1979年5月29日

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全国代表者会議
 全国代表者会議は、五月二十九日午前十一時より東京・椿山荘で開かれた。全国各地から代表七十名が出席し活発な討論の末、当79統一地方選挙後の新局面に対する「政治方針」と「統一自治体選挙の総括と総選挙・参院選挙方針」(後掲)を採択して終了した。


統一地方選挙後の新局面に対する政治方針
  保守復元に抗し政治の流動化を促そう!

 本年一月十四日に開かれた第二回全国代表者会議以降の政局における特徴的動向は、一口にいって保守の復元である。しかし、それはけっして国民の積極的な自民党選択ではない。

 むしろ、保革伯仲、連合時代の到来という時代の要請にもかかわらず、それに対して、われわれを含めて、何ら積極的な対応をなし得なかった、野党不在の投影だと受けとめるべきである。

 その間、具体的には、公明党大会における竹入委員長の「安保・自衛隊」に対する現実論としての是認的態度表明、東京都知事選挙および五十四年度予算に対する自公民連携の動き、民社党大会における佐々木委員長の将来展望としての自民党との「政策連合」提唱など、中道グループの右シフト傾斜が露骨に顕在化しはじめた。一方、社会党の混迷と無気力はいよいよ決定的となった。

 そのような野党の混迷に助けられた大平内閣は、ダグラス・グラマン事件終結にみられる通り、保守復元と安定性を取りもどしつつある。統一地方選挙の結果もその動向を裏付けている。

 こうした新しい政治動向に直面し、統一地方選挙の総括をふまえて、われわれの政治路線は再検証の必要があるかどうかが当然問われるであろう。

 結論を先にいうならば、われわれの既定の政治路線を変更する必要は全くないばかりか、ますますその既定方針の具体化が重要になったのである。

 しかし問題は、政治路線そのものの変更は必要でないかも知れないが、この一年間の社民連の運動の実態は、各種首長選にみられるように、必ずしもその政治路線にそいえていないことにある。したがって、政治路線と実践行動を合致させることが、今後の一つの大きな課題である。

 第二に、さらに重要なことは、統一地方選挙の結果が明らかにしているとおり、社民連がミニ既成政党化することによって、社民連本来のイメージを著しく衰退させたことである。それは一口にいって、「路線は中道、体質はミニ社会党」といえるものであろう。問題はむしろ、この一年間、社民連が、その本来の原点である「社会改革を志向する自由派社会主義者と市民の連合組織としての新しい型の政治集団」にマッチした、いかなる政治運動を構築しえたか否かにある。

 われわれが反省すべき点はまさにここにある。したがってわれわれの最大の急務は、国民に見える形で、社民連の本来の理念にそったいくつかの行動を積み重ねることによって、社民連のレーゾン・デートルを示し、衰退した社民連イメージを回復することである。

 中道グループの右傾化現象については、すでに五四・一・一四決定方針で「全体として右シフトに巻きこまれる危険性が常につきまとうことを忘れてはならない」と警告しているし、五三・三・二六政治方針で「新自由クラブ、公明党、民社党の右シフト志向が強くなれば、その延長線上にみえるのは保守・中道連合政権である。これは結局、五五年体制の衣替えであり、何ら日本の政治を革新するものではない」と指摘し、五四・一・一四方針において「社・社・公・民プラスアルファの新革新・中道路線を今年も継承し、さらに具体化するため全力を傾注したい」と決定している。

 そして「中道ブロックにおける左シフトの役目を社民連は当面の目標にし、中道四党の結束を今後ともますます強化して、社会党を引きこまなくてはならない」との任務を明らかにしている。

 われわれの認識と方針は現局面においても正しい。この際われわれは、「反自民」の旗幟をあらためて鮮明にする必要がある。

 したがって具体的には、われわれの「新革新・中道路線」上で、可能なところから議会内統一交渉団体結成を急ぐとともに、社会党の出直し再建を側面的に促すことが急務である。今日の野党混迷の責任は、一にかかって社会党の無気力、指導力の低下にある。その真因はさらに、党と労働組合の関係をいびつにした総評の社会党過保護にあるといわねばならない。

 社会党再建について言及すれば、現状を糊塗して、いかに部分的、表面的手直しを図ろうと、もはや真の再生は不可能であろう。“本当に出直す気だな、それならもう一度社会党に賭けてみよう” という気を国民に与える方策はただ一つ、「解体、出直し」以外にないのではないか。そして、それこそが、われわれがめざす大きな新しい政治勢力結集にとっても必要不可欠なことだと考える。

 この種の党再建、あるいは政界再編への動きは、過去の経験では、各種選挙の到来で常にご破算になっている。政治にとって年ごとの選挙は宿命である。“選挙が近いから”では、いつまでたっても党改革や政界再編は議論だけで終わってしまう。一回くらい、選挙を捨てる覚悟で取り組まねば、新しいものは生まれえない。この際、特に社会党・総評ブロックに対して、以上のことを進言したい。われわれもまた、新しい政治勢力結集のための接着材として献身する。

 五四・一・一四方針で「われわれは新しい政治連合を実現させるための政治勢力の結集をめざして、その起爆剤ともなり、牽引車ともなる覚悟をあらためて確認しよう」と誓った。そのためには、われわれは何としても、来るべき総選挙で生き残らなければならない。文字通り、社民連の命運を賭けた政治決戦である。全会員の奮起を希ってやまない。


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