2005年3月9日 |
江田五月の国会レポート 第35号 |
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各種委員会・調査会活動開始 憲法調査会 / 法務委員会 |
岡山トピックス 岡山県連が第10回大会を開催 |
第162回通常国会が1月21日に召集されました。会期は6月19日までの150日間です。開会当初は6月末に東京都議会選挙が行われるため、延長はない模様でしたが、与党内での郵政民営化関連法案の調整がなかなかつきそうにない状態から、早くも2ヶ月延長かとの声も聞かれ始めました。
江田五月議員は、民主党・新緑風会議員会長として、国会冒頭の代表質問や4月に行われる、福岡2区と宮城2区の補欠選挙の選挙対策本部の本部長代理になるなど、相変わらず、多忙な毎日を送っています。
1月25日(火)参議院でも代表質問が始まり、民主党・新緑風会を代表して江田五月参議院議員会長は小泉首相だけを答弁者に指定して、参議院改革、自然災害、政治とカネ、イラク戦争、核軍縮、日中関係、年金、司法制度、教育などを質しました。また、サー・オリバー・ロッジの言葉と梅蘭芳の故事を引き(詳しくは議事録をご覧下さい)、政治の基本を質しました。しかしながら首相の答弁は、ほとんどが官僚答弁の棒読みに終始しました。
やりとりのダイジェストは以下の通りです。
- 参議院での決算審議を重視し、国の運営の透明性を高めることへ協力は?
=決算審査の充実等にできる限り協力していきたい。- 昨年相次いだ自然災害への対応について、「国民の多くは、個人住宅の再建にも補助をすることを求めている」ので民主党などの被災者生活再建支援法改正案への同意を求める。
=様々な角度から、なお議論を深める必要がある、などと誠意の感じられない答弁。- 旧橋本派への1億円ヤミ献金事件の真相究明に積極的でない、なぜ迂回献金を禁止する法改正に賛成しないのか?
=国会において決めるべき問題、各党・各会派で十分ご議論を。- 大量破壊兵器がなかった今、イラク戦争の大義をどう説明するのか?
=イラクは国際社会の真摯な努力に応えようとしなかった。- 対人地雷条約、京都議定書、国際刑事裁判所条約の問題について、わが国が米国を積極的に説得していくべきではないか?
=いずれも様々な機会を通じて意見交換を行っている。- 中国残留孤児が永住帰国した後、育ての親を訪ねて離日した間は生活保護が給付されないことに対し、政治の力で救済を!
=すでに各種支援策を講じているがきめ細かな支援に努める。- 今の年金制度が本当に100年安心か? 消費税を活用すべきではないか? 早急に一元化を実現して議員年金を廃止することを目指すべきだ。
=持続可能な年金制度に見直すことができた。消費税の活用については当然検討の対象になる。議員年金については各党各会派の間で十分議論を。- 施政方針演説で首相が明言した郵政の四分社化、非公務員化、4月に法案提出などが達成されなかった場合、居直るか、衆議院を解散するか、退陣するか三者択一で!
