2004年6月30日

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津山朝日新聞社 参院選(岡山選挙区)候補者に聞く


(1) 年金法案が強行採決の形で可決され、改革法が成立しました。国民に分かりやすく、確かな、年金制度をつくるのは政治の責任だと思いますが、特に次世代を担う若者が安心して納付できる制度はどうあるべきでしょうか。

通常国会で成立した政府の年金法案は、現行制度の欠陥も積立金の乱脈運用も放置したままで、負担増と給付減を14年も続けて、数字の辻褄合わせをしただけ。その数字もあいまいで、しかも成立した直後に、出生率1.29と発表しました。計算の前提が崩れたのです。

誰もが生涯で、転職するのが普通の時代です。そのつど年金制度が変わることのないよう、公的年金を一元化します。女性の年金権も確立します。そのため、特別消費税でまかなう最低保障年金を導入し、これと所得比例年金との組み合わせで、すべての人の年金権を確保し、高所得層からの所得移転も行います。こうして、支え合いの社会を作り、老後の安心を約束します。議員年金は廃止します。

(2) 長引く経済不況は底をついた、とか、メーカーなどの一部の大企業は回復基調にあるといわれていますが、地方の中小企業や地域経済は景気回復の兆しすら、見えません。閉そく状況の地方経済を再生するにはどうすれば良いと思われますか。

景気回復傾向は、大リストラや高付加価値化が可能な分野のことで、地域経済や中小企業には、景気回復の兆しは及んでいません。雇用改善もパートや派遣の求人が多く、ミスマッチです。小泉構造改革では、地域経済は置いてきぼりで、景気回復はできません。

地域経済の主役は中小企業です。民主党は、中小企業対策予算7倍増を提案します。金融アセスメント法案で、必要なところに「お金を貸せる銀行」を作ります。年齢差別禁止やワークシェアリングで、女性や高齢者の雇用を確保します。きめ細かな再就職相談や能力開発で、ミスマッチをなくします。瀬戸大橋を含む高速道路の無料化で物流革命を起こし、岡山を中四国地方経済の中心とします。

(3) 市町村合併が進められていますが、合併問題は経済基盤が薄い町村ほど厳しい選択を迫られています。地域の将来や住民生活に不安のない合併はどうあるべきでしょうか。

民主党の地域再生ビジョンは、「地域のことは地域で決める」です。基礎自治体(市町村)の規模を拡大し、道州制を導入することで、国には国でなければできない権限だけを残し、その他の権限は大胆に地域へ移します。こうして真の分権国家を創り出します。

そのため、国が使途を細かく決める補助金約20兆円のうち、18兆円を地域の自主財源に変えます。また、NPOへの寄付を大胆に所得控除とするなど税制面で支援し、介護・子育て・環境保護などあらゆる分野でNPOと行政が連携し、多様な地域コミュニティ活動で豊かな地域社会を創り出します。合併は、財政の効率化のためではなく、地域の自主性を確保するために、地域の意思で行います。

(4) イラク問題について、首相は主権移譲後の多国籍軍に自衛隊を参加さすことを事実上表明しましたが、紛争の終結や和平、復興へはまだ遠い中で、人道復興支援のために派遣された自衛隊の今後の役割はどうあるべきでしょうか。

イラク戦争には大義がありません。自衛隊派遣は、小泉首相がアメリカに盲従しただけで、日本の主体的な判断ではありません。

戦争でアメリカが勝つのは当たり前ですが、それでは何も解決せず、事態は泥沼化の一途です。組織的なテロが頻発し、自衛隊が派遣されているサマワでは、オランダ軍に死者がでています。イラクに非戦闘地域は存在せず、イラク特措法は完全に破綻しています。

もはや自衛隊派遣の根拠はなく、小泉首相は独断で自衛隊の多国籍軍参加を決め、与党はこれを追認しました。いくら強弁しても、空理空論で現地の泥沼化状況を変えることはできません。現時点では、武力行使に直結する自衛隊派遣はやめ、速やかに撤退すべきです。

(5) 小学6年の女児が同級生を殺す事件がありました。事件の背景を検証するとともに、子供たちの教育はどうあるべきか再度、考えなければならないと思います。今回の事件を含め、死に至る「少年事件」が多発しています。どういう感想をお持ちですか。

近年の少年犯罪の傾向には、本当に心が痛みます。少年犯罪の増加や被害者保護に対応し、少年法への社会の信頼を保つため、少年法を改正し「厳罰化」しました。さらに私は、14歳未満の事案に対しても、警察による捜査と少年院での処遇を認めることを提案しています。ただ、少年犯罪は成人社会のゆがみを反映しています。地域のコミュニティを建て直し、家庭、学校、地域が連携して地域の教育力を高め、保護と矯正によって健全な青少年育成を行うことが基本です。加えて、現代の情報氾濫社会が生育期の心理に及ぼす影響など、専門的な研究を行う必要もあります。教育は将来の日本を支える要であり、常に高い関心をはらっていかなければなりません。

(6) 小泉政権の発足以来3年が過ぎましたが、政権全般に対しどう思われますか。

高度成長の後、バブル崩壊で迷路に入った日本は、小泉政権によって、ますます傾きました。構造改革という言葉は、父・江田三郎と共に政治用語となりましたが、小泉首相のそれは似て非なるもの。大きなジェスチャーと掛け声だけで、実態は「ヤルヤル詐欺」です。

鳴り物入りの道路公団改革は、税金無駄遣い路線の建設継続。銀行救済に税金を投入しても、貸し渋りはやみません。三位一体改革は、単なる負担の付回し。多国籍軍への自衛隊派遣で、憲法の平和主義は崩壊。極めつけは、欠陥放置の年金法案強行採決です。

小泉首相の言葉は、「人生いろいろ」「太っ腹社長」など、ますます軽くなりました。真面目さを欠いた人には、交代を求めましょう。


2004年6月30日

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