2009年6月22日 |
らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日
江田参議院議長挨拶平成21年6月22日
於 都道府県会館参議院議長の江田五月でございます。
本日、「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」の式典の開催に当たり、一言ご挨拶を申し上げます。時の経つのが早いのか、私たちの努力が足りないのか、あの画期的な熊本地裁国賠判決から、既に8年余りが経過しました。この機会に改めて、被害を受けられた方々にお見舞いを申し上げ、亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表します。
私の地元、岡山県には、長島愛生園と邑久光明園の二つの国立療養所があり、ハンセン病問題には比較的関心が強い地域です。私も、32年前に国会議員になった時から一貫してこの問題に取り組み、超党派による議員懇談会の会長を務めたこともあります。そしてこのたび、ようやく「名誉回復及び追悼の日」が定められたことに、深い感慨を覚えます。
この日は、単に被害者を哀れむための日であってはなりません。ある日突然に、昨日までの友人や親兄弟を、そして将来の家族までをも奪われるという過酷な体験を聞くと、まさに言葉を失います。しかしそれは、避けることの出来ない「被害者の運命」ではなく、誰もが出会う可能性のある「社会のひずみ」だったのです。国の政策の間違いにより、特定の人に限りない苦難を与え、さらに社会に差別と偏見を深く植え付けてきたことを、心から反省し二度と繰り返さないことを誓う機会が、この「名誉回復及び追悼の日」であると確信します。
国会は、先に「ハンセン病補償金支給法」を、さらに昨年は「ハンセン病問題解決促進法」を制定しました。本日は「補償金支給法」の施行記念日です。入所者の平均年齢は80歳に達し、被害の回復は一刻の猶予もありません。国会においても、行政をはじめ関係するすべての者も、この際思いを新たにして、断じてこの問題を風化させず、完全解決に向けて一層の努力をすることを誓いたいと思います。
結びに、被害に遭われた方々が穏やかな生活を送られるよう深くお祈りするとともに、亡くなられた方々に心よりお悔やみを申し上げ、ご挨拶といたします。
2009年6月22日 |