=与党の協力を得て成立できると思っている。最後に、小泉首相の政治手法のせいで政党政治は信用を失い、不真面目な答弁のせいで、国会審議もまた信頼を失った今、退陣の時期が刻々と迫ってきているとして、小泉内閣の退陣までには、必ず民主党が政権担当の準備を完成させることを力強く宣言し、質問を締めくくりました。
政権戦略委員会は、岡田代表が委員長、藤井裕久代表代行、川端幹事長、仙谷政調会長・江田五月参議院議員会長が委員、枝野幸男衆議院議員が事務局長、福山哲郎参議院議員が事務局長代理という構成により、(1) 政権獲得後の政権運営に関する課題、(2) 政権交代に向けて準備すべき事項およびその実施方法、について戦略的な視点で検討するためのものとして、昨年末に設置されました。
1月19日に第1回会合が開かれました。当日は細川内閣、羽田内閣そして自社さの村山連立内閣を含む7年間、内閣官房副長官を務めた石原信雄氏を講師に招き、政党間で政権の移動がおきた後の政権運営について意見を聞きました。
石原氏は、政権獲得後の官邸の運営方法、また内閣と与党、内閣と官僚機構、内閣と国民の関係についてのべるとともに、政権交代を実際に見届けた経験も交え、官僚・首相官邸・内閣・党を調整する軸となる官房長官の存在の重要性などに言及し、政権交代後の運営について、活発な意見交換を行いました。
第2回会合は2月22日に開かれました。細川政権で総理大臣秘書官を務めた成田憲彦駿河台大学法学部教授を招いて新政権発足へのポイントにつきヒアリングを行うとともに、二大政党制における第二党の役割についても議論を行いました。
成田教授は
(1) 政権獲得に向けて民主党は、自民党プラス公明党に対峙する政党として、総選挙で自公二党を上回る王道を歩むべき。自民党批判の受け皿としての力量が問われている。
(2) 政権のスタートについて細川政権では、政策の連続性を強調し過ぎたとし、国民の支持を得ていくためには、政権交代によって様々なことが変わることを、しっかり国民に伝えて納得を得ることが大事だ。
(3) 政権の移行時は、開票日から実際の政権交代までのタイムスケジュールや、その間にやるべき準備を整えておくことが重要。こうした準備がなければ、霞ヶ関の官僚組織のお膳立てに乗っていくしかなくなる。以上の3点を強調されました。
その後委員間で議論をし、民主党が政権を目指していく上で、民主党は野党ではなく「政権準備政党」であること、政権「準備」機能と政権「監視」機能を使い分けつつ次期総選挙での政権交代を目指すことについて、民主党として基本的な認識の共有を図っていくことを確認しました。政権戦略委員会では、今後も引き続き、有識者を招いて意見を聞くなどの作業を進めていく予定です。
江田五月議員の所属する憲法調査会や法務委員会でも審議が始まって来ました。
憲法調査会
憲法は国会審議の様々の場で個別的、具体的に議論されてきましたが、制定後50年余を経て、広範かつ総合的に調査する機関を国会に置く必要性が議論されるようになり、平成12年1月20日召集の第147回国会で両院に憲法調査会が設置されました。
江田五月議員は設置以来会長代理など委員を務めています。この調査会は日本国憲法について広範かつ総合的な調査を行い、調査の経過及び結果を記載した報告書をおおむね5年程度を目途に出すことになっており、本年4月20日をめどに取りまとめる方針が固まっています。2月25日より議論を総括する締めくくり討議が始まり、江田議員も3月2日に発言しました。(会議録)
要旨は以下の通りです。
- 現行憲法は世界中の共通認識で作られたものだから大切にしたい。
- 現行憲法制定以降、地球規模での考察の必要性が、経済活動、環境問題、情報化などで強くなって来ているので、諸原則に手直しが必要な部分や、再定義や再確立が必要な部分や、単なる理念から強制力のある規範へと格上げすべきものもでてきた。
- 核兵器全廃と軍縮は、日本の悲願です。日本は特に東アジアの不戦や地域協力と統合のために最大限の役割を果たすべきだ。その観点の平和主義から、戦争の違法化、違法事態への対処方法としての集団安全保障措置、つなぎの措置としての自衛権を21世紀の国際協調主義の合意とし、国も国民も必ず守る原則として、憲法に再記述すべきだ。
- 国民は、ある特定の時代に生きて意思表示をする実体を持った人々の集合体だ。国民を超歴史と超国家の存在ととらえるような見解は、認めがたい。
