2001/11/05 |
江田五月の国会レポート 第14号 |
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政治 経済 永田町の今 民主党法務ネクスト大臣に再任、大臣所信に質問 小泉改革の試金石・道路公団民営化について 狂牛病対策と食品衛生法改正 弾劾裁判・中選挙区制復活?・ハン議懇 |
岡山トピックス バス旅行・新春パーティー 中国ブロック研修会・2区と5区 |
9月27日から12月7日まで72日間の会期で、第153回臨時国会が始まりました。もともとは「雇用対策国会」として不況対策が中心となるはずでしたが、9月11日の米国同時多発テロによって様相が一変しました。10月5日に政府が「テロ対策特別措置法案」「自衛隊法改正案」「海上保安庁法改正案」の3法案を提出。従来の自衛隊の活動を内容的にも地域的にも大きく拡げる法案で、野党第一党の民主党の存在価値も問われる重要法案です。
テロ対策法については、民主党はシビリアンコントロールの大原則に基づいて、国会の事前承認の修正が実現されれば賛成する決意を囲めていました。テロ撲滅のための国際社会の共同行動に対して、日本も憲法の許す範囲で積極的に参加協力すべきだと考えたからです。しかし、10月15日の小泉・鳩山党首会談が決裂。国会の事前承認の修正はできず、民主党はこの法案に反対することになりました。
私は、この問題は国連を中心とした集団的安全保障の考え方で対応すべきだと主張し、国際刑事裁判所規程の早期署名・批准、「国連警察軍」の創設などを提唱しました。実際的には自衛隊の役割はあまりなく、むしろ日本のNGO(中村哲医師のペンャワール会など)と協力した難民への食糧援助・医療活動や地雷撤去、アフガン復興支援が日本の大きな役割です。
後半国会は補正予算と特殊法人改革。このままでは日本経済は沈没してしまいます。何としても経済構造改革を実現しなければなりません。
自衛隊法改正案と海上保安庁法改正実に民主党は賛成しました。しかし、自衛隊法改正案の中に、テロ対策とは直接関係のない防衛秘密の指定と罰則強化が盛り込まれており、問題になりました。衆議院では、テロ対策関連に議論が集中して、防衛秘密についての質問がほとんどなされず、参議院民主党としてはこのままでは賛域できないという意見が強く出されました(私も同じ)。
そこで、10月26日の参議院外交防衛委員会で私が、緊急に質問(60分)することになりました。私はまず、シビリアンコントロールの制度(国会・内閣・防衛庁)の前提に、国民が強い意思と深い関心を持つて役割を果すべきこと(防衛白書に書いてある)を確認。その上で、防衛秘密の指定の方法、登録簿の公開、実質秘の司法審査、指定解除、標記と通知の関係などを質しました。さらに、秘密への接近につき、情報公開との関係、共謀の成立に防衛業務者が不可欠であること、教唆でも正犯が想定されない場合は成立しないこと、業務者でない者は漏えい罪の正犯となる余地はないこと、教唆や扇動も具体的危険がなければ成立しないこと、報道の自由・国政調査権・国民の知る権利や基本的人権を侵害してはならないこと、などを質問しました。明確な答弁も得られて、歯止めの出来た部分も多かったと思います。新聞でも評価されました。施行まで1年の間に、さらに厳重にチェックし、むしろ防衛情報について積極的情報公開が実現するよう努力したいと思います。
同時多発テロの3日前の9月8日、私は民主党の新体制のもとで、ネクストキャビネット(次の内閣)の法務ネクスト大臣に再任されました。参議院憲法調査会幹事(会長代理)、法務委員、予算委員は変わりません。
10月25目には森山眞弓法務大臣の所信について“大臣対決”の質問をしました。内容は、(1)高祖事件、(2)司法制度改革、(3)司法修習、(4)テロ対策、(5)人権擁護、(6)民法改正。郵政事業庁の組織的選挙違反事件である高祖事件は、私が3月8日の予算委員会で片山総務相に、自民党の比例選挙で公務員の地位利用罪に問われることのないよう周知徹底すべき、と警告した事件。今後とも追及します。民法改正の夫婦別姓選択制については、森山法相は明確に積極姿勢を示され、小泉首相から「しっかりやって下さい」と言われたことも披露されました。
