2009年6月23日 |
平成21年沖縄全戦没者追悼式 江田参議院議長追悼の辞
平成21年6月23日
於 糸満市平和祈念公園平成21年沖縄全戦没者追悼式に当たり、先の大戦の犠牲となったすべての戦没者の方々に対し、謹んで哀悼の意を表します。
今から64年前の3月26日、ここ沖縄では県の花デイゴが咲き、日増しに暑さが増していったことでしょう。季節の移り変わりはいつもと変わりがなくても、人々の生活はこの日から大きく変わり、熾烈を極める地上戦が3か月間も続きました。それは、過酷だった先の戦争の中でも、唯一の地域住民を巻き込んだ殲滅戦でした。
この摩文仁の丘には、いまの穏やかな景色からは想像も出来ないほど、激戦により多くの兵士や住民の血が流れました。沖縄全域では、20万に及ぶ尊い人命が失われ、土地や財産が破壊されました。犠牲となった方々の無念やご遺族の悲しみ、そして生活のよりどころを失った県民の皆さんの苦難を思うと、痛恨の極みです。
昨年の式典で私は、大田実・海軍少将が残した電報のことに触れました。しかし、戦後60年以上を経た現在でも、沖縄には、米軍基地の問題をはじめ、沖縄特有の困難がいくつも存在しています。今年に入ってからも、この糸満市で水道工事中の作業員の方が不発弾の爆発により大けがを負う事故が起きました。沖縄戦はいまだに現在進行形であり、今なお、「後世特別の御高配を」政治が求められているのだと、痛感させられます。
今日、私たちが享受している平和と繁栄の陰には、戦争の犠牲となった多くの方々の存在と、ご遺族の皆さんのご労苦、そして現在も続く皆さんの困難があることを決して忘れてはなりません。私は、この「平和の礎」を前に、あらためて戦争の非業さを心に刻み、二度と悲劇を繰り返してはならないと決意を新たにしています。これからも、平和の尊さを後世に伝えつぐ努力を続けていかなければなりません。
結びに、戦没者の方々のご冥福を心からお祈りし、ご遺族の皆さんのご健勝とご多幸、そして沖縄の今後の発展を祈念して、追悼の言葉といたします。
平成21年6月23日参議院議長 江 田 五 月
2009年6月23日 |