2001/02/05 |
「子ども有害情報からの子どもの保護に関する法律案」 について |
「子ども有害情報からの子どもの保護に関する法律案」について、ご意見をいただいています。私の掲示板での議論も良いのですが、民主党のHPで、パブリックコメントを求めています。こちらにもご意見をお寄せ下さい。protect@dpj.or.jpです。
私も、水島広子議員の求めに応じて、この案の作成に関わりました。自民党が用意している法案は、文字通り「規制法」ですが、民主党の案は趣を変えたつもりです。
大人を多数派とする人間社会は、雑菌がうようよしています。それは蒸留水よりずっと良いことだし、自然なことです。第一何が雑菌か分かりません。しかしその状況は、必ずしも生育途中の子どもに害がないとは言えません。各国ともここに意を用いています。
情報自体に有害無害の区別はないのですが、子どもにとって有害な情報というのはあると思います。そこで、「子ども有害情報」から、子どもを保護しようと考えました。両者の間に防壁を設け、接触を困難にするのです。有害の判定をするのは、基本的には子どもの親権者です。それと地域社会です。
従来、この種の立法は、表現の自由を侵害するとか、一度できると一人歩きするとか言われて、口にするだけでも危険だとされてきました。自衛隊のことを議論するとその存在を認めることになるからと言って、議論を封じたのと似ています。その間に自衛隊は立派な「軍隊」に成長しました。
現実を見ると、多くの人が顔をしかめる情報があるのは事実です。素知らぬ顔をしていると、自民党案が日の目を見てしまいます。民主党案を、一度良く読みこなして見てくれませんか。私たちも、議論を期待しているのです。
江田五月 活動日誌から
11月14日
6時前、「有害情報から子どもを守るための基本法制定PT」。日本雑誌協会らからのヒアリング。清水英夫先生がお見えで、久しぶりにお会いしました。自民党から規制立法が出ていますが、民主党はもっと丁寧に議論を尽くし、人権に配慮の行き届いた制度を設計したいと思っています。もっとも私は、議論に参加する時間がなかなか取れません。
11月30日
1時半、水島広子さんが「子ども有害情報からの子どもの保護に関する法律案」の相談。衆議院法制局との協議で、骨子がまとまってきました。子どもを主人公と考え、その保護責任者である親や地域社会が、子どもにとって有害な情報を子どもに触れさせないことが出来るよう、工夫をこらそうという制度設計で、良くできていると思います。子ども自身が主人公として、メディア・リテラシーを向上させることが出来るよう、何か知恵はないかと、アドバイスしました。
12月6日
今日は、9時から「子ども有害情報法案」について事業者の皆さんからのヒアリング。PTの水島広子事務局長からの要請で、2時間強有益なご意見をいただきました。憲法21条の表現の自由に関わるテーマだけに、行き届いた配慮が必要です。特定の情報を有害として、直接その発信を規制することは、しません。特定の情報が、子どもにとって有害であることに着目し、事業者にその発信の際、これに一定の識別符号を着けるなどの措置をして貰います。この措置により、子どもの保護者などに、これを子どもに見せないようにしやすくするのです。仕分けの基準をどう作るか、事業者にこれをどのようにして守ってもらうかなどが、難しい点です。
水島広子さんの国会報告から
11月2日
11時半から、私が事務局長を務める民主党の「子供たちを有害情報から守るための基本法制定プロジェクトチーム」。日本民間放送連盟(民放連)とメディア総合研究所(メディア総研)の方たちを招いての聴取。
実は、有害情報に関しては、自民党が似たような基本法案を作っている。これに関して、反対の緊急声明などが出されている。民放連とメディア総研は、その急先鋒。盗聴法に始まって、国家が個人の価値観に介入しようとしている動きを感じるという。
私もそのあたりは同感である。だからこそ、私が作ろうとしている法案では、国家による検閲ではなく保護者や地域の大人たちの責任を規定しようと思っている。「現状のままではいけないからと言って法制化だけが手段ではない」という意見もうかがったが、NPO法のように民間の力を引き出しやすくするための法律もある。業界の自主規制がスムーズに進むような法律を作りたいと思っている。
自民党案への反対声明などを読んでいると、まるで少年法の二の舞になりそうな気配を感じる。今、多くの大人たちが有害情報を問題だと思っている。子供たちのために何かしなければならないと思っている。そんなところに、自民党がそれを規制する法案を出して、業界や知識人たちがそれに反対している、ということになると、「この人たちは子供たちのことをどうでもよいと思っているのではないか」と誤解されてしまうだろう。あたかも、少年法の改正に反対していた人たちが「この人たちは被害者の人権のことはどうでも良いと思っているのではないか」と思われていたのと同じように。
少年法の二の轍を踏まないように、こちらの言いたいことがしっかりと伝わる法律を早く作ろうと思う。少年法だって、民主党の修正案がもっと早くできていれば、世論を味方に付けることもできただろう。
12月16日
いったん事務所に立ち寄り、有害情報の法案についての戦略を立てる。政調会長代理の枝野幸男代議士に相談し、すでに手元にある骨子を、12月19日の民主党のネクストキャビネットにかけることになる。
この法案については、自民党が似て非なる法案を作っており(自民党の法案は検閲という色彩が強い)、業界団体がこぞって反対している(自民党案に比べればはるかに評価できるという意見はもらっているが)という状況にあり、今後の取り扱いについては政治的な判断が必要になると思う。
でも、コンビニにテレビガイドを買いに行くとすぐ隣に性暴力に満ちた雑誌が売っていたり、電話をかけるために電話ボックスに入るとピンクチラシが氾濫していたり・・・という日本社会で育たなければならない子供たちの現状がこのままで良いわけはないと思う。
12月21日
10時40分から、私が事務局長を務める有害情報のプロジェクトチームの座長をお願いしている肥田美代子代議士と打ち合わせ。
これからの記者会見に備えて発言などの段取り。
11時半から衆議院の野党クラブで石毛えい子代議士・肥田美代子代議士と共に記者会見。
私が初登院以来準備を続けてきた「子ども有害情報からの子どもの保護に関する法律案(仮称)」の骨子を、晴れて公表。感慨深いものがある。今後、民主党のホームページなどで公開し、広く意見を募集していく予定である。
「表現の自由」と「子供たちが健康に育つ権利」とをどのように秤に掛けるか、社会的にしっかりと議論をする必要のあるテーマであり、市民参加型の立法をしたいというのが私自身の強い希望でもある。検閲につながる、民主主義を後退させるような立法だけはしてはならない。
そう思って知恵を絞ってきたのがこの法案骨子である。
ぜひ皆さまにも見ていただいてご意見をいただけますようお願いいたします。
参考 衆議院・青少年問題に関する特別委員会会議録
青少年問題に関する件(有害環境について) 2000/11/09
政府参考人からの説明
馳浩(自民党)質問
水島広子(民主党)質問
鎌田さゆり(民主党)質問
池坊保子(公明党)質問
黄川田徹(自由党)質問
石井郁子(共産党)質問
原陽子(社民党)質問
谷本龍哉(21世紀クラブ)質問
松浪健四郎(保守党)質問
2001/02/05 |