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○臼井委員長 原子力の開発利用とその安全確保に関する件、特にロシアによる放射性廃棄物海洋投棄問題について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川島實君。 ○川島委員 ロシアにおける放射性廃棄物の海洋投棄問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 国際環境保護団体グリーンピースによると、十七日午前八時ごろからロシア海軍の放射性廃棄物の海洋投棄専用船により、ウラジオストク南東約二百キロの日本海で投棄が行われた、こういう連絡が来ておるわけでございます。そのとき政府は、ロンドン条約に違反するとして直ちに事実確認を求め、厳重抗議と二回目の投棄停止を求めてきたところでございました。多くの政府の、外務大臣初め科学技術庁長官等の御努力によりまして、今回ロシアの二回目の海洋投棄が中止の決定を見たわけでございますが、これらの政府の機敏なる対応について敬意を表するところでございます。 今回の外務省のこれらの経過について、まずお伺いをしておきたいと思います。 ○天野説明員 お答えいたします。 外務省といたしましては、十六日、グリーンピースの動きが報じられた直後、本件投棄の事実関係をロシア側に照会いたしました。 その後、累次抗議、照会を行ってきておりますが、十九日には斉藤外務事務次官がチジョフ在京ロシア大使を招致いたしまして、次のとおり抗議、申し入れを行いました。日本海における放射性廃棄物投棄に強い遺憾の念を表明し、第二回の 投棄は中止するよう強く要求する、ロシア指導部の我が国の国民感情を踏まえた高い次元での政治的判断を要請する、投棄の完全禁止実現のための措置につき建設的な協力を行うという内容でございます。 続きまして、二十日、羽田外務大臣よりコスイレフ外務大臣に対しまして、電話で以下を申し入れいたしました。細川総理も強く懸念しており、第二回目の投棄中止を強く求めている、日ロ間の作業部会の早期開催を提案し、日本側としての協力の可能性を検討する、エリツィン大統領に日本側の懸念を伝達し、関係者に対し投棄中止の働きかけを行うよう要求する。 その後、二十一日日本時間零時四十分、ロシア側より、放射性廃棄物の第二回海洋投棄は中止することとした旨、内報があったものでございます。 ○川島委員 次に、今回の投棄ばかりでなく、過去に投棄された一九六六年から一九九一年における、捨て場十カ所を含めた総合的な対策が必要であると考えるわけでございます。 放射性廃棄物の影響に関する国民の不安は非常に大きく、魚介類を好んで食べております日本国民にとって、一日も早い安全宣言が求められているところでございますが、今後の対応について、水産物等の不安に対する調査はどのように計画されているのか、この二点についてお伺いをいたします。 ○江田国務大臣 大変御心配をいただいているところでございます。ロシアによる海洋投棄というものが随分長い間、しかも相当大量にわたって続いていたということでございまして、これは、放射能対策本部というのが昭和三十二年に設けられまして、私が今担当しております科学技術庁長官がその本部長ということでございますが、そこでこの対策をとっていくということになっているわけですが、直ちにこれは調査をしなければならぬということで、今年調査をいたしました。 その結果、直ちに我が国の国民の健康に影響があるものとは言えない、そこまでのことはないという調査結果が出まして、早急に中間報告もし、さらに八月でしたか、この最終調査結果というものを出しましたが、今回またこういうことが行われたということで、放射能対策本部の幹事会を直ちに開きました。そして、先般調査体制をとって既に調査を始めているということでございますが、今後この調査結果を得て、専門家による評価を経て、国民の皆さんに公表を迅速に行いたい。調査をしてみなければ、これは安全であるとか危険であるとかということは言えないわけでございますので、予断を持つことなく厳密な調査を、しかも迅速にやりたいと思っておるところでございます。 ○川島委員 一九八四年に固体放射性廃棄物百十八立方メートルを沖縄の南東約七百キロの海域に投棄したとロシア連邦大統領府の報告書に記載をされておりますけれども、当時科学技術庁は、ロシアの誤記だ、こういう推察が示されておるわけでございますが、その後、この事実関係についてどのように明らかになっておるのか、お伺いをしておきたいと思います。 ○江田国務大臣 これは、今年の四月二日、ロシア政府が公表をいたしました白書に、投棄海域ごとに固体放射性廃棄物の個々の投棄場所が緯度、経度によって示されていたわけですね。そのうち、ウラジオストク沖に位置する第十投棄海域内の個々の投棄点をその緯度、経度に応じて場所をプロットしてみますと、どうも一つだけ第十海域から大きく外れて沖縄に近いところに位置するものがあったわけでございまして、どうも第十投棄海域だけでなくて沖縄の方にも捨てられているのではないかという心配が起きた。 そこで、この点については、これはロシア政府に対して外交ルートを通じて事実の確認を行いました。誤記ではないかと推測をしていたわけですが、きっちり確認をしましたところ、北緯四十度二十分と記すべきところを北緯二十度二十分と誤記したものだという確認が得られまして、誤記であるということが確認されているということでございます。御心配をおかけしました。 ○川島委員 次に、日本政府もかつて東京湾から千キロないし二千キロの南太平洋諸島の近海に低レベル放射性廃棄物を捨てる計画をいたしまして、近隣諸国の反対で断念した経過がございます。また、一九五五年から六九年まで、房総半島の沖、駿河、相模両湾に放射性廃棄物の試験的海洋投棄を行った報道がなされておりますけれども、日本の過去の投棄は現在安全上問題がないのかどうか、お伺いをしておきたいと思います。 ○江田国務大臣 日本も、確かに過去に放射性廃棄物の海洋投棄というのを実施をしたことがないわけではないのですが、安全上最大限の注意を払ってやっておるし、それから、今お話しの海洋諸国のいろいろな反対がございましてやめたという経緯もございますが、今の昭和三十年から四十四年まで、これは主に医療用の放射性同位元素、これをいろいろきっちり安全性についての処置をした上で投棄をしたものであって、全く心配はないというふうに判断をしておりますが、その辺の細かなことにつきましては、政府委員の方からさらに付随して答弁をさせます。 ○笹谷政府委員 大筋ただいま大臣から御説明したとおりでございますが、若干補足いたしますと、過去に実施した投棄についてはきちんとコンクリートに固形化したものでありますし、また、その投棄した放射性物質は海中に溶け出しにくいコバルトがほとんどでございます。また、捨てた後も、御説明ありましたように、きちっと異常の有無を確認し、異常はないということを確認しております。 以上でございます。 ○江田国務大臣 なるべく大臣の答弁でやろうと思っておりますとちょいちょい間違いをすることもあるようで、先ほど放射能対策本部の設置を三十二年と言いましたが、そうではなくて三十六年の十月でございました。大変失礼いたしました。昭和三十二年は、周辺海域の環境放射能レベルの調査を開始をした時点であったということでございます。 ○川島委員 次に、日本近海と北方海域に旧ソ連の大量の放射性廃棄物が投棄されてきたのは一九五九年から一九九二年まで、この放射能の総量が約八・五京ベクレルに上ると言われ、廃棄物は、原子力施設の汚染物を金属コンテナに入れたり船に積載して船ごと沈めたもの、原子力潜水艦や原子炉をそのまま沈めたものがあると言われております。現在、原子力船二百三十五隻、原子炉四百七基、そのうち解体の必要なものが九十三隻あると言われております。 今後の我が国とロシアとの関係においてのこれらの廃棄物処理についての対策、特に、日本近海における国民の不安や懸念が非常に大きいだけに、万全の措置が望まれておるわけでございますが、国連等の関係機関を通じていろいろな対策をお願いしておきたいところでございますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。 ○江田国務大臣 御指摘のような心配があるわけですね。昨年まで続いていた海洋投棄について、これは液体放射性廃棄物の投棄もあり、同時に固体のものもあったわけでございまして、我が国としても、大変これは関心を当然持つ。そこで、先ほども申し上げましたとおり、放射能対策本部として調査をしたものでございますが、しかし、まだ十分な調査が完全に済んでいるというわけでもなくて、これからさらにロシア側と鋭意話を詰めて、共同調査を行いたい。 何しろ、日本の方が勝手に入っていけない地域のものもあるものですから、やはりロシアと外交交渉をやって調査をしなければできないという関係になりますので、先般もエリツィン大統領が来日をされた折に、細川総理との会談でそうしたこともお話しをいただいたわけでございますが、事務方の詰めもずっと進んでおりまして、これは、今月の二十七日、二十八日、専門家の会議をモスクワで行いまして、さらに十分な調査もいたしまして、それから、来月の十日、十一日、これは第二回目の日ロ共同作業部会を行って、対策を、共同で調査をする方針のもとで実務的な詰めを行っていきたいと思っております。 