2004/05/28 |
江田五月の国会レポート 第32号 |
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政治 経済 永田町の今 キン・マウン・ラットさんに特別在留許可 東ティモール、ハンセン病 |
岡山トピックス 2つの総決起集会 時尾秘書、倉敷市議補選で惜敗 岡田幹事長と街頭演説 |
参議院法務委員会で質問
不法在留外国人の増加が治安の悪化を生むという見方があります。しかし、外国人犯罪者の内訳を見ると、どうもそうではないようです。不法在留者数が高水準であることと、治安の悪化には因果関係は見られません。不法残留者を生み、犯罪を増加させる根本原因は別のところにあると私は思います。それは、日本社会が外国人にとって極めて暮らしにくいものであることです。こうした考え方に基づき、参議院法務委員会で以下のような質問を行い、政府の姿勢を質しました。(4月15日)
1.不法在留者の捕捉について
不法在留者の捕捉はどのようにおこなっているのか。漏れはないのか。
2.外国人の労働環境について
労働基準法で保証されている水準以下の雇用環境に置かれている外国人労働者の実態があると認識しているか。また、その事に対する対策は考えているか。
多くの3K職場において、不法在留者も含めて外国人労働者に依存している現状を考えると、仮に政府が言うように不法在留者を22万人から半減させた場合、3K職場を抱える中小零細企業に深刻な影響を与えることになるのではないか。
3.外国人の保険について
日本の医療保険の枠組みの中に入ることができている外国人労働者はどれほどいるのか。多くの外国人が保険の入り方もわからず病気や怪我をしたとき、病院に行くことを経済的理由からためらい、非常に困窮しているという事態になっているのではないのか。一部自治体では保険に加入していない外国人の治療に対して病院に補助金を出している。国としてなにか対策を考えていないのか。
雇用者が保険料負担を避けるために、外国人の保険加入を認めないという実態があるのではないか。これはある部分でパートタイム労働者と同じ問題であるが、他方で外国人が一般に日本の保険制度に精通していない、言葉の問題でよく理解できないということを悪用している側面もあるのではないか。その対策を考えているのか。
不法在留者であれば、たとえ外国人登録していても保険加入を認めないというのはどういう考えに基づいているのか。
4.外国人の教育について
文部科学省は不法在留者に対しても就学通知を出すなど、教育の機会を提供する姿勢を取っているが、どのように未就学の不法在留者を捕捉しているのか。
日本語を扱えない児童・生徒に対してどのような対応をとっているのか。その予算はどこがいくら負担しているのか。それで十分だと思うか。
外国人学校は、学校教育法のなかでの各種学校に区分されるものと学校教育法の枠組みの中にはいっていないものがあるが、そのような現状で外国人の教育が十分に確保されているのと考えているのか。
法務委員会会議録(2004/04/15)
参議院本会議で質問
一連の司法制度改革の中でも、特に裁判員制度の導入は、「裁判の革命」とも言うべき重要なものです。しかしこれだけの大改革を行うにもかかわらず、政府・与党の態度には真剣さが感じられません。そこで私は自らの裁判官としての経験も踏まえ、司法制度改革が、本当に国民に開かれた司法を作るものとなるよう、様々な角度から参議院本会議で質問を行いました。(4月28日)
法案は5月21日に成立しました。
1.司法制度改革の位置付けと尺度
法務大臣は、日本の官僚制司法に国民は満足していると思うか。司法の国民主権化という歴史的大改革に対する気概があるか。
制度改革により、法曹すべてに公僕意識を持たせること、国民の主権者意識を育むことが重要という認識はあるか。
2.司法制度改革の要諦
「司法制度改革は海図なき航海である」という意識で、決断と試行錯誤を柔軟に行うか。衆議院での修正( 裁判員の懲罰の緩和)をどう受け止めるか。
裁判員制度で、裁判官の公僕意識を育てられるか。
裁判員制度は、裁判官制度と陪審制度の融合による新制度との自負はあるか。
3.裁判員制度の危惧
裁判官と裁判員との評議の実務を、全員一致を目指すようにすべきではないか。
裁判過程に裁判員が実質参加できるよう、証拠開示、準備手続き、証人重視、捜査の可視化が必要ではないか裁判員の常識と法規範が食い違う場合、どういう手当てをしているか。
