この度、法務大臣に就任いたしました江田五月です。皆さんよろしくお願いいたします。
私たちの社会は、ジャングルのルール、つまり強者が弱者を食い物にする社会であってはなりません。人は皆、法の下では平等で、誰もが個人として尊重される法の支配の行き渡った社会が、国民生活の最低限の基盤であり、そのために、法務省は、法秩序の維持と国民の権利の擁護を主たる任務として働くのです。
そして、言うまでもなく、その適正・円滑な遂行のためには、国民の皆さんの信頼が必要不可欠です。
ところが、昨年の大阪地検特捜部の一連の事件により、法務・検察に対する国民からの信頼は、著しく損なわれたと言わざるを得ません。
その信頼を回復するため、これまで省を挙げて取り組み、最高検の検証報告書も出され、「検察の在り方検討会議」の議論も進んでいます。私は、この際、断固とした決意で、検察の改革を進め、必ず信頼を取り戻してまいリます。
そして、皆さんには、このような時こそ、愚直に仕事をしていただきたいと思います。つまり、法令や服務規律を遵守しつつ、つねに国民の目線に立ち、法務行政をしっかりと前進させるということ、これを肝に銘じてもらいたいと思います。
また、法は単に厳格なだけではなく、温かい血の通ったものでもあります。法の優しさも同時に追求していくということにも留意してもらいたいと思います。
さて、新政権になり、政治主導の行政を進めているところですが、政治主導とは、決して政治家の恣意が法に優先することではありません。法に従って仕事をする事務方の皆さんが萎縮したり、政治に丸投げすることがあってはなりません。
政治主導とは、政務三役と事務方が、それぞれ適切な役割分担の下、緊密な情報共有、意思疎通を図りながら、国家国民のために取り組んでいくことです。
ですから、皆さんには、政務三役に対して、情報の提供・提案を十分に行いながら、積極的に政務三役と意見交換を行ってもらいたいと思います。
そして、各政策課題について、国民のために在るべき方向性を見いだし、政務三役と一丸となって、それを前進させてまいりましょう。
法務行政における課題は、多岐に渡りますが、皆さんとともに全力で取り組み、法務大臣としての重責を果たしてまいる所存です。
私は、元々裁判所の出身で、皆さんのいわば隣を本籍地としています。法務省に入ると、古巣に帰ったような気がします。是非皆さん、御一緒に良い仕事をしましょう。
どうか、よろしくお願いいたします。
以上をもちまして私の訓示といたします。