2004年6月26日 |
参院選候補者に聞く(岡山選挙区)
江田五月(民主・現)
七月十一日の投票に向け、選挙戦に突入した参院選。二大政党の激流の中で、年金制度、地方分権、教育など小泉内閣が掲げてきた「改革」の成果が問われる。岡山選挙区の三候補はこれらの争点にどうこたえ、どんな姿勢で選挙戦に臨んでいるのか。政策についてのインタビューとともに各候補の横顔を紹介する。
民主主義は政権交代必要
−成立した年金制度改革法をどう見るか。
「負担を増やし、給付を減らすつじつま合わせ。数字の信頼性もない。百年安心どころか明日から不安だ。民主は税方式の最低保障年金と、自分の所得でまかなう所得比例年金を組み合わせた一元化を提案している」
−教育改革についての考え方は。
「学校を開放し、地域の教育力向上に活用できないか。小学校低学年の三十人以下学級も実現したい。文部科学省は解体して良いとすら思う。教育の中身に国が細かく口を挟む必要はない。長崎の小六女児事件で少年法改正の論調が出ていないのはホッとしているが、いわゆる『キレる』子がIT(情報技術)の進行で増える気がする。対処を考えねばならない」
−二大政党は国民にとって望ましいか。
「政権交代が民主主義には必要。権力が一つの所にとどまれば、腐敗するのが古今の心理だ。政権党に代わる勢力がなければ、政権交代は起きない。少数意見の反映が課題だが、多様性を持った政党が二つぐらいあるのが理想だろう」
−小泉改革の成果をどう見るか
「いずれも竜頭蛇尾。道路公団は廃止、民営化するのが端的な改革だと思うが、到底できていない。結局、従来通りのことが続いており、パフォーマンスにすぎなかったのではないか」
−中四国州、州都・岡山市構想を打ち出しているが。
「国が主導してできるものではなく、あえて岡山から問題提起した。党の常任幹事会で広島の議員から異論があったが、広島からも案を出せばいい。地域のエゴでもいいので、望ましい制度を示していけば、新たなイニシアチブ(発意)が生まれる」
−これまでの議員生活で結果として、所属政党がいくつか変わったが。
「変わったというが、別の党へ移ったことはない。社市連が社民連に脱皮し、社民連が日本新党と合併し、日本新党がほかの党と合併して新進党になった。一つの帰結として民主党がある。この間、一貫して市民政治の前進と政権交代の実現を目指してきた。いずれも道半ばだが、政権交代は近づいた実感がある」
《横顔》 古式泳法で九段範士
政権交代への思いは、旧社会党書記長など務めた父・三郎氏から受け継いだ。三郎氏の死去に伴い、政界に打って出たのは36歳の時。菅直人前代表はその当時からの盟友である。
野党再編の渦中にあって、社民連代表、日本新党副代表などとして地歩を固めた。県内のみならず、永田町でも非自民勢力の“顔”の一人として高い知名度を誇る。
自らを「楽天的」と分析、「試練があるから人生楽しいと思ってやってきた」と笑顔を見せる。尊敬する人は坂本龍馬。幕末の志士に自らの姿を重ねる。
ホームページは自他共に認める充実ぶりで「活動日誌の更新が息抜き」というほど。古式泳法神伝流九段で範士の水泳の他、書道、写真など趣味は多彩。
1977年、参院選全国区で初当選。科学技術庁長官(細川内閣)、参院国家基本政策委員長など歴任した。衆院4期、参院2期。63歳。山陽新聞 2004年6月26日掲載
2004年6月26日 |