裁判員の守秘義務はなぜ必要か。守秘義務を具体的に書くべき、法定刑下限は刑の免除とすべきではないか。
参議院本会議会議録(2004/04/28)
3月5日、野沢法務大臣は、難民と認めないまま仮放免していたミャンマー人、キン・マウン・ラットさん一家4人の在留を特別許可しました。キン・マウン・ラットさんは技術研修のために88年に来日。92年に在留資格を失いましたが、祖国の民主化運動を支援するデモに参加したため、「帰国すれば迫害を受ける」と難民申請しました。しかし法務省はこれを却下。この非人道的な決定に対し、連合や地域などから、在留を求める430万人の署名が寄せられました。
私も、キン・マウン・ラットさんの在留を認めるよう、昨年11月26日の参議院予算委員会で質問し、その後、特別在留許可を求めてさまざまな活動を続けてきました。特別在留許可が下りる前日も、法務省担当者に状況を訊ねたばかりだったのですが、その時にはにべもない返事でした。しかし急転直下、良い解決となりました。
2月25日朝、東ティモールのシャナナ・グスマオン大統領を、参議院会館玄関で出迎え、東ティモール議員連盟主催の懇談会を開催しました。
岡崎トミ子事務局長の司会で、まず私が、会長として歓迎の挨拶。彼は3度目の来日ですが、大統領としては初めてで、こんな日が来るとは感無量でした。羽田孜元首相、菅直人民主党代表、土井たか子前社民党党首ほか、大勢の国会議員が参加してくれました。羽田さんと私とは、99年11月に、住民投票後の騒乱で荒れ果てた現地に出掛け、田舎町まで出向いて、修道女さんの部屋を空けてもらって一緒に雑魚寝した仲で、その翌日にシャナナに会ったのが最初の出会いです。
午後からは、ハンセン病問題の最終解決を進める国会議員懇談会の役員会へ。私が会長で、総選挙で有力メンバーを失ったので、補充人事と総会の持ち方を協議しました。その後、議員懇談会総会。全国から元患者の皆さんも大勢駆けつけ、大盛況となりました。私が冒頭挨拶し、野中広務さんに代わる顧問に古賀誠さんを、また共産党と社民党から副会長を推薦していただくことを提案し、了承されました。次いで、原告団・弁護団から、ハンセン病対策協議会の状況、黒川温泉宿泊拒否事件の現状、韓国の小鹿島更生園(ソロクト)の問題につき、それぞれ報告。看護士の3交代勤務につき要請を受け、出席国会議員の決意表明もいただいて、閉会。
夕方からは、「宿泊拒否とハンセン病問題の現在(いま)」というテーマで、パネルディスカッション。会場は満員の大盛況で、宿泊拒否に対する市民の怒りの強さを示しています。パネリストは、元患者側から、新原告団長の谺(こだま)雄二さん、全療協事務局長の神美智宏さん、毎日新聞の三木賢治さん、熊本県の東明正さんと私、司会は安原幸彦弁護士で、会場とのやり取りを含め、熱心な議論が続きました。最後に西日本弁護団長の徳田靖之弁護士が、「怒りをたたかいに変えましょうl」と、熱のこもった言葉で締めくくられました。
3月17日、東京赤坂プリンスホテル(500人)。4月24日、岡山プラザホテル(1000人)。2つの総決起パーティーはいずれも大盛会でした。いずれの会場でも、「江田五月さんは、絶対国会に必要な人!」という、支持者からの熱いメッセージが寄せられ、身の引き締まる思いがしました。講師を務めて下さった榊原(ミスター円)慶應大学教授をはじめ、ご協力いただいた多くの方々に、心からお礼を申し上げます。
4月25日投開票の倉敷市議会議員補欠選挙で、江田五月の倉敷市・都窪郡担当秘書の時尾博幸君が民主党公認候補(連合支持)として、初挑戦しました。有力4人が競う激戦となりましたが、前回の選挙で次点だった女性候補にわずかに及ばず、勝利することはできませんでした。時尾秘書は早速翌日から、参議院江田選挙、そして次回へ向けての活動を再開しました。応援して下さったみなさん本当に有り難うございました。今後ともよろしくお願いします。
5月4日、民主党幹事長の岡田克也さん、民主党県連幹事長の草苅隆幸さんたちと一緒に、県内を遊説しました。あいにくの土砂振りでしたが、大勢の皆さんが聞きに来てくれ、感激しました。岡田さんの話は、まず、菅代表を含む政治家の年金ミスのお詫びから入り、年金改革につき詳しく説明され、最後に参院選のご支援のお願いで締め括られました。極めて論理的で、説得力のある話でした。
2004/05/28 |