しかし、日本海における投棄と別に、その他もたくさんあるのですね。北極海というのですか、カラ海、アラフラ海といったあたりでしょうか、こういうところの投棄は日本海の投棄の比ではない大変な投棄をしているというようなこともありまして、ロシアとノルウェーが一緒に調査をしているといったこともございまして、今後、旧ソ連、東欧、中欧諸国の核廃棄物を一体どう取り扱っていくのか。これは、民生用のものもありますが、同時に軍事用のものもある。これから核兵器の解体といったことにも取り組んでいかなければいけないというので、国際的な枠組みで努力をしていかなければならぬ。日本も、そういう国際的枠組みの中で努力をしてまいりたいと思っております。 ○川島委員 次に、今回のロシアの廃棄物処理の関係で、通産省の方針と科学技術庁の方針と若干ずれている面が一点あったわけです。通産省は、ロシアの核解体援助金を廃液貯蔵に活用を検討する、こう言っているわけですが、科学技術庁の方では、原潜の活動の助けのおそれがあるから、この援助は慎重な構えが必要だ、こういうような形でコメントを発表しているわけですが、この辺の統一見解はどのようになりましたか、お伺いしておきたいと思います。 ○江田国務大臣 政府部内で考え方に違いがあるというわけではないと思います。これはもちろん、我が国及び国民の安全にとっても、あるいは健康にとっても、大変な影響のあることでありますから、日本として最大限の努力をしなければならぬ。 先ほど、ロシアと共同の調査のことは申し上げましたが、もちろん我が国独自にもいろいろなことをやっているわけで、既につい先日、海上保安庁の船、明洋でしたか、これが門司から出航したというような報道、これは報道のとおりでございまして、そうしたこともやっていくわけでございますが、同時に、ロシアの液体放射性廃棄物の処理について、日本としてもいろいろな技術的な支援ができるのではないか。これは、既に技術的検討も始めておりますし、また、財政的なことなども含めてこれから検討していかなければならぬことだと思います。その点、科学技術庁として、別に消極的な態度は全くありません。 ありませんが、しかし、これは注意しなければいけないのは、やはり原子力潜水艦関係の液体放射性廃棄物ということでございますので、廃棄をされた原子力潜水艦の液体放射性廃棄物、こうなりますと、既にこれは廃棄をされた原子力潜水艦ですから、さらにそれがどんどん軍備拡大につながるというものではないと一応言えるかもしれませんが、しかし、現に動いている原子力潜水艦のものもあるわけですよね。そうすると、現に動いているものについて、こちらが技術的ないろいろな支援をしたりあるいは財政的な支援をいたしますと、その分ロシアの軍事費が助かる、さらに別のところにこれを使うというような関係になると、これは困ります。世界全体の軍備の縮小という方向に向けての大きな流れと逆行することになってはいけないという、そういう心配は当然あるわけでございまして、科学技術庁の方で関係の者があるいはそういう意味のコメントをした、その点が強調されて伝わったということはあるかもしれませんが、そうした両面の考慮から調整を進めていかなきゃならぬということで、まだ政府として統一したというような見解を得る段階ではないと思っておりますが、さらに調整を進めて、間違いのない対応をしていきたいと思っているところでございます。 ○川島委員 最後に、中国の核実験についてお伺いをしておきたいと思います。 九月の国連総会で、羽田外務大臣は中国の前副総理に対して核実験の自制を申し入れておりますし、十月五日、これらを押し切って中国が核実験を行いました。世界で唯一の被爆国の我が国といたしまして非常に遺憾なことだと思っておりますが、今後世界が一九九六年に向けて、全面禁止に向けて条約締結の動きもあるやに聞いておるわけでございますが、今回の中国の核実験について政府はどのようなお考えをお持ちなのか、お伺いをしておきたいと思います。 ○中根説明員 お答えいたします。 御指摘のとおり、今回の中国の核実験は、国際的に全面核実験禁止に向けた非常な機運の高まりがある時期に行われましたものでございます。こうした国際的機運の高まりに逆行するものということで、日本政府としてもこの核実験実施につきまして極めて遺憾であると考えております。我が国は、従来より、核実験禁止問題を軍縮分野におきます最重要課題の一つとして重視してきております。今回の中国の核実験が全面核実験禁止交渉の妨げとならないことを、強く希望しております。 