2010年12月15日 |
今こそ改革のチャンス 江田五月・前参院議長
> ねじれ国会の現状をどう見ているか。
「国会は結論を出さないと鼎の軽重を問われるわけだが、結論が出しにくい状態になっている。本当は両院協議会が機能しなければいけないが、制度的な欠陥がある。協議会の改革だとか、実際の運用での知恵の積み重ねだとかで、両院の合意をつくっていく努力をしなければいけない」
> 今の二院制は何が問題か。
「両院の役割分担が十分できていない。同じ院が二つあり、同じことをやるのでは無駄だ。選挙制度もほぼ同じだ。衆院が政権選択、参院は政権選択とはちょっと距離を置くというのを制度的にも保障したらいい。参院は多党化したり、政党色を薄めた方が良い」
> 定数訴訟で間もなく最高裁判決が出る。
「参院選での『1票の格差』で裁判所はもう我慢の限度だ。既に高裁で違憲状態と言われている。立法府としては襟を正していかないとまずい」
「最高裁は『1票等価は憲法原則だが、都道府県単位は憲法原則ではない』と言い切っている。都道府県単位の選挙区だと、1票等価を実現できない。比例代表だけだと政党選挙、政党化そのものだから、取るべきではない。ブロック制で個人名投票をやればいい」
「衆参それぞれ特徴を持った選挙制度にすることで、当選してくる議員の質を変え、両方が違った機能を果たし、二院制の妙味を発揮するのがいい。それは憲法を変えなくてもできる話。定数是正が待ったなしの今こそ、改革のチャンスだ」
> 政治全体が機能不全に陥ってはいないか。
「首相の賞味期限が1年もない。これが常態化しているのが制度上、日本で一番の機能不全だ。どこをどうすれば直るのか、難しいが、参院選挙制度改革をすれば効果があるかもしれない。今は衆院選と参院選があり、統一地方選もあって事実上、毎年国民の審判を政権は受けている。それはあまり良くない」
> 衆参両院で違法審査会が休眠状態のままだ。
「当然動かさないといけない。改憲阻止のために審査会始動を断固阻止するというのは邪道だ。各党とも一部を除き、おおむね歩調がそろってきつつあると思う」
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えだ・さつき 東京大卒。裁判官、科学技術庁長官など歴任。69歳。岡山選挙区。岡山市出身。
【共同通信インタビュー】
2010年12月15日 |