、すごいポーカーフェイスで、勝敗が分かりません。てっきり、やはり岡田さんかなと思いました。
19時、開票結果の発表。まず岡田さんが、「79票」と発表されたときには、耳を疑いました。次いで菅さんが「104票」。びっくりしました。183名の国会議員の賢明な選択を、ひたすら祈っていたのですが、これほどの大差で菅さんを選んでいただけるとは、思っていませんでした。菅さんを支援した私たちの責任も、本当に重くなったと思います。
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