1983年4月 ’83統一地方選挙

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社民連の宿題 今回の選挙結果を国政選挙にどう生かす

 八三年政治決戦の先陣を切った統一地方選前半戦のうち、四十四道府県議選の各党得票率に強い関心が集まっている。六月の参院選あるいは衆院解散・総選挙における各党の消長を占う最新のデータという意味あいからだ。


 保守系無所属を取り込む

 まず五十五年の衆参同日選挙、五十四年とこの四月の四十四道府県(茨城、東京、沖縄を除く)議員選の各党得票率、五十四年の道府県議選における各党当選議席数と今回の比較は、別表(略)の通りである。

 大ざっぱな傾向としては、自民、公明党の伸長、共産党の敗北、社会、民社党、新自クの停滞ないし不振、社民連の横ばいととらえることができる。

 しかし国政選挙を占うには、各党の得票率、議席数の変動にとどまらず、国政選挙と地方選の違い、今回の道府県議選にみられた各党の選挙戦術の変化なども考慮に入れる必要があろう。

 五十四年に比べて議席数を大幅に伸ばした自民党は、道府県議選において、保守系無所属候補を積極的に党公認とし、“集票マシーン”の投割をさせた。また、他党と違って昨年秋の党総裁予備選では保守票の掘り起こしをやったし、参院全国区に代わる比例代表選挙の新人候補たちが支持者固めを進めている効果も小さくないと考えられる。

 だが国政選挙では候補者を大幅に増やすという方法に限界があり、マイナス要素が出てくることも考えられる。さらに内閣支持率の不人気ぶりにも見られるように、中曽根政治の、特に防衛力増強路線には、国民の間に強く反発がある。


 公明党だけが単独勝利

 社会党は北海道、福岡知事選で自民に競り勝った。だが道府県議選では、得票率、議席ともジリ貧で、全体として長期低落傾向に歯止めをかけたといえるところまでいっていない。中曽根政治批判の無党派層を引きつける何かの方策を打ち出さないと、党勢反転は難しい。

 共産党は参院比例代表選挙をにらんで道府県議選で前回の三倍以上の候補を立てて大量集票を図り、場合によっては参院比例代表区、あるいは衆院選に反映する可能性もある。しかし道府県議選で三十七も議席を減らしたことは大敗北であり、しこりとなって残るかも知れない。

 候補をしぼったとはいえ当選率九四・三%、議席も十六増やした公明党は、これをバネに、特に衆院選で現状より大幅に議席回復が期待できよう。これに対し得票率、議席とも振るわなかった民社、新自クは地方選でみるところ、政党イメージづくりにもう一つのところがあり、新しい態勢が求められている。

 さて社民連、衆院選では現職の阿部昭吾、菅直人、楢崎弥之助の三現職のほか、参院全国区から岡山一区に回った江田五月がは着々と支持者を固めている。

 しかし、問題は参院選。五十二年の全国区では田英夫(当時社会党)と江田五月両氏が一、二位を占める好成績を収めたが、江田氏が衆院へ回ったほか、選挙制度が比例代表選挙に変わった状況の変化もある。新自由クラブと共闘体制を組む方針だが、成果が注目されるところだ。


 国政選挙に生かす道

 統一地方選前半の知事選は指摘されるように、「見どころ」である知事選で相乗りの推薦が多く、北海道や福岡を除けば、投票前から勝敗の大勢が決まっていると有権者が受け取った面もあったかも知れない。それが、投票率平均六三・二一%の史上最低という結果に表れている。

 だが、国政選挙となれば事情はガラリと違ってくる。国政選挙は野党間で部分的に選挙協力があるにしても、基本的には政党同士の、党の政策実績を掲げた激突である。また、住民生活を軸にした地方選挙と異なって、安全保障をはじめ国の基本政策が選挙の争点となってくる。

 シラケているとはいいながら、決して政治に無関心でなく、むしろ高い政治意識を持っている無党派層の心を動かす政策、人材がいない限り、議席の拡大は望めない。    

 確かに統一地方選での有権者の投票結果は、国民の「現時点での」厳粛な審判である。だが、この結果の数字が機械的に次の国政選挙に当てはまるわけでもない。今回の審判を謙虚に分析し国政選挙にどう生かすか、既成政党に批判的な良識派無党派層を支持基盤としてきた社民連の今後の宿題といえよう。

 いま一度、社民連は原点に戻って考えなければならないと思う。


1983年

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