2004/02/25 |
江田五月の国会レポート 第31号 |
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政治 経済 永田町の今 波瀾の幕開け イラク派遣承認と15年度補正の強行採決 政権獲得と参院選に向けて日本の新しい「国のかたち」を示す |
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岡山トピックス 次期衆院選に向け公認内定 菅原太郎・中村てつお・柚木みちよし 夏の参院選に向けた決起パーティーを4月24日(土)プラザホテルで |
民主党は昨年から、政府予算とは別に民主党独自の予算案を作り、これに基づいて予算審議を進めています。政府予算は官僚任せで、自民党は陳情だけですが、民主党は国民から預かった税金を、官僚任せにしません。今回は、総選挙で示したマニフェストに沿って作成し、政権を取れば直ちにこれを実現します。大目標は、自主自立に基づく社会、つまり民間企業、地域、国民が主役となり、それぞれの能力を十分に発揮できる社会です。その裏付けとして、強く安定したセーフティネットを築く必要があります。
今回の民主党予算の大きな特徴は、次の7つです。
- マニフェストの全項目を予算化して、財政的にも可能であることを示しました。
- 財政健全化の第一歩として、国債発行額(国の借金)を政府案より1兆2千億円削減します。
- 年金の国庫負担を1/3から1/2に引き上げるために、2兆7千億円の予算を計上し、さらに医療費の窓口負担軽減や失業対策などに3兆8千億円投入します。
- 潜在的な需要を引き出すことで、125万人の雇用を創出します。
- 中小企業の活性化が日本経済の再生の柱、との考えから政府案の約2倍の中小企業むけ予算を確保しました。
- 税金の無駄遣いを排除して、政府案よりも12兆円の歳出削減をはかりました。
- 地方が自由に使える財源を、国から地方に19兆円委譲しました。
参考:民主党平成16年度予算案
民主党憲法調査会は、中野寛成前会長が衆議院副議長に就任したため、後任に仙谷由人衆議院議員が就任しました。私は引き続き事務局長を引き受け、活動を開始しました。
民主党は「護憲から創憲への発展」を掲げています。「政権交代の基盤となる憲法」をどう作るかが」これからの論議のテーマとなります。戦後半世紀を経て、市民の努力により、人権、福祉、環境などさまざまな分野で憲法に係わる実績が積み重なっています。これを丹念に掘り起こし、論理化することによって、新しい憲法の内容が明らかになるはずです。(1)総論(国のあり方、最高法規)、(2)統治機構、(3)人権保障、(4)分権自治(道州制を含む)、(5)安保・国際(国連との関係、地域安保など)の5つの小委員会で作業を始め、04年末を目途に民主党の憲法提案を取りまとめる段取りです。参院選前にその中問報告を整理作成します。
菅代表も1月の民主党の大会において、次のような決意を明らかにしています。
「現行憲法は、市民革命によって市民が自ら創った憲法ではないために、改正の議論まで封じ込められてしまっている。この背景には、55年体制というイデオロギー対立と、憲法解釈まで官僚任せにしてきたことがある。民主党が野党第一党になって、不毛の論争に終止符を打った。次は官僚主権から国民主権の政治を打ち立てることにより、市民革命に代わる幅広い憲法制定運動を起こすことが必要だ。」
第159回通常国会は1月19日に召集され、6月16日までの150日間の会期で開会しました。終了後に予定される参議院選挙も見据え、イラク問題、年金制度改革、対北朝鮮外交などに議論が集中する国会です。
今回のイラクへの自衛隊派遣承認案については、陸上自衛隊が派遣されるサマワ市の治安情勢が比較的安定しているという陸自先遣隊の調査報告書が根拠として示されましたが、その信用性についての疑問が続出しました。まず住民の意思を反映したサマワ市評議会の存否について政府が確認していないことが、明らかになりました。先遣隊が会ったとされる評議会の相手すら、確定するまでに二転三転しました。その度に、小泉首相と石破防衛庁長官の発言が撤回されました。さらに、防衛庁と外務省が先遣隊の調査報告書の原案を事前にまとめていたことを示す内部文書も暴露されました。そもそも今回の自衛隊派遣は、憲法違反の疑いが濃厚です。
しかし、この承認案件を審議していた特別委員会は、わずか2日間で打ち切られ、政府・与党は1月31日未明にイラクへの自衛隊派遣の事後承認と15年度の補正予算案を衆議院本会議で与党単独で強行採決しました。重要な外交政策をめぐっての国会は、混乱すべきではありません。これでは、派遣される自衛隊員もその家族も気の毒です。このような形で自衛隊派遣を続けていいのか、深刻な疑念を抱かざるをえません。
民主党は、特別委員会の補充審議などの条件を与党に受け入れさせ、参議院が審議を正常化しました。引き続きイラク現地における自衛隊活動の実態などを国民の前に明らかにしていきます。今後は平成16年度の予算審議がメインテーマになっていきます。
菅代表は1月13日の民主党大会で、次のような決意を明らかにしました。
「昨年の総選挙では、国民から二大政党の一方の柱であるポジションをいただいた。小泉政権が掲げる地方分権、年金、道路公団などの改革はすべて不完全。我々はいつ政権を担当しても、本物の改革に取り組めるように、次のような方向で提案を用意をすることが必要だ。
- 大量生産、大量消費、大量廃棄ではない健全な社会にしたい。地産地消の「スローライフ」に生活スタイルを変えなければならない。
- アメリカ一辺例の日本外交の姿勢を改め、アジアの国々との信頼回復が必要。EUに並ぶAU(アジア連合)を構想すべきだ。
- 拉致犯罪や不信船などに対して十分な対応ができなかったのは、国としての危機管理意識が希薄で、縦割りの官僚行政のことなかれ主義に原因がある。北朝鮮問題を平和的に解決して、東北アジアを経済的発展の大きな可能性を持つ地域にしたい。
- 自爆テロを抑えるには、テロの原因となる感情を解消するソフトな対策が必要だ。統治機構は米英中心ではなく、国連主導が望ましく、早い時期にイラク人による暫定政権をスタートさせるべきだ。
- 自衛隊の海外派遣ではなく、国際協力を目的に海外で活動する組織を「国連待機部隊」といった形で設定することを検討すべきだ。
昨年の自民党総裁選と総選挙で、小泉政権は大きく変質した。名実ともに改革政権でなくなったということだ。二大政党による政権交代を進めることができるかどうかという意味で、この夏の参院選も小泉政権に対する国民の審判になることは間違いない。一人区で十人以上の当選をめざしたい。」
民主党の本部では、次期衆議院選挙に向けた体制を確立するため、前回健闘した候補について「公認内定」を進めています。地元岡山では1区の菅源太郎さん、3区の中村てつおさん、4区の柚木みちよしさんが「内定」となりました。
5区のはたともこさんは残念ながら立候補を断念されました。これまでの健闘を讃えたいと思います。
江田五月会では、この夏に予定されている参院選に向けて、総決起パーティーを企画しています。恒例のの新春パーティーを延期して、この企画に統一したものです。場所は岡山プラザホテルで、会費は1万円です。この会で行われる講演には、「21世紀の選択」と題して榊原英資(さかきばら・えいすけ)さんに来ていただきます。なお、東京パーティーは3月17日です。
2004/02/25 |