2007年8月8日 |
参議院議長の江田五月です。昨日就任したばかりで、そのうえ初の野党出身者というわけで、不慣れですが、一言ご挨拶を申し上げます。
歴史と文化の香漂う、この美しい長崎の街に原子爆弾が投下されてから、六十二年の歳月が過ぎました。たった一発の爆弾で七万人の犠牲者を出し、さらに最近では、(今日は広島市の秋葉市長もお見えですが、)広島・長崎の被害の実態はもっとずっと甚大で深刻だという見方が強くなってきました。確かに「死の灰」の核物質による体内被曝の影響などが、実は見逃されているという指摘には、耳を傾けざるを得ません。
こうした被害で廃墟と化した長崎の街が、今日の姿を取り戻すまで、市民の皆さんが払われた大変なご努力に、心から敬意を表し、明日の式典を前に英気を養おうと今日の会を催された田上市長に、心からお礼を申し上げます。
唯一の被爆国であるわが国は、核兵器や戦争による残酷で悲惨な体験を、風化させることなく語り継いでいく責務を負っています。しかし最近、国際社会では核拡散の動きがやや顕著になっており、国内でも、詳しく述べることは控えますが、被曝された皆さんが感じるもどかしさを一層掻き立てるような言動が散見されます。このようなとき、この長崎で平和祈念式典を行い、核兵器による脅威のない世界を実現するため、(今夕は世界各国からもご参加ですが、)平和を願う諸国としっかり手を携えて行動する決意を新たにすることは、極めて重要だと思います。
明日の式典を迎えるに当たり、原子爆弾の犠牲となられた方々のご冥福を祈り、ご遺族と被爆者の皆さんのご健康とご多幸、そして長崎市の一層のご発展を祈念して、私のご挨拶とします。参議院議長 江田 五月
2007年8月8日 |