我が国としましては、御指摘のとおり中国の核実験準備の情報を入手すると同時に、何回かにわたりまして非常に高いレベルで中国に核実験をしないようにという申し入れを行いましたが、残念ながら中国は実施に至ったわけでございます。実施に至った直後にも、遺憾であるということと、それから核実験を再度繰り返すことのないようにという呼びかけを中国側にしておりますし、また、改めて高いレベルで申し入れも行いました。 我が国としましては、今後とも中国がこうしたことを繰り返すことのないよう強く求めていくとともに、他の核兵器国に対しても、引き続き核実験を控えるように求めていきたいと考えております。 ○川島委員 ありがとうございました。時間ですので終わります。 ○臼井委員長 今村修君。 ○今村委員 今回の事件は、エリツィン大統領が来日をしてせっかく盛り上がった友好ムードを一遍に吹き飛ばす、こんな事件で、大変な事件であったと思います。特に、日本海で操業している漁業者を初め関係都道府県は一斉に抗議の声を上げる、こんな状況になっているわけであります。幸いにして、ロシアは日本政府の抗議やこうした国内の世論に押されて、二回目の海洋投棄は一時延期する、こういう状況になったわけでありますが、問題はなおかつ先送りをされている、こういう状況になっています。 そこでお伺いをしたいわけでありますが、国民がいらいらしているこんな状況の割には、政府の対応がちょっと遅かったんじゃないのか。羽田外相が直接連絡をとったのが二十日、こんな状況のようであります。政府の態度がちょっとあいまいだったというのは、海洋投棄に対する日本政府の考え方があいまいなことがそんな結果をもたらしたのではないか、こんな気がするわけでありますが、この点についてお伺いをします。 ○江田国務大臣 対応が遅かったと言われますと甚だ申しわけないと思いますけれども、しかしこれは、事実をどういうふうに国として、政府として確認できるかというのはなかなか難しいところで、また御議論があるかと思います。もう外交ルートを通じまして、私どもこの報道を耳にした途端に確認を求めたわけで、その結果確認された事実に基づいて、放射能対策本部を迅速に機能させて、放射能による国民の健康への影響を監視する立場から、すぐに幹事会も開き、方針も決定し、調査のための船舶も出航させるという対応をとったわけでございまして、ぜひその点は御理解をいただきたいと思います。 私ども、旧ソ連、ロシアによる放射性廃棄物の海洋投棄に関しましては、これはもう近隣諸国に対する配慮に大変欠けるものだ、大変遺憾である、この態度は一貫をしておりまして、エリツィン大統領が来て、本当に話し合いもいい結果を生んで、さあこれから日ロの友好がスタートするというやさきの話ですから、まことに残念だったわけでございますが、政府として海洋投棄というものに対する態度にあいまいな点があるということではないと思っております。ぜひ御理解いただきたいと思います。 ○今村委員 来月開かれるロンドン条約締約国会議で、日本は低レベル廃棄物を含めた海洋投棄の全面禁止に賛成する、こう言われているようでありますが、事実でしょうか。仮にこれが事実とすれば、私は国際世論が厳しい状況の中で大変賛成をするものであります。 ただ同時に、この海洋投棄全面禁止に賛成するという考え方は、今青森県六ケ所につくられている再処理工場から大量に海に放出をされる、海中放流と矛盾するという考え方にはならないんでしょうか、この点についてお伺いをします。 ○江田国務大臣 来月ロンドン条約の締約国会議が開かれる、これはお話のとおりでございまして、そこで一体この低レベル放射性廃棄物の海洋処分についてどういう討議あるいは結論が出されるかというのは、これはまだまだこれからのことでございます。 日本として、政府として一体どう考えるのかということですが、今いろいろなことが報道されているわけですけれども、これはまだまだ考え方の調整中でございまして、結論が出ているという段階ではございません。科学技術庁といたしましては、専ら科学技術的な見地のみで言うならば、しかもIAEAの基準にのっとって適正に行われる海洋処分については、これはこれまでのいろいろな検討の結果からいえば安全上問題はないという、そういう判断なのでございます。 しかし、科学技術のことだけで世の中進んでいるわけではございません。国民の安心の問題であるとか、あるいは周辺諸国の懸念のことであるとか、いろいろなことがございます。国としては、低レベル放射性廃棄物海洋処分については関係国の懸念を無視して行うことはない、こういう基本方針をこれまでもずっと貫いておりまして、先ほどの川島委員のお話にもあったように、やらなかったわけですね。