2008年6月23日 |
平成20年6月23日
於 糸満市平和祈念公園平成20年沖縄全戦没者追悼式に当たり、先の大戦の犠牲となったすべての戦没者の方々に対し、謹んで哀悼の意を表します。
沖縄の自然の美しさは、他の追随を許しません。そして、沖縄で起きた数多くの悲劇もまた、他のどの悲劇にも劣らぬ悲惨さでした。美しさと悲惨さの対比に、私は何とも言えない心のざわめきを覚えます。63年前の初夏、この摩文仁の丘を中心として、一般住民をも巻き込んだ熾烈を極める地上戦で、20万に及ぶ尊い人命が失われ、美しい自然や文化遺産が破壊されました。犠牲となった方々の無念、最愛の肉親を失ったご遺族の悲しみ、そして県民の皆さんの戦後の苦難を思い、今なお心に耐えがたい痛みを覚えます。
沖縄戦の終盤、大田実・海軍少将が海軍次官に宛てた「沖縄県民斯く戦えり 県民に対し後世特別の御高配を賜らんことを」という電報は余りにも有名です。この「平和の礎」を前にして、私はあらためて戦争の非業さを心に刻み、二度とあの悲劇を繰り返してはならないと決意し、これを後世に伝える責任を痛感します。私たちが現在享受している平和と繁栄の礎には、このように戦争の犠牲となった多くの方々の存在と、ご遺族の皆さんのご労苦があることを、決して忘れてはなりません。
戦後、沖縄は、焦土の中から立ち上がり、多くの困難を乗り越えて今日の姿を築いてまいりました。しかしこの間、米国統治は四半世紀以上に及び、復帰後の今日もなお、米軍基地の問題をはじめ、県民の皆さんには一言で言えないご負担とご苦労があります。沖縄の皆さんに特別の困難を与え続けている現状を、何としても解消していきたいものです。
同時に、私たち国民一人ひとりが、平和の尊さとそのための努力の大切さをあらためて胸に深く刻み、わが国だけでなく世界のすべての人々の平和と幸福の実現に、これからも努めていかなければなりません。
結びに、戦没者の方々のご冥福を心からお祈りし、ご遺族の皆さんのご健勝とご多幸、そして沖縄の今後の発展を祈念して、追悼の言葉といたします。
平成20年6月23日参議院議長 江 田 五 月
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