2004年8月8日

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中東和平推進世界連邦岡山大会での挨拶(原稿)
江田 五月


世界連邦岡山県協議会の皆さんが、中東和平推進につき、このような貴重な企画を実現して下さいました。心から感謝いたします。

中東紛争が原因となって発生している地域紛争が、世界中には本当にたくさんあります。中東和平が実現すると、この地球は、今よりもっとずっと平和で住みやすくなると確信します。しかしそれだけに、中東紛争ほど解決の困難な課題は、ほかにないとも言えます。その起源ははるか昔に遡り、これまで、ありとあらゆる紛争形態を取ってきました。

私は、1988年5月、日本でインティファーダ1周年を記念したシンポジウムを行うため、現地視察の団長として、パレスティナを訪ねたことがあります。今から16年も前のことです。私たちは現場で、国連関係者であることを示すため、「UN」と明記した車に乗っていたのです。それでもやはり、こちらに向けられたイスラエルの兵士の銃口に、大変な恐怖を感じました。今も忘れることが出来ません。
 
パレスティナにあるイスラエルの入植地で、偶然、一軒の民家を訪ねました。私たちは、お茶をご馳走になりながら、その家の奥さんの話を聞きました。私たちに入植の正当性を、一生懸命説明してくれたのです。その奥さんの誠実さには、何の疑いもありませんでした。何もなければ善良で平和に暮らしていける人々を、政治が、憎しみの坩堝に突き落とすのです。政治の大切さを、いやというほど痛感しました。

中東和平推進世界連邦大会で挨拶

中東和平の実現のため、さまざまな努力が積み重ねられてきました。今度こそ和平実現かと期待に胸を膨らませると、次の瞬間には絶望のヤミに突き落とされたことが、数限りなくありました。そして、もう21世紀。そろそろ皆、本気にならなければなりません。

そんな時、イスラエルとパレスティナの高校生たちが一緒になって、こうした意見交換を行うことは、何より大切なことだと思います。岡山は、「話せばわかる」という言葉の原点の地です。郷里の誇る宰相、犬養木堂さんが、命を懸けて残した言葉です。特に、若者たちが話し合うことが重要です。

9・11の後、アフガンの人々が歓声を上げたと伝えられました。真実は違ったようですね。今また、ファルージャの空爆に快哉を叫ぶ人がいると、世界は果てしなき混沌から抜け出せなくなります。このようなときこそ、一方的な言葉の投げ合いでなく、話し合いをしましょう。それが、「世界連邦」の精神だと信じて疑いません。
 
すばらしい企画の大成功を、心から期待して、お祝いの言葉とします。


2004年8月8日

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