さらに、ロンドン条約締約国会議におけるモラトリアム決議というものがございまして、これについても誠意を持って遵守をしてきているところでございます。 来月の対処方針ということについては、陸上処分計画の進展等の我が国の放射性廃棄物処分対策の現状とか、あるいは関係諸国の懸念の高まり等により、海洋処分の実現可能性は極めて乏しくなっておる、このことを十分考慮をしていく必要があると思っておるところでございまして、詰めの作業を行っている。原子力委員会でもいろいろ検討を進めておって、ひとつ世界の大勢というものを十分見きわめながら対処していきたいと思っています。 ○今村委員 ロシアは今回二回目の投棄を一時延期をした、こういう内容になっているわけです。しかし同時に、貯蔵施設が満杯になれば再び海洋投棄をせざるを得ない、こうも言っているわけであります。日本政府として、この海洋投棄をさせないために今後どんな方策をとっていくのか、お伺いをしたい。 同時に、今回の海洋投棄によって、沿岸の漁民は大変な心配をしているわけであります。特に、日本海で漁業をしてる漁業者は、これでとった漁獲物が売れないと風評被害を大変心配しています。こんな状況に対して政府としてどう対応するのか、これらについてもお伺いをしておきたいと思います。 ○江田国務大臣 おっしゃるとおり、ロシアにこの液体放射性廃棄物の海洋投棄というものを完全に断念をしてくれと言っても、向こうではまだちょっとなかなか施設も整わないしというようなことですので、今回は中止を強く求めて中止をしていただきましたが、完全な断念ということになるためには、日本としてもいろいろな技術的、財政的協力が必要なのだろうと思います。 技術的な協力については既にいろいろな可能性を検討しておりますが、もし必要なら政府委員の方から詳しく答弁をさせますが、蒸発をさせて量を減らすとかいろいろな方法がある。あるいはロシア側にそういう施設を建設するといった問題もあるだろうと思いますが、これからの課題でございますが、この努力をしていきたい。 それから、日本海の魚の心配、漁業者の皆さんの心配ということでございますが、これも予断を持って調査するのではいけませんので、予断なく十分科学的反証にたえ得る調査をしたいと思っておりまして、しかもその調査結果は早急に結論を出して皆さんにお知らせをしたいと思いますが、これまで得られている状況から常識的に判断をしますと、あくまでこれまで得られている情報が正しいものとして、過去のいろいろな事実から常識的に判断をしますと、魚が食べられなくなるとかそういうことはないのではないかなと思っておるのですが、しかしこれは予断を持ってはいけませんので、厳重な調査をするということでございます。 ○今村委員 最後に一点だけお伺いをしておきたいと思います。 今回の海洋投棄はロシアの国から事前に連絡がなかった、こういうことになっているわけです。ただ、国際原子力機関では事前に連絡を受けていた。これは、IAEAから当然日本にも連絡があってしかるべき内容であったのではないか。また、ロシアはIMOには届けていなかった、こういう内容であります。これはロンドン条約に反するということになるのではないか。また同時に、さきに大統領が来て行った東京宣言、この内容にもこれは反するという内容になるのではないか、こう思うのですが、この点はどうでしょうか。 ○江田国務大臣 ロシア政府からIAEAには十月の五日付でしたか、ファクスで連絡が行っておった、通告が行っておったということなんですね。そのファクスを見ますと、IMOにもあわせファクスを送るというふうに書いてあるのですけれども、IMOには届いていたか、いなかったかということがちょっと疑問符がついておりまして、そこの確認がまだちょっととれておらないのです。IMOの方にはちゃんと届けなければならぬというのは、これは条約上の義務でございますが、その点はあるいは抜かりがあったということがあるのかもしれません。 IAEAからのこちらへの連絡については、私は、条約上とか国際的な義務としてということにはなかなかならないのですが、しかしまあ連絡ぐらいしてくれてもいいじゃないかということで、つい先日、ブリックスIAEA事務局長がお見えのときにそういう趣旨のことを申し上げて、皆さんの関心はよくわかったので今後努力をする、こういうことになっております。 IMOは連絡を受けていないということが確認をされているようでございます。 ○今村委員 終わります。ありがとうございました。 |
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