2007年8月10日 報道各社共同インタビュー

戻るホーム2007目次前へ次へ


市民の常識通じる国政に

     江田五月 参院議長

民主党出身で初めて議長に就任した。
 「これまで経験したことのない(状況下の)国会を上手に動かし、国民のために成果を挙げることができるか。重要な局面で重責を担った」
 「(一九七七年の)三十年前の参院選で初当選以来、市民の常識が通じる政治、政権交代のある政治を目指してきた。議長が政権交代のために行動することはないが、政権交代が日本の議会にとって普通となるために、市民の感覚が通じる国政にするために、参院がどう存るべきかを追求していきたい」

― 臨時国会の感想は。
 「緊張していたなと同僚議員らに随分言われ、反省している。(本会議開会の時、木づちで)ポンポンとたたくのは参院だけ。どのくらいの力でたたけばいいのか全然分からないが、おいおい慣れていくと思う」

― 法案が参院で否決されると政府、与党は対応に追われる。
 「まだそういう事態になるかどうか分からないから、議長としてどう采配を振るうか、考えてはいない。参院で法案を委員会審議しないで、六十日経過したら衆院(が三分の二以上の多数)で再議決すればいいとは、みんな思っていない。良識の府として、いろんな議論が成熟していくことを期待する」

衆院で与党が強行採決した場合の対応は。
 「想定もしていない。、参院とは数のバランスが違うから、強行採決で法案を送ってもろくなことにならないと、衆院の多数派も十分分かった上で議会運営に臨むだろう」

衆院のコピーと呼ばせない

参院は「衆院のカーボンコピー」との声もある。
 「衆院を通過すれば、参院は法案を通して成立させて当たり前というのは、今回から通用しない。カーボンコピーとは呼ばせない。二院制とは衆参両院が緊張し、対立し(ながらも)、知恵を働かせて国民のために良い結論を得ることだと、理解してもらえる形になるだろう」

― 参院改革にどう取り組むか。
 「政党が政権をめぐって相争う衆院との違いをどうするかが課題だ。自民党内では参院側が独自性を発揮する場面が見られる。また、政党間で対立しても同じ参院だという相互理解、垣根の低さは必要だ」

― 「一票の格差」是正は。
 「格差が開きすぎだと思う。今の選挙区、比例代表の仕組みや数の配分にメスを入れないと、是正は非常に困難と認識している。思い切ったことをしなきゃいけない。これまでの議論の積み重ねを踏まえ、(各会派代表者でつくる議長の諮問機関)参院改革協議会で議論を促していく」


山陽新聞 2007年8月11日朝刊掲載


2007年8月10日

戻るホーム2007目次前へ次へ