- 人権侵害に対する救済システムを、あらゆる国家権力から独立したものとして、憲法に直接の根拠を有する制度とすべきだ。
- 国民が、自分たちの国の基本を自分たちで定めるのだと自覚して、憲法を改正するということが今回の憲法改正の一番重要な点だ。だから、投票率50%を下回るような憲法改正では、新憲法はその瞬間に命を失い、日本は崩壊に向かう。
- 新しく作る憲法は、政権交代政治の基盤を提供するものでなければならない。
- 民主党は、党の立場を超えて、地球規模でも日本国内でも、21世紀の新しい秩序を求めて、憲法改正に取り組むことを誓う。
法務委員会
第162回国会での法務委員会で審議が予定されている主な法案は、会社法案・人身取引法案(刑法改正)・少年法改正案・刑事施設受刑者処遇法案・不動産登記法案・共謀罪新設法案(刑法改正)・船舶所有者等責任制限法改正案に加えて人権擁護法案となりそうです。
それぞれに大切な法案ですが、江田五月議員は民主党の「人権侵害救済法に関するプロジェクトチーム」の座長として、「人権擁護法案」への取り組みが求められています。
この法案は人が生まれながらにして持っている権利としての人権を護るため、人権侵害に関する相談にのったり、加害者に人権侵害をやめさせ、あるいは被害の回復を得られるよう、人権侵害の被害者を援助する仕組みとしての人権救済手続を整備すること、その担い手として独立行政委員会としての人権委員会を中心とする人権擁護のための組織体制を整備することなどを目的として、2003年3月に一度参議院・法務委員会に付託されましたが、容疑者の配偶者らへの繰り返しの電話や、FAX、見張りなどを禁じるメディア規制の問題や名古屋刑務所の問題などが浮上し、議論は難航しました。与野党間の修正協議も模索されましたが、結局、国会に修正案は提出されず、9月26日に開会した臨時国会でも同法案の審議はなく、10月10日の衆議院解散に伴い、廃案となりました。
言うまでもなく、最終的な紛争解決手段は、人権の砦としての裁判所ですが、差別、虐待の被害者等の弱い立場にある人々にとっては、自らの力で裁判制度を利用することが困難です。このような事情から、先進各国においても、裁判制度以外にも人権救済制度が整備されており、わが国においても人権救済制度を抜本的に整備しようとしたものです。
しかし、1993年に国連総会が採択した「国内人権機関の地位に関する原則(パリ原則)」では人権団体、弁護士、医師、ジャーナリストらで構成する、政府から独立した人権機関の設置が求められており、弁護士、学者、人権NGOの皆さんからもその点の指摘を受けています。
昨年11月10日にお会いした国連人権高等弁務官のアルブールさんからも、独立性の高い人権委員会の設置の取り組みに対する要請を受けました。江田議員は前回のこの法案の提出時も、2002年3月に民主党のネクスト・キャビネットで了承された「人権侵害による被害の救済及び予防等に関する法律案大綱」の作成や与野党の折衝に責任者として汗をかいてきました。
今国会に提出される予定の法案は、前回の法案から(1) メディア規制の部分を凍結扱いとする、(2) 法案を数年後に見直す、などの点が修正される模様です。
パリ原則に沿った独立した機関を作ることが理想です。しかし現実には、人権救済機関を一日も早く作る事が最優先課題です。現状では残念ながら両立は不可能な情勢です。将来展望のある着地点を見つけ出すための厳しい折衝が江田議員を待っています。
民主党岡山は、去る2月5日、10回目を迎える定期大会を開催しました。会場には、各総支部の代議員をはじめ、200人の党員・サポーターが集まりました。来賓に石井正弘岡山県知事や森本栄連合岡山会長を迎え、地方から政権交代をめざす民主党に対して大きな期待と温かい激励を込めた挨拶がありました。
議事では、自民党に大差で勝利した参議院選挙の報告などのほか、2005.年度の活動方針の提案があり、その中で市町村合併にともなう各選挙への取り組み、党員・サポーターの倍増計画のほか、「おかやまマニフェスト」を使った意見交換会の実施などが提案されました。大会宣言では、「岡山が変われば、日本が変わる」という気概をもって、歴史的使命である政権交代を実現するために全力を尽くす1年とすることを全員で確認しました。(議案書)
2005年3月9日 |