臨時国会後半の焦点は、補正予算案と特殊法人改革。特殊法人改革では日本道路公団の民営化問題が小泉改革が本物かどうかを見きわめる最重要課題となりました。一番の問題は、道路公団の組織の形態ではなく、高速道路を従来のように、有料道路の料金プール制のもとで有利子の借金によって(現在28兆円)整備を続けるかどうか、ということです。現行整備計画(全長9342km)のうち未整備の約2400kmを従来通り行うか、従来方式をやめて凍結するかが最大の焦点です。民主党は明確に2400kmを全面凍結し、本当に必要な道路は国民・住民合意のもとに税金を投入して整備する、という考えです。小泉さんは抵抗勢力に妥協することなく、この問題で改革勢力と抵抗勢力が誰であるかを明らかにして、来年にも解散総選挙で国民の信を問う決意でこの問題に取り組むべきです。それが日本改革の早道です。
9月10日、農水省から日本で初めて狂牛病の牛が1頭千葉県で発見されたとの発表があり、日本中が大騒ぎになりました。10月18日以降、解体される牛の全頭検査が実施され、農水大臣と厚生労働大臣から「安全宣言」が出されましたが、問題はまだまだ山積しています。肉骨粉がどのように輸入され、流通していったのか、肝心の感染ルートが全く解明されていない上に、「背割り」と呼ばれる解体方法も改善されていません。何より問題なのは、農水省と厚労省の消費者を軽視した「業者行政」です。消費者が心から納得しないと、消費は戻らず、畜産農家も救われません。今回の狂牛病問題の根本はここにあります。私は、今年初め岡山の生協のみなさんの依頼で、食品衛生法抜本改正の請願の紹介議員になりました。生協のみなさんと一緒になって、食の安全についてのタテ割り行政を改めて、消費者本位の法律と行政組織の整備のため、法改正に取り組みたいと思います。
実は私は、裁判官弾劾裁判所裁判員です。三権分立の民主主義のもとで、裁判官の罷免は国会の仕事です。児童買春事件で有罪となった東京高裁の村木判事の弾劾裁判では、主任裁判員として判決作成に当たります。10月末に審理を終え、11月28日が判決言渡期日ですが、久しぶりの判決起案で緊張しています。
本来は何の関係もないテロ対策法案とのからみで、突然与党から衆議院の中選挙区制復活案が浮上してきました。とんでもない話ですが、岡山1区と2区が合区されて、2人区となるということで、ちよっと驚きました。結局、この案は白紙となりましたが、党利党略の選挙法改正は今後とも許せません。
10月5日には、私が会長をつとめる「ハンセン病問題の最終解決を進める国会議員懇談会」の総会を開きました。給付金、謝罪広告、検証、在園保障、法務省通達などが山積。最終解決へ向けてさらに頑張ります。
今回の参院選の反省は、第一に参院選もやはり「常在戦場」だということ。選挙前の数ヵ月の勝負ではなく、日々の活動の結果です。もう一つは「総合力」。衆院選・県議選・市町村議選・首長選の全てが重要です。原点に戻って、日常活動を再構築したいと思います。
その企画第一弾として、12月1日(土)に江田五月会の「バス旅行」を企画しました。以前にも一泊のバス旅行をしたことがありますが、今回は「京都日帰りバス旅行」。おいしい「湯どうふ御膳」つきで会費は5千円です。ぜひご参加ください。
また、来年1月13日(日)午後2時より岡山プラザホテルで恒例の「江田五月会新春パーティー」(会費5千円・賛助会費1万円)を行います。講師は評論家の森田実さん。こちらもよろしくお願いします。
10月7日・8口、民主党中国ブロック研修会を岡山市で開催しました。代表の私のほか、柳田稔(参・広島)、山田敏雅(衆・広島)、平岡秀夫(衆・山口)、山内功(衆・鳥取)の5人の現職国会議員も勢揃い。7日は本部の堀込征雄選対委員長代理と選挙や組織について、8日は筒井信隆農水ネクスト大臣と民主党の新農業政策や狂牛病問逝について、活発な議論をしました。中国ブロックは民主党の最も弱い所となっています。ここが逆転できたら政権交代です。
9月30日に県連代表・幹事長名で2区の取り組み方について「裁定」を出しました。これで一段落しましたが、体制構築のためには当事者の努力がまだまだ必要です。11月23日には民主党の菅直人幹事長が5区内の3ヵ所(新見・高梁・笠岡)で演説会を行います。私も参加します。ぜひ、ご来場ください。
2001/11/05 |